“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「宇宙に質量を与えた男 ピーター・ヒッグス」(フランク・クローズ著/早川書房)

2023-10-13 09:41:23 |    物理



<新刊情報>



書名:宇宙に質量を与えた男 ピーター・ヒッグス

著者:フランク・クローズ

訳者:松井信彦

発行:早川書房

 万物の質量の起源「ヒッグス粒子」発見の立役者の半生を描くノンフィクション。1964年、宇宙に質量が生まれた理由を6人の研究者が独自に推定した。だが、その鍵となる粒子の存在を予言していたのは、ただ1人だけだった―ノーベル賞の受賞から10周年、ピーター・ヒッグスの半生とヒッグス粒子の発見にまつわるドラマを精緻に描き出す。
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●科学技術ニュース●ソニーセミコンダクタ、電磁波ノイズエネルギーから高効率に電力を生成するモジュールを開発

2023-10-13 09:40:45 |    通信工学
 ソニーセミコンダクタソリューションズ(SSS)は、電磁波ノイズエネルギーを利用したエナジーハーベスティング(環境発電)用のモジュールを開発した。

 同開発品は、SSSがチューナー開発で培ってきた技術を応用することで、電磁波ノイズから電力を高効率に生成することができる。

 例えば、工場内のロボット、オフィス内のモニターや照明、店舗や家庭のモニターやテレビ、冷蔵庫などから常時発生する電磁波ノイズを利用し、低消費電力型のIoTセンサーや通信機器などの稼働に必要な電力の安定的な生成と供給を可能にする。

 IoT機器の普及・高度化とともに、増加するIoT機器への電力供給の問題が注目される中、同技術は高い効果に加え、幅広い応用が期待できるエナジーハーベスティング技術として、電力循環モデルの構築と、持続的なIoT社会の発展に貢献することをめざす。

 同開発品は、SSSがこれまでチューナー開発で培ってきたアンテナ技術をもとに、電磁波ノイズの発生源である電子機器などの金属部をアンテナの一部として活用しており、さらに電気への変換効率を高める整流回路を用いた独自の構造を採用している。

 これにより、小型なモジュールながら、数Hz~100MHz帯の電磁波ノイズを電気エネルギーに変換し、低消費電力型のIoTセンサーや通信機器などへの給電や電池などへの充電が可能となる。

 高効率な電力生成を実現する同方式によるハーベスティング技術は、業界初となる。

 従来、注目されていなかった電磁波ノイズを新たな電力源として有効活用することにより、IoTセンサーなどで必要とされる電力消費に対して、電力を安定的に供給することができる。

 さらに、モジュールを構成する部品点数を抑えることで、小型化により設置の自由度を高めた。また、電子機器が通電されていれば、待機時においても電力収穫が可能なため、屋内外を問わず、工場やオフィス、店舗、家庭など、幅広いユースケースでの活用が期待できる。<ソニーセミコンダクタソリューションズ(SSS)>
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●科学技術ニュース●沖縄科学技術大学院大学など、「量子エンジン」の概念実証に成功

2023-10-13 09:40:11 |    物理
 沖縄科学技術大学院大学(OIST)の量子システム研究ユニットの研究チームは、ドイツのカイザースラウテルン・ランダウ大学やシュトゥットガルト大学の研究チームと共同で、量子力学の原理を利用した極小のエンジンを設計・製作した。

 同研究では、これまでの燃料を燃焼させる方法によってではなく、量子力学の原理を利用して動力を生み出すエンジンを開発した。今回の研究論文は、OISTの博士課程学生キールティ・メノン氏、エロイサ・クエスタス博士、トーマス・フォガティー博士、トーマス・ブッシュ教授の共著によるもので、英国の科学誌「ネイチャー」に掲載された。

 自動車に搭載されている従来型のエンジンでは、通常、燃料と空気が混ざった混合気がシリンダー内で点火される。その結果、爆発によってシリンダー内のガスが加熱され、熱膨張を利用してピストンを往復運動させ、その動力で車輪を回転させる。

 量子エンジンでは、熱の代わりに、ガス中の粒子の量子的性質における変化を利用する。この変化がどのようにしてエンジンの動力源となるのかを理解するためには、自然界に存在するすべての粒子が、それぞれの量子的性質に基づいて、ボソンかフェルミオンのどちらかに分類されるということを知っておく必要がある。

 量子効果が重要となる超低温では、ボソンはフェルミオンよりも低いエネルギー状態にあり、このエネルギー差をエンジンの動力に利用することができる。従来型のエンジンのように、周期的に気体を加熱・冷却するのではなく、量子エンジンはボソンをフェルミオンに変化させ、また元に戻すことで動力に利用する。

 「フェルミオンをボソンに変えるには、2つのフェルミオンを組み合わせて分子にする。この新しい分子がボソンである。この分子を分解することで、フェルミオンを再び取り出すことができる。これを繰り返し行うことで、熱を使わずにエンジンを動かすことができる」と、量子システム研究ユニットを率いるトーマス・ブッシュ教授は説明する。

 この種のエンジンは量子の領域でしか機能しないが、その効率は非常に高く、ドイツの共同研究チームが構築した現在の実験の設定では、最大25%効率を高められることが分かった。

 量子力学の分野において注目されるこの新しいエンジンは、急成長している量子テクノロジー分野のさらなる進展につながる可能性を秘めている。しかし、これは量子力学が自動車のエンジンに使われる日が近いことを意味するのか?

 「このようなシステムは非常に効率的だが、今回私たちは実験に協力してくれる人々とともに概念実証を行っただけにすぎない」とキールティ・メノン氏は説明。「自動車で使える量子エンジンを作るためには、まだまだ多くの課題が残されている」。

 また、温度が高くなりすぎると、熱が量子効果を破壊してしまうため、システムをできるだけ低温に保つ必要がある。しかし、繊細な量子状態を保護するために低温で実験を行うにはかなりのエネルギーが必要となる。

 同研究チームは、今後、システムの動作に関する基礎的な理論的課題に取り組み、性能を最適化し、バッテリーやセンサーなど、他の機器への応用の可能性についても調査する予定。 <沖縄科学技術大学院大学(OIST)>
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「<第2版>インターネット削除請求・発信者情報開示請求の実務と書式」(神田知宏著/日本加除出版)

2023-10-13 09:39:33 |    情報工学



<新刊情報>



書名:<第2版>インターネット削除請求・発信者情報開示請求の実務と書式

著者:神田知宏

発行:日本加除出版

 2022年10月施行の「改正プロバイダ責任制限法」に対応。これまでに1000件以上のインターネット関係仮処分を担当。削除請求、発信者情報開示請求を数多く手掛ける著者による実務解説書。どこに何が書かれているのか認識しやすく、体系的に理解しやすい見開き完結スタイル。著者作成申立書テンプレート多数収録。【目次】 第1章 相談と受任 第2章 サイト調査 第3章 サイトごとの方針 第4章 権利侵害の判断 第5章 類型別権利侵害の論点 第6章 仮処分の手続 第7章 削除請求 第8章 投稿者の特定方法 第9章 発信者情報 第10 章 発信者情報開示請求 第11 章 投稿者への書式集 論証用判例・裁判例集 付録 用語集 参考法令
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