マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

50歳の恋愛白書

2010-02-13 22:41:17 | 映画ー劇場鑑賞
ー50歳の恋愛白書ーTHE PRIVATE LIVES OF PIPPA LEE
2009年 アメリカ
レベッカ・ミラー監督  ロビン・ライト・ペン(ピッパ・リー)アラン・アーキン(ハーブ・リー)マリア・ベロ(スーキー・サーキシアン)モニカ・ベルッチ(ジジ・リー)ブレイク・ライヴリー(若き日のピッパ・リー)ジュリアン・ムーア(カット)キアヌ・リーヴス(クリス・ナドー)ウィノナ・ライダー(サンドラ・ダラス)マイク・バインダー(サム・シャピロ)

【解説】
良き妻で良き母でもある50歳の女性が、新たな愛に目覚めると共に新しい人生の始まりを迎える姿を、豪華キャストで描く人間ドラマ。ヒロインは『美しい人』のロビン・ライト・ペン、彼女の若かりしころを人気テレビドラマ「ゴシップガール」のブレイク・ライヴリーが演じる。監督は脚本家のほか映画監督や小説家としても活躍するレベッカ・ミラー。心の病や母娘の確執、パートナーとの関係を絡めながら、出会いと人生の機微をとらえたストーリーに引き込まれる。

【あらすじ】
誰から見ても理想的な女性、ピッパ・リー(ロビン・ライト・ペン)。50歳まで美しく年を重ね、夫ともうまくいっていた。しかし、若いころのピッパ・リー(ブレイク・ライヴリー)の人生は波瀾(はらん)万丈だった。そして現在、幸せながらも物足りなさを感じていたピッパ・リーだったが、15歳年下のクリス(キアヌ・リーヴス)と出会ったことから変化が訪れる。

【感想】
この邦題はおかしい。
「THE PRIVATE LIVES OF PIPPA LEE」
ピツパ・リーのプライベートな人生ーこのタイトルのままの内容でした。

「50歳の恋愛白書」なんて、どう考えたら出て来るのかしら?
そんな一般的なことではないです。
極めて個人的な話。

☆ネタバレ
引っ越しパーテイーで、ピッパ・リー(ロビン・ライト・ペン)は成功した編集者、ハーブ・リー(アラン・アーキン)の謎めいた妻と、作家のサム(マイク・バインダー)に讃えられていました。

美人で、でしゃばらず、料理がうまい。

でも、ピッパの人生はそんなに簡単ではなかった。

ピッパは母スーキー(マリア・ベロ)の溺愛を受けて育った。
母は、太ることを恐れ、薬中毒だった。
思春期を迎えたピッパ(ブレイク・ライヴリー)は、母に反抗し、家を出た。

叔母の元に身を寄せたが、叔母のルームメイト・カット(ジュリアン・ムーア)の影響で、芸術家の仲間入り。
つまり、薬付けの毎日を送ることになった。
そんなある日、母は突然死んでしまった。
ピッパと和解することなしに。

そんな中でハーブに出会った。
地獄に仏、ピッパは救われたと思った。

ハーブは当時、すでにジジ(モニカ・ベルッチ)と2回目の結婚をしていたが、ピッパを見初め、ジジに別れ話を切り出した。
ジジは、サムとピッパを招いてのランチの最中、ピストル自殺をした。

ピッパはハーブと結婚したが、その事実が生涯ピッパを悩ませることとなる。
ピッパは男の子と女の子の双子に恵まれるが、娘とは感情的になかなかうまく折り合えない。
自分が母とうまくいかなかったことが原因かもしれません。

これが、サムの言う、ピッパの謎めいたところでしょうか?

ある日、離婚した35歳の男が、彼の実家に帰ってきました。
クリス(キアヌ・リーヴス)です。
胸にキリストの入れ墨をした男。
過干渉な母親に育てられて、他人との関係をうまく保てない人です。

ピッパの家の台所で異変が起きます。
夜中に誰かがケーキを食べているのです。
突き止めるためにカメラを設置して見てみるとーハーブがぼけたのでしょうかーいえいえ、ピッハでした。
夢遊病に罹っていたのです。

たくさんのストレスがかかっていたのでしょうね。

ハーブは過去に2回も心臓の発作を起こして、それを理由に引退したはずでしたが、まだ隠居は無理と言って、事務所を借りました。
その事務所で、サムのパートナーでピッパの友達、サンドラ(ウィノナ・ライダー)と浮気をしてしまうのです。

そして、「君は僕を年寄り扱いする。僕は男だ。サンドラと結婚するから、君とは離婚だ!!」

ピツパは傷つきますが、一方ではジジからの呪縛から解き放たれたようなのびのびとした気分になります。

ピッパが家を出ようとしたそのとき、ハーブが心臓の発作を起こして脳死状態になってしまいます。

そこは、夫婦で家族です。
遠方にいた娘を呼び戻し、娘とも和解して、みんなそろってハーブを看取りました。

さて、長い間見失っていた自分を、やっと取り戻したピッパ。
クリスとともに旅に出ます。
きっと、新しい自分と出会う旅になるのでしょう。

私も母と暮らしていますが、いろんな葛藤があります。
それをふまえて、娘とは一生うまくやっていきたいという切実な思いもあります。

母も、80歳を過ぎても、自分の母を恋しく思うこともあるのでしょうか?
きっとあるでしょうね。

母に優しくしてあげたい、それは一生の願いであり、なかなか叶えられない願いです。
簡単なことだと思うでしょう?
それがねえ…

この映画は、そんなことを考えさせられて、身につまされるいい作品でした。
邦題みたいに、恋愛の話じゃないですよ、母と娘の深遠なる思いがテーマでした。

でも、そんなことを考えているのは私だけなのでしょうか?
みんな、お母さんとはうまくやっているのかなあ?
いいなあ…。

ロビン・ライト・ペンはまだ44歳、でも、しわややつれを強調して、うまく演じていました。

キアヌは46歳なのに、35歳、ロビンより15歳年下の役。
ま、これはこれでいいかも。

アラン・アーキンも精力的な男をうまく表現していました。

一番おかしかったのが、ウィノナ。
かなり笑わせてくれました。うまいねえ。

忘れてはいけない、ブラッド・ピット製作総指揮。
原作と監督のレベッカ・ミラーは作家のアーサー・ミラーの娘で、俳優のダニエル・デイ=ルイスの妻です。

インビクタス 負けざる者たち

2010-02-13 22:30:54 | 映画ー劇場鑑賞
ーインビクタス負けざる者たちーINVICTUS
2009年 アメリカ
クリント・イーストウッド監督 モーガン・フリーマン(ネルソン・マンデラ)マット・デイモン(フランソワ・ピナール)

【解説】
ジョン・カーリン原作のノンフィクション小説を、『グラン・トリノ』のクリント・イーストウッド監督が映画化した感動のドラマ。反アパルトヘイト運動に尽力し、南アフリカ共和国大統領となったネルソン・マンデラと、同国のラグビー代表チームのキャプテンとの人種を越えた友情を描く。主演は『ダークナイト』のモーガン・フリーマンと、『インフォーマント!』のマット・デイモン。新旧の名優たちが熱演する実話を基にした物語に胸が震える。

【あらすじ】
1994年、マンデラ(モーガン・フリーマン)はついに南アフリカ共和国初の黒人大統領となる。いまだにアパルトヘイトによる人種差別や経済格差の残る国をまとめるため、彼はラグビーチームの再建を図る。1995年に自国で開催するラグビー・ワールド・カップに向け、マンデラとチームキャプテンのピナール(マット・デイモン)は、一致団結して前進する。

【感想】
このところ、ハズレのないイーストウッド監督作品。
これも見応えのある、素晴らしい映画でした。

マンデラ大統領については「マンデラ名もなき看守」で少しは知識がありました。
ちょうどあの作品の後の話になるので、見ておいてよかったと思いました。

マンデラ大統領にモーガン・フリーマン、ラグビーの南アのナショナルチームのキャプテン・ピナールにマット・デイモン。
二人の共演も素晴らしかったです。

でもね、見る前には少し不安もありました。
スポーツが人々の心を一つにする映画でしょ?
ありがちだし、現実はそんなに甘くないとも思うし。

でも、そんな心配はまったく無用でした。
イーストウッド監督はそんなこと百もご承知でした。

イーストウッドが描いたマンデラ大統領はそんなヤワな人ではありませんでした。

30年間、牢屋に入れられていた人です。
彼を支持する人々もそうです。
何代にも渡って、虐げられ支配されてきた人々。
長年の積もり積もった恨みが、スポーツごときで溶けてなくなるわけがない。

それは、映画の冒頭、マンデラさんが釈放されて通る道の右と左でくっきりと表現されていました。
片や、しっかりしたフェンスの中で、コーチがついて整然と行われている白人の大人たちのラグビーの練習。
もう一方は、あちこち壊れている柵の向こう側でのどろんこの広場で、裸足でサッカーに興じる黒人の子供たち。

解説はいりません。
これで十分でした。

<ネルソン・マンデラ>
1918年7月18日にトランスカイのウムタタ近郊クヌ村で、テンブ人の首長の子として生まれる。ウィトワーテルスランド大学法学部を卒業。在学中の1944年にアフリカ民族会議(ANC)に入党。その青年同盟を創設し青年同盟執行委員に就任して反アパルトヘイト運動に取組む。その後1950年、ANC青年同盟議長に就任する。
1952年8月にヨハネスブルグにてオリバー・タンボと共に弁護士事務所を開業する。その年の12月にANC副議長就任。1961年11月、ウムコント・ウェ・シズウェ(民族の槍)という軍事組織を作り最初の司令官になる。それらの活動などで1962年8月に逮捕される。1964年に国家反逆罪終身刑となりロベン島に収監される。
 1989年12月に当時の大統領フレデリック・デクラークと会談。1990年2月11日に釈放される。釈放後、ANC副議長に就任する。デクラークとの予備会談にANC代表として出席。1990年10月27日、ANC代表団を率いて来日(11月1日まで)。
1991年、ANC議長に就任。デクラークと協力して全人種代表が参加した民主南アフリカ会議を2度開き、さらに多党交渉フォーラムを開いた。暫定政府、暫定憲法を作成。同10月5日、北京大学より名誉博士号を授与された。翌年12月10日にデクラークとともにノーベル平和賞受賞。
 1997年12月のANC党大会でネルソンは、議長の座を副大統領のターボ・ムベキに譲る。1999年2月5日、国会で最後の演説をした。同年行われた総選挙を機に政治の世界から引退した。(ウィキペディアより)

つまり、1期しか、大統領を務めていないわけです。
その間に、1948年に制定された南アフリカ共和国のアパルトヘイト(隔離政策)の廃止を宣言し、完全に撤廃させたが、それは、口で言うより、実行することがとても難しいことだったと思います。

この映画は、アパルトヘイト全廃のひとつの方法として、ラグビーのワールドカップ優勝を描いているわけですが、冒頭で示されたように、ラグビーは白人のスポーツ、サッカーは貧しい黒人のスポーツの象徴だったのです。

マンデラは、黒人たちの遺恨を説得して、白人中心のラグビーチームを残し、国の象徴として闘わせます。
人事においても、白人も黒人も区別なく国のために尽くしてもらうという筋を崩しません。
マンデラ自身が「赦す」ということをその生き方で示しているので、誰も反論できません。

ピナールは、一般的な白人家庭に育った人で、体制が変わって戸惑いこそあれ、マンデラ氏に投票した支持者ではありませんでした。
しかし、マンデラ氏に会ったとたん、彼の偉大さに気がつき、彼がラグビーで、傷ついた国民の心を癒そうとしているということに気がつくのです。

一番素敵なシーンは、ピナールがチームのメンバーやその家族を連れて、ロベン島のマンデラ氏が収容されていた元刑務所を見学するシーンです。
「赦す」という最も高貴な精神を理解するシーン。
これが、人間の感情の中で、一番大切で難しいことです。

そのマンデラさんが、自分の家族とうまくいかなくて悩む姿は、皮肉なことでしたが、それも人生なんだと思わせました。

この結果のわかったている物語を、こんなにも素朴にシンプルに描いていることが奇跡だと思いました。

今年、南アはサッカーのワールドカップ開催国ですよね。
成功して欲しいなあ。

ちなみに、私はラグビーファンなんです。
だから、ラグビーシーンはわくわくしました。
すごい試合だったんですね。

モーガン・フリーマン、オスカーにノミネートされていますね!!
取ってもらいです!!


ゴールデンスランバー

2010-02-13 22:27:45 | 映画ー劇場鑑賞
ーゴールデンスランバーー
2009年 日本
監督=中村義洋 キャスト=堺雅人(青柳雅春)竹内結子(樋口晴子)吉岡秀隆(森田森吾)劇団ひとり(小野一夫)柄本明(保土ヶ谷康志)濱田岳(黒いパーカーの男 キルオ)渋川清彦(岩崎英二郎)ベンガル(轟静夫)大森南朋(樋口伸幸)貫地谷しほり(凛香)相武紗季(井ノ原小梅)永島敏行(小鳩沢)石丸謙二郎、ソニン(鶴田亜美)

【解説】
人気作家・伊坂幸太郎の同名ベストセラー小説を、『アヒルと鴨のコインロッカー』『フィッシュストーリー』に続き中村義洋監督が映画化したサスペンス。巨大な陰謀に巻き込まれ、首相暗殺の濡れ衣を着せられた宅配ドライバーの決死の逃避行をスリリングに描く。主演は、中村監督の『ジェネラル・ルージュの凱旋』でも共演している堺雅人と竹内結子。そのほか吉岡秀隆、劇団ひとり、香川照之、柄本明といった実力派キャストが顔をそろえる。

【あらすじ】
凱旋(がいせん)パレード中に首相が暗殺された仙台、宅配ドライバーの青柳(堺雅人)は、久々に再会した旧友の謎の言葉を聞いた直後、警官から突然銃を向けられる。訳もわからず逃げ出した彼は、身に覚えのない証拠と見えない力によって無実の首相暗殺犯に仕立てられていく。絶体絶命の中、青柳は大学時代の仲間たちに助けられながら逃亡を続けるが……。

【感想】
タイトルの「ゴールデンスランバー」はビートルズの名曲。
黄金のまどろみという意味だそうです。
この歌が、この映画に深く関わっています。

伊坂幸太郎さんは、ヒット曲をうまく作品に取り入れて効果的に使うのが上手ですね。
「重力ピエロ」に引き続き、私のお気に入りとなりました。
これも、原作を読まなくちゃ。

☆ネタバレ
大学時代の、友達と信じていた人間にはめられ、冤罪の罪をかぶり逃走する主人公・青柳(堺雅人)。
とにかく、仙台市内を徒歩で逃げるのだから、スケールが小さくなるところを、思い出を重ねたり、人間関係の妙をちりばめてなかなか飽きさせません。

そのうちに、次第に青柳を応援する人の輪が広がり、かつての恋人樋口(竹内結子)の機転もあって、日本の警察から逃れ切ってしまうところが痛快です。

ただ、結局真犯人は出て来ず、青柳の人生は逃亡者で終わってしまうのかなあ、と複雑な気分でした。

でも、ビートルズの曲をバックに語られる平凡な大学時代のたわいのないおしゃべりや、アルバイトや、ファーストキスや、失恋や、サークル活動、先輩後輩と呼び合ったことなど、甘酸っぱい気持ちにしてくれて、映画を見ている間中いい感じでした。

また、花火や、ぽんこつ自動車など、散りばめられたさりげないアイテムも効いていました。
青柳のお父さん(伊東四朗)、花火屋の社長(ベンガル)がとても素敵でした。

「たいへんよくできました!!」
(映画を見た人にはわかるでしょ?)