だるま

2017-08-24 15:59:58 | 塾あれこれ
祖父は人が好かったようです。

そう「馬鹿」とか「ほとけ」とか。

晩年は痴呆症になってしまいましたが
その前は貧困に悩んでいた様です。
真っ暗な気分でいたのでしょう。

ある人が「これを売って歩きませんか。
出来高払いで結構です。」と
持ちかけてきました。

爺さんは天秤棒を担いで売り歩きました。
売れる訳がありません。
フトンの綿です。

そんなもん、行商から買います?

それにしても結構な重さになっていた筈です。
草臥れたに違いありません。

祖母は
「近所にフウが悪いから」

(この話、以前、書きましたっけ?)


或る時「売れたぞ」意気込んで帰って来ました。

「いくらで?」

「ン円」

「ほう、そりゃ
 で、そこにあるのは?
 ま、大きな達磨さん。
 え!まさか。物々交換?」

そう、売ったお金でダルマを買ったのです。
当人は「これで縁起が良くなるから」

祖母の言う通り、そんな物々交換をして
仕入れた金は納めねばなりません。


しばらくの後ダルマは行方不明になりました。

祖母は怒っていましたからぶっ潰したのでしょう。

爺さんの「行商」も終了です。


それにしても、そこそこ重かったであろう天秤を
隣町まで担いでまわるのは大変だったと思います。

(尾道⇔三原)

歩くとなれば結構な距離です。