マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

マイ・ブラザー

2010-06-10 19:56:04 | 映画ー劇場鑑賞
ーマイ・ブラザーーBROTHERS
2009年 アメリカ
ジム・シェリダン監督 トビー・マグワイア(サム・ケイヒル)ジェイク・ギレンホール(トミー・ケイヒル)ナタリー・ポートマン(グレース・ケイヒル)サム・シェパード(ハンク・ケイヒル)クリフトン・コリンズ・Jr(カヴァゾス少佐)メア・ウィニンガム(エルシー・ケイヒル)テイラー・ギア(マギー・ケイヒル)ベイリー・マディソン(イザベル・ケイヒル)キャリー・マリガン(キャシー・ウィリス)

【解説】
デンマーク映画『ある愛の風景』を、トビー・マグワイア、ジェイク・ギレンホール、ナタリー・ポートマンらの豪華共演でリメイクした家族ドラマ。秘密を抱えた元兵士の男と妻、そして二人の娘に男の弟を巻き込んで、家族の崩壊と再生を情感豊かにつづる。監督は『マイ・レフトフット』『イン・アメリカ/三つの小さな願いごと』などのジム・シェリダン。戦争のもたらすあらゆる悲劇と家族のきずなが胸を打つ珠玉の感動作。

【あらすじ】
アフガニスタンで兵役に当たっている夫・サム(トビー・マグワイア)の帰りを待つグレース(ナタリー・ポートマン)の元に、サムの訃報が届く。絶望のふちにいるグレースと二人の娘を慰めてくれたのは、サムの弟、トミー(ジェイク・ギレンホール)だった。そんなある日、まさかの帰還をしたサムだったが、まるで別人のように変ぼうしていて……。(シネマトゥデイ)

【感想】
これ、リメイクだったんですね。
デンマーク映画『ある愛の風景』。
オリジナルも見てみたいと思います。

海兵隊の隊員で、もうすぐアフガニスタンへ行く大尉のサム。
彼には、妻のグレース(ナタリー・ポートマン)と二人の幼い娘がいた。
そして、刑期を終えて出所した弟のトミー(ジェイク・ギレンホール)と、ベトナム戦争の経験を持つ父(サム・シェパード)と、義母(メア・ウィニンガム)。

☆ネタバレ
最初の食事のシーンで、家族の関係を見事に描いています。

自分が死んだら妻に渡してくれと同僚に渡した「遺書」。
サムの覚悟のほどか伝わってきます。

アフガニスタンでは、ヘリコプターが撃墜され、サムは反政府・反アメリカグループの捕虜となりますが、グレースの元には、戦死が伝えられました。
遺書も手渡されますが、開くことができないグレース。

絶望するグレースを慰めるトミー。
兄弟ではないけど、「アルマゲドン」を思い出しますね。
しかも、兄と弟には、父も絡んだ愛憎と葛藤があるのです。



やがて、この世の地獄を味わい、辛い思いをして救い出され、帰還したサム。
そこにはあの優しい夫、父としてのサムの姿はありませんでした。

見た目には、ただ痩せて傷だらけのサムでしたが、サムの内面は血がどくどくと吹き出て苦しみ悶えていました。
子供のジョークに答えてあげられないとか、眠れないとか、短いシーンでPTSDをすごくうまく表現していました。

そして、トミーとグレースの仲を疑い、嫉妬し、幼い娘の言葉にも翻弄され、暴れ、あげくには自分の頭に銃口を当てるサム。

この物語には、結末はありません。
苦しみが続くばかりでした。

それでも、私はこの結末さえも生温いと感じました。

「ディア・ハンター」も思い出します。
帰還兵の問題に付いては、アメリカはすでに学習済みのはずなのに。

サムの罪はサムだけのものではないでしょう?
サムやサムに殺されたウィリスは、アメリカ軍の命令で戦地に行ったわけですから。
そして、アメリカ軍の最高司令官は大統領、大統領を選んだのは国民なんだから、サムの罪はアメリカ人の罪、ということにfはならないのでしょうか?

アメリカの人々は、この映画を見て、サムと一緒に苦しむ覚悟はあるのでしょうか。

日本人である私にとっては、少し距離のある分、このエンドレスの悲劇に呆然としました。

ジェイクは、ペルシャの王子より、こっちの役の方が似合っていました。
トビーもジェイクも、彼らが持っている繊細さが、さらに悲劇を際立たせていました。
うまい!

子役のお姉ちゃん役の子も、すごくうまい。
難しい表現を難なくこなして、すごいわあ。


扉をたたく人

2010-06-10 19:53:53 | 映画ーDVD
ー扉をたたく人ーTHE VISITOR
2007年 アメリカ
トム・マッカーシー監督 リチャード・ジェンキンス(ウォルター・ヴェイル)ヒアム・アッバス(モーナ)ハーズ・スレイマン(タレク)ダナイ・グリラ(ゼイナブ)

【解説】
主人公の大学教授を演じた名優リチャード・ジェンキンスがアカデミー賞主演男優賞にノミネートされた感動ドラマ。911以降、移民希望者や不法滞在者に対して厳しい措置を取るようになったニューヨークを舞台に、孤独な初老の大学教授と移民青年の心の交流を描く。監督は俳優としても活躍中のトーマス・マッカーシー。共演は『シリアの花嫁』のヒアム・アッバス。人間関係を丹念に描いた心揺さぶる展開と、現代社会を反映した考えさせられるラストに注目だ。

【あらすじ】
妻に先立たれて以来、心を閉ざして生きてきた大学教授のウォルター(リチャード・ジェンキンス)。出張でニューヨークを訪れた彼は、マンハッタンの別宅で見知らぬ若いカップルに遭遇。彼らはシリアから移住してきたジャンベ奏者のタレク(ハーズ・スレイマン)と彼の恋人でセネガル出身のゼイナブ(ダナイ・グリラ)だと名乗るが……。(シネマトゥデイ)

【感想】
アメリカで封切館が4館だけだったのに、口コミでヒットして、半年間のロングラン上映になったそうです。

主演のリチャード・ジェンキンスは、アカデミー賞主演男優賞にノミネートされました。

妻に先立たれて、妻が弾いていたピアノの練習をしようと思い立つが、なかなか続かない。
大学の講義も、毎年同じ内容、論文は共著、学会発表も気が乗らないが、上司の命令とあれば仕方がない。
大学はコネティカットにあるので、いつもはそちらにいるウォルター(リチャード・ジェンキンス)だが、学会のために久しぶりにニューヨークのアパートに帰ってきた。
すると様子が変だ。
誰かがいるみたい。
バスルームを開けると、黒人女性が入浴していて、悲鳴が上がった。
すぐに男がやってきて、もみあいになった。

二人は不法滞在の移民のカップルだった。
悪い仲介人にだまされたらしい。
ウォルターは、いくところのない二人をしばらく置くことにした。

シリアから来たタレク(ハーズ・スレイマン)とセネガルから来たゼイナブ(ダナイ・グリラ)。
ウォルターは、ジャンベ奏者のタレクからジャンベを教わり、公園でみんなとセッションするまでに上達した。

しかし、ちょっとしたトラブルからタレクは逮捕され、不法滞在ということで勾留されて、さらに強制送還の不安がタレクを苛む。
心配したタレクの母モーナ(ヒアム・アッバス)がニューヨークに出て来るのだが、彼女も不法滞在者なので収容所に面会にいけない。
モーナとタレクの仲を取り持つ形になったウォルターと、モーナは心を通わせるようになるのだが…。

9.11以来、外国人と見ると、不審な目で見る不寛容なニューヨークの様子が映し出されます。
「俺はテロリストではない」と叫ぶタレク。
でも、法律の分厚い壁の前に、誰も助けられない。

ウォルターは地下鉄の駅で、タレクに習ったジャンベを叩き続けるのでした。

人々の深い思いが、ひしひしと伝わってくるような、とてもいい映画ですよ。

幸せのセラピー

2010-06-10 19:49:19 | 映画ーDVD
ー幸せのセラピーーMEET BILL/BILL
2007年 アメリカ
メリッサ・ウォーラック 、バーニー・ゴールドマン監督 アーロン・エッカート(ビル)ジェシカ・アルバ(ルーシー)エリザベス・バンクス(ジェス)ティモシー・オリファント(チップ・ジョンソン)

【解説】
逆玉のこしに乗って結婚したものの仕事も容姿もさえない中年男が、運命の女性と出会って本来の自分を取り戻すヒューマン・コメディー。『ダークナイト』のトゥーフェイス役の、アーロン・エッカートが情けないダメ男を好演。『ファンタスティック・フォー』シリーズのジェシカ・アルバが主人公の運命を左右する女性を演じる。監督は本作がデビューとなるメリッサ・ウォラックとバーニー・ゴールドマン。ダメ男から抜け出すための行動力と勇気がさわやかな笑いと感動を呼ぶ。


【あらすじ】
ストレス太りで自信喪失気味の中年男、ビル(アーロン・エッカート)。銀行頭取の娘で妻のジェス(エリザベス・バンクス)はいけ好かないテレビレポーターのチップと浮気中で、ビルは嫌々セレブ生活に甘んじながらもドーナツ・チェーン・ビジネスをひそかに画策している。ある日、若く美しいルーシー(ジェシカ・アルバ)に出会ったことから、妻ジェスを嫉妬(しっと)させる計画を実行することになり……。(シネマトゥデイ)

【感想】
「ダークナイト」(2008年 クリストファー・ノーラン監督)で、悲劇のトゥフェイス演じたアーロン・エッカート主演。
「サンキュースモーキング」や「幸せのレシピ」でもいい感じだったので、この作品も楽しみにしていました。

ところが、この作品では、中年太りの冴えないオトコの役で、ちょっとがっかり。

ビル(アーロン・エッカート)は、妻ジェス(エリザベス・バンクス)が銀行頭取の娘と言うことで、義父の経営する銀行の役職に就いているが、それは形だけ。
仕事もなく、ただ銀行に通っているだけの生活でした。

ジェスは、そんな不甲斐ない夫に飽きたのか、テレビレポーターのチップ(ティモシー・オリファント)と浮気。
その、決定的な証拠を押さえたビルだったが、そのビデオが流出して大変な騒ぎに。

でも、ビルには、自分で事業を興すという野心があったのです。

逆玉の輿生活に甘んじているへたれなオトコをどう見たらいいのかなあ?
そして、浮気をする金持ちの妻にどう共感したらいいのか?

あまりに感覚が違いすぎて、ちょっと引いてしまうような映画でした。