kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

自動車業界に広がる暗雲

2024-10-02 05:30:50 | 日記
欧州ステランティスが30日、2024年12月期通期の業績見通しを下方修正しました。中国勢の
販売攻勢に押され同国での販売が振るわないのが原因の一つです。独自動車BMWも先月10日
に24年12月期通期の業績見通しを引き下げました。英高級車のアストンマーティンも先月30日
に販売台数の見通しを引き下げました。いずれも中国市場での販売苦戦が原因です。

中国市場は景気低迷で市場が低迷していることに加え中国メーカーの販売攻勢で競争が激化し
ています。日本勢も同様に販売低迷が続いています。EVの過剰生産で同国では激しい値引き競
争が日常化しています。かつては日本を含め海外メーカーにとって中国ビジネスは高収益を期
待できるものでしたが、環境は一変しました。

自動車向けの汎用半導体も中国メーカーの攻勢が激化しています。中国では半導体の需給率ア
ップを国策に上げ自動車向けなど汎用半導体で中国企業の増産が加速しています。最先端分野
の半導体製造に使われる製造装置は米国の制裁で苦戦する一方制裁の範囲外の非先端半導体向
けの装置は自由に調達できることから昨年から中国向けが日本企業の間でも急拡大しています。

太陽電池、液晶パネル、リチウム電池、EVと中国メーカーは多額な補助金を使った大規模な
増産投資で海外メーカーを駆逐しシェア拡大しています。汎用半導体もまた中国勢を警戒する
局面に突入したようです。中国当局も米中の対立激化で自国のメーカーを優先して調達するよ
うに働きかけているとのニュースも出ています。自由貿易は西側諸国の共通した考え方ですが
ここ数年中国勢の洪水のような製品流入で原理・原則論だけでは通商問題は立ちいかなくなっ
ています。

日本の自動車企業も今年前半に比べて逆風が強まっています。中国市場での苦戦は続いている
ところに稼ぎ頭の米国事業も暗雲が漂っています。コロナ禍の半導体不足で新車はほとんど値
引きなしに売ることが出来ました。販売奨励金は低水準で推移していましたが、金利上昇で自
動車販売が低迷すると販売奨励金は上昇しました。日本車メーカーの利益率も下がりました。

それでも今年前半は160円を超える円安効果もあり自動車メーカーは中国市場の販売低迷や販売
奨励金の上昇をカバーできました。ところが8月から円が急騰140円台前半まで円高が進み自動車
企業は円安効果が期待できなくなりました。神風が止み今後はメーカー間の格差が一段と開くか
もしれません。中間決算時に今期業績がハッキリ見えてくるまで自動車銘柄への投資は注意が必
要なのかもしれません。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする