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ものづくりへのオマージュその7

2008年07月20日 | Weblog
あるビールつくりの話

 2007年8月20日号の日経ビジネスの記事からの紹介です。日本のものづくりというと、どうしても機械やその部品づくりを連想します。精密で故障が少なく耐久性に優れる。そんなイメージがあります。しかし、食品分野のものづくりでもカップヌードルなどに代表されるように、日本は優れた技術を発信しています。また、見て美しく食べておいしく、しかもヘルシーな和食が世界中でブームとなっているように聞きます。日本の食文化、この場合はものづくりとは言わず、文化なのですが、この伝統も日本の誇りです。ただし、ここに紹介するのは和食ではなく、ビールづくりの話です。地方の中小企業のお話です。

 『2007年食のノーベル賞と言われるほど権威の高い、「モンドセレクション」に5種のビールを出品し、すべてが賞を受賞した*註)埼玉県川越市のメーカーがある。株式会社協同商事、協同商事コエドブルワリーである。

 (株)協同商事は社長の朝霧幸嘉氏が82年に設立し、地元で獲れる有機野菜を市場や小売店に産地直送していた。その後幸嘉氏がドイツで製法を学んでビール作りを決意し、「地ビール」ブームが到来した1996年から本格的に地ビールの製造を始めた。製造にはドイツから本場の醸造職人を招いてその技術を受け継いだ。自社製品ビールだけでなく100種類を超えるOEM(相手先ブランドによる生産)での受託生産も行った。

 しかし、98年をピークに「地ビール」ブームは去り、多くの醸造所が撤退し協同商事のOEM製造販売量も低下した。ビール事業は赤字が絶えなくなった。この窮地に立ち上がったのが、2代目重治氏である。自社ビールを「地ビール」とした土産物という一過性のものではなく、1つの製品として完成させたい。元々協同商事のビールは、本場ドイツ仕込みで味や香り、コクには自信がある。しかし、これを世間に認めさせる努力が欠けていると重治氏は考えた。抜本的なブランド改革が必要なのだと考えた。「地ビール」には大企業による大量生産品とは違う存在価値があり、すみわけできるはずである。「脱・地ビール」への挑戦であった。』



  本稿は、本文でもお断りしています通り、日経ビジネス2007年8月20日号「ひと 劇場」からの引用(『 ~ 』)で構成されています。
 *註) なお、2008年度 第47回モンドセレクションにも2品種出品し、
   最高金賞と金賞を受賞している。
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