ソフトバンクは、成層圏通信プラットフォーム(High Altitude Platform Station=HAPS)の研究開発の一環として、HAPSの無人航空機の試験機体に自社で開発した5G(第5世代移動通信システム)に対応するペイロード(通信機器)を搭載し、成層圏で5Gの通信試験に成功した。
同試験は、ソフトバンクとルワンダ共和国政府が協力し、ルワンダの領空で実施したもので、HAPSの無人航空機を活用して、成層圏からの5Gの通信試験に成功したのは、世界で初めて。
なお、両者は2023年6月に、今回使用したペイロードと同様の大きさと重量のダミー機器を搭載した成層圏飛行試験をルワンダで実施しており、同試験はそれを発展させたもの。
ソフトバンクが開発したペイロードは、成層圏の高度最大16.9kmにおいて、約73分間連続して5Gの通信を提供し、厳しい条件下でも想定通りの性能を発揮した。
同試験では、一般に販売されている5G対応スマートフォンを使用し、通常の通信で利用されている電波を利用して、ルワンダの試験場と日本の間で5Gによるビデオ通話(Zoom)を実現した。
同試験は、2020年7月にソフトバンクの子会社であったHAPSモバイルとルワンダのICTイノベーション省との間で締結された覚書に基づくもの。
また、ルワンダとその他の地域でのモバイルインターネット接続の提供や、その他の課題解決に向けてHAPSの利用を研究する共同プロジェクトでも協力している。また、2023年6月にソフトバンクとルワンダ教育省は、非地上系ネットワーク(Non-Terrestrial Network=NTN)ソリューションを活用してルワンダで教育技術(EdTech)サービスを提供する連携協定も締結している。
同試験の結果を受け、ソフトバンクとルワンダ政府は、ルワンダなどのアフリカ地域におけるHAPSの活用の可能性と商用化に向けた研究に取り組む予定。その他、通信環境が整っていない農村地域の学校やコミュニティーのデジタル化なども検討していく。<ソフトバンク>