だるま市の季節になりました。
昔は今よりもダルマさんの需要が多かったので
普通の家にも結構置いてありましたね。
ただ、それ相応の大きさのもの。
○
この時期になると祖父を思い出します。
(初代)幸兵衛
何度も書きましたが子供のころは大嫌いでした。
自分ひとりで問屋を成功させ、問屋組合の設立に尽力、
「仏のこうべえ」と言われたほど外面は良い人でした。
多くの明治人と変わらずウチ面は良くなかったですね。
色々なことがあったようですが、最後は大戦の経済混乱で
破綻してしまい、彼一代で天国と地獄を見ています。
その息子たちは揃って経済能力が無く、再興はおろか
蓄えだけが減って行くようでした。
辛かったでしょうね。
私もかなりの時期祖父母と暮らしており
後から振り返ると「没落」そのものの生活でした。
で、「初代(私が二代目)幸兵衛さん」は、こごとではなく
愚痴が多かった。
腹の底から絞りだすような愚痴を夕飯時に並べます。
真っ暗。
「ふうがわるい」と祖母が止めても徒歩で行商をしたり
もちろん赤字だった筈です。
長続きしなかったもの。
で、口からグチ。
○
あるとき祖母が激怒しました。
見ると家の目立つ所に立派なダルマさん。
騙されたとは言いませんが、話に乗せられたのでしょう。
「縁起ものだから」
いえね、ダルマが悪いとは言いません。
時と場合によります。
米びつの底が見えようという家計に、ご立派な高価な
ダルマさんは、つらすぎる光景です。
店が繁昌してたころは似合ってたでしょうに。
祖母の怒りは何日も続き、ダルマさんはモノ陰に追いやられ
そうしていつの間にか家からいなくなりました。
○
私が大人になって、ふいに浮かんできた光景があります。
三原から尾道まで海岸の道を天秤棒に大きなダルマをのせ
とことこと歩く老人。
いくら昭和30年代といえ、古めかしい姿です。
「縁起もんぢゃ。
これでツキが変わりゃあせんかの」
血をひく私には、何故だか、分かる。。。
昔は今よりもダルマさんの需要が多かったので
普通の家にも結構置いてありましたね。
ただ、それ相応の大きさのもの。
○
この時期になると祖父を思い出します。
(初代)幸兵衛
何度も書きましたが子供のころは大嫌いでした。
自分ひとりで問屋を成功させ、問屋組合の設立に尽力、
「仏のこうべえ」と言われたほど外面は良い人でした。
多くの明治人と変わらずウチ面は良くなかったですね。
色々なことがあったようですが、最後は大戦の経済混乱で
破綻してしまい、彼一代で天国と地獄を見ています。
その息子たちは揃って経済能力が無く、再興はおろか
蓄えだけが減って行くようでした。
辛かったでしょうね。
私もかなりの時期祖父母と暮らしており
後から振り返ると「没落」そのものの生活でした。
で、「初代(私が二代目)幸兵衛さん」は、こごとではなく
愚痴が多かった。
腹の底から絞りだすような愚痴を夕飯時に並べます。
真っ暗。
「ふうがわるい」と祖母が止めても徒歩で行商をしたり
もちろん赤字だった筈です。
長続きしなかったもの。
で、口からグチ。
○
あるとき祖母が激怒しました。
見ると家の目立つ所に立派なダルマさん。
騙されたとは言いませんが、話に乗せられたのでしょう。
「縁起ものだから」
いえね、ダルマが悪いとは言いません。
時と場合によります。
米びつの底が見えようという家計に、ご立派な高価な
ダルマさんは、つらすぎる光景です。
店が繁昌してたころは似合ってたでしょうに。
祖母の怒りは何日も続き、ダルマさんはモノ陰に追いやられ
そうしていつの間にか家からいなくなりました。
○
私が大人になって、ふいに浮かんできた光景があります。
三原から尾道まで海岸の道を天秤棒に大きなダルマをのせ
とことこと歩く老人。
いくら昭和30年代といえ、古めかしい姿です。
「縁起もんぢゃ。
これでツキが変わりゃあせんかの」
血をひく私には、何故だか、分かる。。。