“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術ニュース●NEDOのグリーンイノベーション基金事業で日立造船と鹿島建設、洋上風力発電の浮体式基礎の量産化技術を開発

2024-09-03 09:33:27 |    エネルギー
 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業「洋上風力発電の低コスト化」プロジェクトで、「浮体式基礎製造・設置低コスト化技術開発事業」に参画する日立造船、鹿島建設は、今回、セミサブ型浮体式基礎の量産化技術を開発し、水上接合による基礎製造工法の実証を行った。

 両社は、同事業を通じて開発した同工法が技術的に実現可能であり、浮体式基礎の製造工程が1割以上短縮可能であることを確認した。

 同事業で検討している量産化コンセプトは、15MW級の風車を搭載する大型の浮体式基礎が収まるような大型のドックが国内に少数しかなく、浮体の大量生産のボトルネックになり得ることに着目し、ドックでの作業期間を最小化して、浮体式基礎の量産化につなげるというもの。

 そこで、浮体式基礎の分割ブロックを造船・鉄構メーカーなどのサプライチェーン先で製造し、既存ドックなどへえい航輸送後、ブロックを接合して浮体式基礎を完成させるという量産化技術を開発した。

 この量産化技術の実現により、最小の設備投資でサプライチェーンを強化するとともに、より多くの浮体式基礎を製造することが可能となる。

 当初はブロック入渠(にゅうきょ)後に排水して、大型台車やクレーンを用いて接合のための位置調整を行うことを検討していたが、この位置調整にはミリ単位の精度が求められるため、その重量や大きさから多くの時間を要することが課題であった。同工法では、浮力を活用し重量による問題を軽減し、大組立工程の1割以上の短縮を実現できる。

 今回、同工法の妥当性を確認するため、15MW級の風車を搭載することを想定した浮体式基礎のブロックの接合部を実寸サイズで製造し、2024年1月末から2月末に日立造船の堺工場でブロック接合試験を実施した。試験の結果、同工法が技術的に実現可能であることを確認した。

 同成果の活用により、今後、導入拡大が見込まれる浮体式洋上風力発電において浮体式基礎の量産化、低コスト化実現の一助となることが期待される。

 2040年までに洋上風力発電を30~45GW導入するという政府目標の達成に向けて、NEDOは、風車、浮体、係留システム、ケーブルの挙動・性能・施工性・コストを考慮した一体設計により、浮体式洋上風力発電の信頼性の向上と低コスト化を目指し、システム全体として関連技術を統合した実証を行う。

 これにより、2050年カーボンニュートラルへの道筋を示し、電力分野における温室効果ガスの排出量削減に貢献する。<新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)>
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ●科学技術ニュース●四国電力... | トップ | ●科学技術書・理工学書<新刊... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

   エネルギー」カテゴリの最新記事