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●科学技術ニュース●NIMSと磁石メーカー4社による磁石マテリアルズオープンプラットフォーム(磁石MOP)発足

2022-07-29 09:41:45 |    化学
 物質・材料研究機構 (NIMS)とTDK、大同特殊鋼、信越化学工業、日立金属は、NIMSを中核とした磁石マテリアルズオープンプラットフォーム (磁石MOP : Materials Open Platform) の運用に関する覚書に調印した。今後、磁石メーカーで必要とされる共通基盤研究等を磁石MOPを通じ、アカデミアと連携しつつ進めて行く。

 NIMSは民間企業の持つ「基礎研究所」の一部機能を担い、産業界とアカデミアをつなぐ領域別のマテリアルズオープンプラットフォーム (MOP) を2017年以降運営してきた。このたび新たに磁石メーカー4社と磁石材料の共通基盤研究をアカデミアと連携して行うプラットフォームとして磁石MOPを設立した。

 NIMSは希少元素に依らない次世代磁石材料の基盤研究を推進し、産業界での開発研究に必要とされる基礎学理と技術基盤を構築することを目的として2012年度から2021年度までの10年間、文部科学省の委託事業として元素戦略磁性材料研究拠点 (ESICMM) を運営してきた。

 同事業は今年3月にその目的を達成して終了したが、この10年間、ESICMMで培った解析プラットフォーム、および、人材ネットワークを継承し、磁石産業界で必要とされる基盤研究をアカデミアとともに継続するため、磁石MOPを新たに発足させた。

 磁石材料の世界最高水準の微細構造解析技術やデータ駆動型研究を、材料設計とプロセス最適化に応用し、用途に応じた必要特性を持つ材料の開発を迅速に行うツールの開発を目指している。

 また、NIMSの研究者だけでなく大学の人材も取り込むために、クロスアポイントメント制度等を活用した大学との人材交流をこれまで以上に推し進めていく。

 これに加えて、磁石MOPから発信する公開情報に基づいてMOP外の磁石ユーザー企業との意見交換を行う会員制連携制度「磁石パートナーシップ」を運営し、将来的に新たな課題設定を行うためのインプットのすそ野を広げる。

 磁石MOPでの高性能磁石開発の設計技術基盤を構築するという共通課題から参画企業の個別課題を扱う二者間共同研究層への発展を見据えたNIMSを中核とする二階構造の共同研究と合わせた統合的な運営体制も磁石MOPの特長。

 磁石MOPでは、これらの特長を活かして、構築された材料基盤技術の参画企業による事業活用を支援し、ひいては電気自動車等での搭載拡大が期待されるモーターの高性能化、省希少元素化を通じて、カーボンニュートラルの実現に向けた貢献をしていく。<物質・材料研究機構 (NIMS)>
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