その昔アメリカ旅行の途中、カリフォルニア州オークランドに住んでいたガラス工芸家デビッド・ワグナーさんから「サンノゼの小さなホールを借りてインドアの飛行会が行われるので遊びに来ないか?」というお誘いを受けました。私はリノ・エアーショウの帰り道、サンノゼ迄は直接行くことが出来ますがそこから先は・・・住所を聞き地図を調べながら走るカーナビなんか無い時代、何とか無事に到着し海外で初めてのインドア飛行を体験出来たことが今では懐かしい想い出です。
そのデビッドさんが数年前サンタフェに移住し、結婚されてからも交流は続いていますが、このクリスマスに新作の写真が送られてきました。もう相当に古いお話ですがこの機体図面はピーテクでも紹介した事があります。Albatros D XIですが、彼はこの機体にかなりの愛着があるのか、もう一度最初から作り直し図面も描き直したそうです。その記事が雑誌フライング・モデルズ(Flying Models)2月号で紹介されるとのことです。
製作方法で色々と聞きたかった事があったので質問したら、雑誌記事の原稿がそのまま送られて来ました。しかしこれは版権問題もありそのまま使えませんので写真だけですがここで紹介したいと思います。
シリンダーはペックポリマー社で売られていたもの、恐らくウイリアムズ・ブラザーズ製の1/2インチスケール・キットのシリンダーだと思われます。プラスティックのプロペラは2本の中央部分を加工して4ブレードにしているようです。
すべての翼のアウトラインはラミネート加工されたバルサを使用し、リブにはアンダー・キャンバーをつけています。胴体のバルサは強度的な事も含め紙の収縮に負けないよう注意して選択されています。彼は日本製の紙を使い、水を使った霧吹きをして製作しています。
アンダー・キャンバーを持つ主翼の紙貼りでは、当然の事ですが下面はすべてのリブに糊をつけなければなりません。しかし上面の紙貼り時に多くの人は外周だけしか糊をつけません。この状態では紙の収縮が下面より上面の方が大きくなり、結果バナナの様な無段上反角がついてしまうそうです。ここは面倒でも上面のリブにも薄く糊つけて醜い上反角が付いた翼を作らないようにして下さい、そうすることによってより頑丈は翼ができるとの事です。この機体には翼端に1.6ミリのネジリ下げがつけてあるそうです。
最初はバルサを削って作られたエンジン・カウルとスピンナーですが、着陸の際に何か硬いものに当たると簡単に凹んでしまいます。そこで薄くて軽いプラスティックを使ってバキューム・フォームしたそうです。スピンナーとカウルによって見えなくなってしまうエンジン・シリンダーですが、ここはスケール・モデラーの意地でプラスティク製のものを使いました、必然的にノーズ・ウエイトが必要になってきますから。
この機体は15グラム以内に納まり、室内ではコンスタントに40秒の飛行をするそうです。
ロバート・ウエルズ製のプリント・ローゼンジ・テイシュが使われているそうですが、これは色々なローゼンジ・パターンのテイシュをネットでオーダー出来るお店の様です。
非常に美しい機体に仕上がっています。
さて、次回は「テルアビブの風」でも行きますか・・・・