内閣府 総合科学技術・イノベーション会議が主導する革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)の山本喜久プログラム・マネージャーの研究開発プログラムの一環として、NTTの研究グループは、大阪大学の研究グループと共同で、組合せ最適化問題の解を高速に探索する「コヒーレントイジングマシン」実現の基盤技術である、光による大規模な人工スピン群の生成に成功した。
同研究グループでは、光パラメトリック発振器と呼ばれる光の発振状態をスピンとして見立て、相互作用する多数のスピンが全体のエネルギーを最低とするようにその向きをとる現象を利用して、組合せ最適化問題の解を探索する「コヒーレントイジングマシン」の研究を行っている。
今回、長さ1kmの長距離ファイバ光共振器中に配置した高非線形光ファイバ中の四光波混合により、時間的に多重された10,000を超える光パラメトリック発振器を一括生成することに成功したもの。
さらに、隣接する発振器を結合することにより、1次元のスピンネットワークを模擬し、光パラメトリック発振器群が低温下のスピンのように振る舞うことを確認した。
同研究成果は、長距離光ファイバ共振器を用いて時間多重された光パラメトリック発振器を生成する今回の手法が、数千を超えるスピン数を持つコヒーレントイジングマシンの構築のための基盤技術として有用であることを示すものであり、大規模な組合せ最適化問題を従来に比して飛躍的に高速に解くコンピュータの実現に寄与することが期待される。