kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

同床異夢

2020-02-13 15:25:45 | 日記
13日ソフトバンクGは7営業日ぶりに下落しました。下落幅は5%と
決して小さくはありませんでしたが、6営業日で1200円の上昇から
考えれば想定の範囲内の動きなのでしょうか。

SBGの突然の急騰劇は米国の物言う株主として有名な投資会社のエ
リオット・マネイジメントがSBG株の3%を取得し最大200憶ドルの
自社株買いなどを要求したからです。

エリオットはSBGが保有株に対して過小評価されているとコメントし
ていますが、この点では創業者の孫会長兼社長の主張と同じです。
昨年6000憶円の自社株買いを実施したこともあり時期や規模は別に
しても反対している訳ではありません。株高という思いは同じでも
大規模な自社株買いという方法には同意できないでしょう。

もっとも孫氏の狙いは当面の余裕資金は投資事業などに振り向けたい
以降のようです。保有株で最大の時価総額を誇るアリババ株の早期売
却も否定しています。まとまった金額の案件となるとあとはソフトバ
ンク株になりますが、株式公開時に保有株の35%を売り出しています
からさらなる売却には高いハードルがあるようです。

エリオットは2018年ことから韓国の現代自動車やその関係会社の株を
取得し増配や自社株買いを会社側に求めていました。250億円の自社
株買いは実行されましたが、大幅な増配は株主総会で否決されました。
報道によるとエリオットは現代自動車グループの保有株をすべて売却
したことが先月判明しました。

この取引でエリオットは470億円の損失を出したと言われています。
SBG株は孫氏が22%を保有しています。直近で時価総額が11兆円弱の
SBG株をさらに買い進めて強引に要求を求めることは難しいと言われ
ています。投資額は2700憶円とも言われていますから現代自動車案件
での損失を埋めてプラスアルファがあれば撤退ということもあるかも
しれません。

エリオットは過去にアルゼンチン政府との戦いに勝利し巨額の資金を
手に入れたことで物言う株主でも強面の存在と恐れられていますが
この世界に100戦100勝はありません。個人投資家の投資哲学にもある
ように引き際が大切です。

SBG株の持続的な上昇があるとすれば物言う株主の取得ではなく本業
の投資事業の先が見えてきた時です。確かにファンド事業の最悪期は
脱したかもしれませんが再び成長できるかどうかが分かるのはまだま
だ先の話になりそうです。
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観光大国とイベントリスク

2020-02-13 08:49:25 | 日記
空運、鉄道、ホテルや旅館、レジャー施設、飲食なども含めた観
光業には常にイベントリスクが付き纏うという認識が必要です。
今回は感染症リスクでしたが、古くは中国、昨年は韓国との間で
発生した外交上のリスクも忘れてはいけません。

また災害大国の日本では台風上陸や地震発生も不安材料です。イ
ンバウンドの規模が大きくなり日本も観光大国の仲間入りしたこ
とで国内景気にも関連企業にも有事の際には大きな逆風となりま
す。

勿論長い目で見れば多くは克服できることですから5年、10年
単位で考えれば日本のインバウンド需要はまだ伸びるでしょう。
しかしここ数年余りにも急激に訪日観光客が増加したために一旦
イベントリスクが発生した場合大きな負の影響が発生します。

在庫の利く製品であれば後で増産して挽回できますが、空運や陸
運それに宿泊業やレジャー産業などは在庫の利かないビジネスで
す。後から挽回のできない構造になっています。しかもいつ発生
するか分からないので備えるにしても限界があります。

昨年の訪日観光客数の内訳は中国が3割、韓国が18%、両国で半
分を占めています。それに台湾や香港を加えた4カ国で四分の三
を占めています。特定の国に偏っていることがよりリスクを高め
ています。

地理的に近い4カ国からの観光客が多いのは仕方ない面もありま
す。しかし日本の真の観光大国を目指すなら地域の広がりは絶対
必要です。長期滞在が多い欧米諸国からの訪日客を増やす工夫が
必要です。日本には世界の観光地に負けないだけの観光資源があ
ります。

欧米市場に比べて東京市場の低迷は続いています。日本と産業構
造の近いドイツ市場に好調さに比べても劣勢は明らかです。海外
投資家の中でも国際分散投資の進んでいる欧州勢も足元の欧州が
好調なためにあえて不確実要素の多い東京市場を避けているので
しょうか。

中国と地理的に近くサプライチェーンで親密なつながりのあるこ
とも投資先として避けられるいる原因でしょうか。ここ数年のイ
ンバウンド特需で日本経済は恩恵を受けてきただけに逆風も強い
ようです。日本は国策として観光立国を目指している訳です。ま
た数の上では中国などのアジア諸国に頼らなければなりません。

観光業にはイベントリスクは常につきまといます。リスクは何時
か顕在するという前提条件でビジネスを続けなければなりません。
今回の騒動で如何に地方中心に中国人などの観光客に依存してい
たかが改めて明らかになりました。
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