スイス雑話

スイスは海のない山国でありながら世界でトップクラスの経済水準を保っています。
ドイツ民族、フランス民族など複数の民族が割拠していましたが、戦争することの愚かさを悟り、平和協定を結び、さらに周辺国とは苦しい防衛時代を経て今は永世中立の国です。
中立ですが、最新の防衛技術は保持しています。
軍事施設は観光客の目に触れないように上手に隠しているようです。

昔は生活が苦しかったようで防衛で鍛えられた人々は周辺国で傭兵になりました。
ルツェルンにライオン記念碑がありますが、傭兵の悲劇を象徴しているそうです。
今は学問が発達し、人々は皆それなりの平和な職業を持っています。
金融業が特に発達していますが、土建、精密機械、ファインケミカルズなどの製造業も高度です。
バイオテクノロジーに力を入れているようです。

勤勉であり、彼らの仕事は信用されています。
単純な仕事でも一生懸命やっている印象を受けます。
一生懸命が力の源ではないでしょうか。

発電は水力が60％ぐらい、原子力が40％ぐらいです。
脱原発の方向ですが、決定はまだのようです。
電気社会になっているので躊躇しているのでしょう。
放射能汚染をおこしたら環境が売りのスイスのみならず、周辺国にも悪影響を与えます。
地震がないとはいえ、原発は大問題です。

食料は自給自足できず、輸入しています。
国産の農産物は高いと思いますが、国民は国産を消費しているようです。
農産物は自家消費されてしまうので輸出には回らないようです。
高くて国際競争力はないかもしれません。
農業収入は不十分なのでしょう、農業者の割合は少しです。
しかし荒れた農場は見かけません。
農業をやっている人は一生懸命やっていると思います。

アルプスの国でありながら交通を重視しており、鉄道も道路も高度に発達しています。
2122ｍのピラトゥス山に登る登山鉄道は世界一急勾配だそうです。
3454ｍのユングフラオヨッホ山頂に行く登山鉄道は、アイガー、メンヒの岩山の中の急勾配のトンネルを抜けて登ります。

トンネルが数多くできていますが、峠越えのつづら折りの道路も見事で、峠から見るアルプスの景観は雄大です。
有名な氷河特急は名前に偽りありで、今は谷間を行く鈍行です。
一部氷河の末端が遠くに見えるところがあります。
氷河の近くを通った昔の氷河鉄道の名前が残っているのだそうです。
土建業は高度に発達しています。
山地では高馬力のヘリコプターが重い土建資材を吊り下げて、運んだり、設置したりしますが、作業は精確精密で上手です。

観光産業に力を入れていますから、自然だけでなく、町も概して美しく保たれています。
都市部は雑然とする傾向にありますが、地方の町の景観は美しいと思います。

物価が高く、高所得のスイス人はいいのですが、出稼ぎは出稼ぎができないかもしれません。
給金をスイスで使い果たすことになるのではないでしょうか。
スイスは金持ちを大歓迎しています。
金持ちが行ってお金を使う国なのでしょう。

スイスに学べということで日本は多くのことをスイスから学びましたが、永世中立を学ばないのは困ったことです。
永世中立はスイスのように苦しい防衛を通して勝ち得るものだと思います。
集団的自衛、アメリカと同盟などと言っているようでは永世中立は不可能です。
集団的自衛など甘い考えだと思います。
中国は日本を軽く見るでしょう。