若いころは新書が面白くなくフィクションが楽しかった。
いつの間にか新書のような内容が読み応えがあり
フィクションは「このパタンはね、昔・・・」と
思って面白くなくなってしまいました。
それでも新書のたぐいばかりですと飽きます。
「良い文章が読みたいな」
新書が悪い文章とは言いません。
文筆家が心血を注いだ名文にも触れたいね、と
思うのです。
文章の次元が違います。
◎
安岡章太郎『鏡川』
大傑作です。
2000年に発表されたそうですが、若い人には面白く
ないのではないでしょうか。
今の若い人に限らず、20代の私がそこに居ても
「それがどうかしましたか?」くらいにしか分からない
でしょう。
若くても人間をよく知る人なら面白いかもしれませんが
ふつうは老境に入りかけて少し見えてくる世界でしょ?
年取ってきて良かったと思う数少ない事例の一つです。
○
鏡川は高知城下・安岡氏のご母堂の実家から見える
光の美しい川だそうです。
母方の先祖をたどり、その生き方を小説に仕立てたものが
『鏡川』です。
かなりの部分が小説らしい文章ではなくエッセーに近い
感じで書かれています。
(作り物というイメージではなく、リアルになります)
200頁の中にたいへん沢山の人物が登場します。
人間関係も複雑です。
(調べるのも大変だったろうな)
複雑な事柄を短い中で自在に表現しながら、ラスト20頁は
ベートーベンの交響曲のコーダの如く盛りあがりますね。
よほど構成を練られたのか、それとも名人になると
こういうワザを使いこなせるのか。
○
歴史上の事にフィクションを交えながら再構成し
人物や人生を浮かび上がらせるのですが
その向こうに「人間とは」というテーマが見えます。
また著者の(人となり)も伝わってきます。
○
人生は、美しく、厳しく、哀しい。
人間てこういうものですが、安岡さんの手にかかると
どこか温かみも伝わってきます。
○
小説中に大沼枕山の七言律詩がありました。
横書きでは叱られそうですが、最後はこうです。
「残樽断簡是生涯」
the days of wine and rosesというより
東洋的なストイックな世界ですね。
いつの間にか新書のような内容が読み応えがあり
フィクションは「このパタンはね、昔・・・」と
思って面白くなくなってしまいました。
それでも新書のたぐいばかりですと飽きます。
「良い文章が読みたいな」
新書が悪い文章とは言いません。
文筆家が心血を注いだ名文にも触れたいね、と
思うのです。
文章の次元が違います。
◎
安岡章太郎『鏡川』
大傑作です。
2000年に発表されたそうですが、若い人には面白く
ないのではないでしょうか。
今の若い人に限らず、20代の私がそこに居ても
「それがどうかしましたか?」くらいにしか分からない
でしょう。
若くても人間をよく知る人なら面白いかもしれませんが
ふつうは老境に入りかけて少し見えてくる世界でしょ?
年取ってきて良かったと思う数少ない事例の一つです。
○
鏡川は高知城下・安岡氏のご母堂の実家から見える
光の美しい川だそうです。
母方の先祖をたどり、その生き方を小説に仕立てたものが
『鏡川』です。
かなりの部分が小説らしい文章ではなくエッセーに近い
感じで書かれています。
(作り物というイメージではなく、リアルになります)
200頁の中にたいへん沢山の人物が登場します。
人間関係も複雑です。
(調べるのも大変だったろうな)
複雑な事柄を短い中で自在に表現しながら、ラスト20頁は
ベートーベンの交響曲のコーダの如く盛りあがりますね。
よほど構成を練られたのか、それとも名人になると
こういうワザを使いこなせるのか。
○
歴史上の事にフィクションを交えながら再構成し
人物や人生を浮かび上がらせるのですが
その向こうに「人間とは」というテーマが見えます。
また著者の(人となり)も伝わってきます。
○
人生は、美しく、厳しく、哀しい。
人間てこういうものですが、安岡さんの手にかかると
どこか温かみも伝わってきます。
○
小説中に大沼枕山の七言律詩がありました。
横書きでは叱られそうですが、最後はこうです。
「残樽断簡是生涯」
the days of wine and rosesというより
東洋的なストイックな世界ですね。