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時事散歩Ⅲ第7回

2014年02月19日 | Weblog
SOCHI(ソチ)

 ロシア連邦クラスノダール地方の都市で、黒海に面するロシア随一の保養地であるそうな。人口は39万5000人とある。現在冬季五輪(第22回大会)が開催されていることは誰もが知っている。ソチは人口でみると、1998年第18回(冬季パラリンピックは第7回)の冬季五輪を開催したわが国の長野市(人口37万9000人)と同規模の都市のようだ。

 「ソチは気温が現在20℃で温かい」という現地からの報道があったりしたが、わが国では、五輪が始まって以来、首都圏でも雪の日が多くなって大混乱である。また雪かきかと思うとうんざりしたが、14日からの当地の雪は水っぽく、車の轍で多くが融けてくれた。しかし、山梨、群馬、秩父などの雪は凄まじく、道路を閉ざし物流を止めて孤立集落をいくつも作っている。

 しかしオリンピックではここ数日、羽生選手の金メダルや41歳葛西選手の大ジャンプに日本中が湧いた。羽生選手は、フィギア団体でもポイントを上げていたが、結局団体日本は5位止まり。その後も期待されたモーグル女子の上村選手が惜しくもメダルを逃し、男子スピードスケートも入賞どまり。本命の女子ジャンプ高梨選手もメダルに届かず、前半戦は日本選手に不運がつきまとっていた。

 高梨選手の2回目のジャンプは朝の4時頃起きてライブで見た。それにしても、たったの2回で順位が決まる競技なのだ。統計的確率論でいえば到底実力差とは言い難いが、そこに勝負の綾があって、世界級の選手なら誰もがメダルの可能性を秘めている。真の実力者が常に勝利できる舞台ではないことは、他の競技以上のようだ。ジャンプ台の自分に適さない癖もあるらしい。飛ぶ時の僅かな風向きやその強さの影響も大きい。他の競技での日本選手の成績の流れもある。自分は勝たねばとの余分なプレッシャーも掛ったかもしれない。

 しかし翌日の新聞では、敢えて彼女の健闘を称えるエールが多く見られた。実際彼女のこれからの長い人生を考えれば、今回あっさり金メダルを取るより、メダル無しに終わった方が良かったかもしれない。恐らく本人は、何かにつけて悔しさがこみ上げるものと思うけれど、そのことが今後のあらゆる面での進につながって行くと思うからである。「勝つ事ばかり知りて負ける事を知らざれば其の害身に至る」とは徳川家康の言葉というが、まさにこのことかもしれない。

 前半の日本選手の不運を一気に吹き飛ばしたのがスノーボード男子ハーフパイプのスーパー中学生平野歩夢選手と高校生平岡卓選手コンビだった。ここから流れが変わった。あの荻原健司選手でさえ取れなかったオリンピックのノルディック複合個人のメダルを、渡部暁斗選手が20年ぶり*6)に奪取した。そして羽生選手の完璧なSPの演技、7度目五輪葛西選手の悲願の個人メダルにつながる。

 後で知るメダリストのこれまでの長くもない人生で出会った挫折、家族の支えと本人の競技に掛けた意志の強さなど。そして晴れの舞台。「結果がすべて」もあり、「参加することに意義がある」でもまた良し。

 それにしても五輪には、晴れやかな舞台を裏で支える人々が大勢いる。雪と氷の中、長時間の警備やコース監視、点検・整備に当たる人々。選手や関係者の食事や宿舎の世話をする人。そして応援に駆け付ける人たち。報道陣。SOCHIの人々はじめ運営のみなさまにもメダルを与えたい世界のイベントである。



*6)20年前の第17回リメハンメル大会の河野孝典選手の銀メダルがあった。
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