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●科学技術ニュース●大阪大学、名古屋大学と理研、X線自由電子レーザーの極限的7nm集光を実現し世界最高光子密度を実現

2024-04-11 09:31:35 |    電気・電子工学
 大阪大学大学院工学研究科の山田純平助教、山内和人教授、名古屋大学大学院工学研究科の松山智至准教授、理化学研究所放射光科学研究センターの矢橋牧名グループディレクター、井上伊知郎研究員、高輝度光科学研究センターの大橋治彦主席研究員らの共同研究グループは、X線自由電子レーザー(XFEL:X-ray Free-Electron Laser)の極限的7ナノメートル(nm)のスポット集光を実現し、1022 W/cm2のピーク強度を達成した。

 これはミラーに入射するXFELの強度を1億倍に増幅したことに相当する、世界最高X線強度。また、可視光分野も含んだレーザー強度のトップクラスに比肩する値。

 XFELを集光する際には、高強度の入射X線レーザーによる集光光学系へのダメージを防ぐために、入射光を非常に浅い角度にて分散して受け止める楕円形状X線ミラーが利用される。

 これまでに超高精度なX線ミラーの作製法は確立されてきましたが、集光状態の不安定性に大きな課題があり、理論的には達成可能なはずの10nmを下回るような集光サイズの実現には至っていなかった。

 今回、同研究グループは、凹面と凸面を組み合わせたX線集光ミラー光学系を新たに開発し、高い安定性のもとXFELの7 nm集光を実現した。

 これによって,従来までのX線強度よりも100倍以上高いX線ピーク強度1.45×1022 W/cm2が達成された。

 さらに、生成した集光ビームを金属原子(クロム: Cr)に照射したところ、全ての電子を吹き飛ばすほどの劇的な反応が生じていることがわかった。

 同研究によって実現された超高強度のXFELビームを用いることで宇宙物理、高エネルギー物理や量子光学などの基礎物理分野において、未だ観察されていないさまざまな物理現象の発見が期待される。

 また、タンパク質などの立体構造を解明することにも貢献し、医学・創薬に役立つ単分子構造解析技術の開発につながるものと期待される。<理化学研究所(理研)>
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