スケール・モデルに使える紙って?
今から30年ほど前、「庄内ピーナッツ」が動き出した頃、機体製作の中で「紙貼り」のプロセスは実にシンプルでした。まだカラーコピーもパソコンもそんなに普及していない時代ですから、現在の様にカラフルではあっても忠実な実機の色再現をしていませんでした。紙を貼る糊もドープとか、障子を貼る糊とか、紙用のホワイト・ボンドとかでした。塗装する事が当たり前のようになるまでは、色紙の重ね貼りとか、サインペンとか、缶スプレーとか、現在と同じように皆さん工夫して機体を完成させていました。
紙の種類も色々ありましたが、模型用の紙と言えば基本は色の豊富な「エサキ・テイッシュ」でした。それ以外には書道用紙とか、障子用の紙とか、白しかありませんが薄く軽量な物を探したものです。当時は世界中を探せばもっと色々なピーナッツに適した紙があると思っていましたが、この世界だけは日本の独壇場で、海外の紙を扱う店でも「Gampi Tissue」とか「Japanese Tissue」とか「Esaki Tissue」等の名称で日本製が売られていました。国内では同じような目的で軽量な紙を探すインドア機のグループの方達も、一部を除いて薄手のフィルムに移行し、コンデンサー・ペーパーや手漉きガンピ紙はますます入手困難になってきました。
さて、スケール屋が紙を使う時の基準として、「価格」と「重量」だけの選択肢では、使えない時だってあります。紙の収縮率とか、塗料の乗り具合や塗装後の強度とか、貼る時の扱いやすさに加えて、表面の平滑度とかがプラスされて来ます。
収縮率*弱い骨組みには紙のちじみ具合を試してみないと大変なことになります。紙の収縮に負けない頑丈なバルサを使うか、軽い(弱い)バルサを使って紙の収縮をコントロールするか、プレ・シュリンクなどで最初にある程度殺しておくか・・・霧吹きをするたびにどんどん縮んでいく紙もあります、また繊維の方向で収縮が縦横で大きく違う物もあります。とにかく自分のスタイルにあった紙を選択するには、多くの経験をする事でしょうか。
強度*ほとんどの和紙は必要かつ充分な強度を持っていますが、過去に使った色の種類が豊富なアメリカ製の紙は、繊維の方向で片方向だけ非常に弱かったりします。そのまま使用すれば何とか使えますが、ドープを塗ったり吹き付けをするともろくなり、衝撃を加えると簡単に裂けてしまう紙もあります。
塗料の乗り具合*これも紙によって違いがあります。薄い塗料のブラシ塗装でははじいてしまったり、むらが出来たりします。また塗料を吸い込んでしまい、色がきれいに乗らなかったりする物もあります。使用する塗料との相性もあるようです。
表面の平滑度*スケール機にとって最も重要な部分かもしれません。これは紙を貼る段階でも、曲面部分を水で濡らして引っ張る時に繊維が細く取れてきたり、表面が荒れてザラザラになって来ます。ドープの下塗りでも表面がきれいな紙ほどサンディングの手間は省けます。塗装後もザラザラした感覚が少なく、しっとり艶やかな紙が私の好みです。
今朝、トム・ハルマンさんから1枚の写真が送られてきました。あの懐かしのドルニエ355です。彼が父親を連れてスミソニアン博物館の別館The Udvar-Hazy Centerを訪れた時、お父さんが非常に興味を示したのでピーナッツの次期戦闘機にしたいとのことでした。そこで昔の資料や写真を探したところ・・・何枚か出てきましたヨ。飛行性能は?飛行時間は?上反角は実機通りでOKか?等の質問でした。もちろんすべてOKです、作ってください。
Do335 The Udvar-Hazy Center
背中が写っているのは市川さんでしょうか?
今と変わっていないのは? 私のガン箱(美しい!)おそらく1987年夏の庄内緑地。
もう一つ「超・超・超ビック・ニュース」 先日一宮でコラボした中部F/F、庄内会員の西沢実さんが世界選手権F1B優勝!!!!凄い!!!!おめでとうございます!!!!