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時事散歩Ⅲ第8回

2014年02月22日 | Weblog
拉致

 北朝鮮による拉致が公然と論じられるようになったのは、1980年代も終り頃ではなかったか。1987年11月の大韓航空機爆破事件を起こした北朝鮮の工作員が、日本人拉致被害者の女性から日本語や日本の風習について教わっていたとする発言もあり、多くの国民に現実の認識となった。それでも当時、わが国の公党が一部右翼勢力の捏造のように公に発言し、著名な学者も拉致に否定的な論文を発表するなど、拉致問題での北朝鮮への圧力を妨害したとある。しかし、2002年の小泉訪朝によって金正日総書記が拉致を認めるに至り、捏造説を支持していた連中は何だったのか。その偏った情報収集や分別のなさを今更詰っても、カエルの面に何とかの連中ではある。

 所詮左翼政党も資金源の思惑で動く。猪瀬前知事は5000万円で辞めたが、前政権の中枢にあった複数の政治家が、不当な外国人献金を受けていたことが発覚しながら、大臣を辞した程度で、今も人道上の見地からとか、かの国の不当な要求に応じようとする発言を繰り返している。こともあろうに当時のある総理大臣は、日本人拉致事件容疑者親族の政治団体への献金問題を国会で追及を受けている最中に大震災に救われた。外国人参政権付与を主張する議員が民主党には多く、献金者の思惑は明確である。同じ日本人から受ける賄賂よりはるかに悪質である。発覚した額が少なければ、売国行為を不問にしてこの国の政治家を続けてもいいのだろうか。

 2月18日の読売新聞によれば、『北朝鮮の人権に関する国連調査委員会が、北朝鮮による外国人の拉致などに関して、国家政策に基づく組織的な人権侵害が裏付けられたとする最終報告を公表し、北朝鮮の人権侵害は「人道に対する罪」だとし、国連安全保障理事会に対し、金正恩第一書記を含む北朝鮮指導部の個人責任を追及するため、国際刑事裁判所へ付託することを勧告した』とある。

 要するに、拉致は一部の特殊部隊の暴走行為などではなく、国家の政策に基づいて行われたものと断定したのである。「これほどの人権侵害が、まかり通っている国は、現代では類を見ない」と断じているという。

 拉致問題発覚から幾霜月。わが国の拉致被害者家族会などの渾身の働きかけも徒労に過ぎていたことを思えば、遅過ぎたとはいえ確かに一歩前進ではある。しかし、このような調査報告が出て、勧告が行われても、国連安保理には拒否権を持つ国がある。中国は恐らくこの勧告に賛同しないと見られ、国際裁判所で審理が始まる公算は乏しいともあった。

 以前から言われている問題なのだけれど、国連とは一体何なのか。単なる世間体で、いろいろ慈善事業もやるけれど、肝心なところになれば、やってみたけど拒否権に阻まれて進展せずでは、その間に使った費用は単なるジェスチャーのために使われたことになる。調査委員がどれほどの報酬を得ているかは知らないが、国連とは世界の一部知識人の雇用対策の場に過ぎないことになる。

 シリア問題の裏にロシアがあり、アメリカがある。北朝鮮には中国がいる。大国の思惑で、この21世紀になおそれぞれの民衆が戦火に怯え、人権を置き去りにされている。強者がそれをもって正義となってはならない。正義そのことが強者となれるような仕組みづくりが必要である。軍事費を毎年2桁で伸ばしている国に未だに投資するこの国の経営者の言い分は民間交流でも、それは建前。欲の皮が突っ張った顔を仮面に隠し、実業家としては当然かも知れないが、「儲けられるうち儲けよう」としているだけのことだ。そしてそれは結果として彼らの軍備拡大に手を貸していることになる。拉致はねつ造だと北朝鮮を擁護していたこの国の政党のごとく、この国にあってこの国を思わざる行為に映る。

 国連で拒否権を行使する国は、この世界にあって世界を思わざる国に映る。期せずして拉致問題は、未だことの推移を見守る必要はあるが、国連に拒否権そのものが不要であることを改めてわれわれに示すこととなった。



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