“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

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■科学技術ニュース■東大/東北大/ウクライナ科学アカデミー、「光-磁気スイッチング素子」実現へ

2012-10-02 10:49:25 |    電気・電子工学

 東京大学生産技術研究所の佐藤琢哉助教、黒田和男教授(現宇都宮大学特任教授/東京大学名誉教授)、志村努教授らの研究グループは、東北大学原子分子材料科学高等研究機構の齊藤英治教授ら、ウクライナ科学アカデミーのボリス・イワノフ室長と共同で、磁石に光パルスを照射するだけで磁気の波(スピン波)を発生させ、さらに光のスポット形状を変えることで波の伝播方向を制御することに成功した。

 電子のスピン自由度を利用する新しい技術“スピントロニクス”において、スピン波は、情報を伝達する媒体としての役割が期待されている。また、そのスピン波を用いたスイッチング素子を実現する上で、スピン波の伝播方向を制御する技術が望まれている。

 同研究では、磁性体に円偏光パルスを照射することで瞬間的にスピン波を発生させ、それを時間・空間分解して観測することに成功したもの。

 さらに発生したスピン波の源は、照射する光パルスのスポット形状に依存し、それを利用してスピン波の伝播方向が制御できることを理論的・実験的に実証した。

 光パルスのスポット形状が、スピン波の源を決定するというこの発見は、計算機ホログラムによる種々の形状の光スポットで自在にスピン波を時空間制御する技術につながり、スピントロニクスにおける光-磁気スイッチング素子への展望が拓かれる。

 

 

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