MrKのぼやき

煩悩を解脱した前期高齢者男のぼやき

福島原発のたどる道

2011-03-16 00:00:59 | ニュース

このたびの東日本大震災で犠牲になられた方々に
深い哀悼の意を表します。

さて、
福島第1原子力発電所の危機的状態に対し
政府や東京電力の対応は
後手、後手に回っており
地域住民はもちろん、日本国中、世界各国を
大きな不安の渦に巻き込んでいる。
海外のメディアの論調は
日本の適切な対応に期待する一方、
完全には信用していない風でもある。
福島原発事故は本当に収束できるのか?
大丈夫だと、誰かはっきりと言ってほしい。

3月13日付 New York Times 電子版

Radioactive Releases in Japan Could Last Months, Experts Say 日本における放射能の放出は数ヶ月続く可能性、専門家が指摘

Fukushimadaiichinuclearpowerstation

月曜日の福島第1原子力発電所の爆発は写真右側の3号機の建屋の屋根を吹き飛ばした。左側の1号機の建屋は日曜日の爆発で損傷を受けている。

By David E Sanger & Matthew L Wald
 ワシントン発:日本の原子力施設の危機の規模が表面化するにつれ、日本と米国の専門家たちは、制御不能となったプラントからの放射能を有する水蒸気の放出が数週間から数ヶ月も続く可能性が示唆されるなど増え続ける一連の問題に日本が今、直面していると指摘する。
 制御不能に陥った2ヶ所の原子炉に対する海水の緊急注入とその結果生ずる水蒸気の放出は、それよりはるかに重大な問題(すなわち福島第1原子力発電所における2つの原子炉における炉心の完全なメルトダウン)を回避する目的で行われる最終手段である。月曜日、爆発によって2番目の原子炉の屋根が吹き飛び、関係者によると原子炉は損傷されていないものの、さらなる放射能漏れが起きている可能性が高いという。
 これまでのところ、日本の当局は2つの原子炉の炉心の溶融は『部分的』であると推定しており、原子炉外部で測定された放射能の量は日本が安全と考えているレベルの2倍ではあるが比較的低い値であるという。
 しかし米国防省当局は、日曜日、当該発電所から60マイルのところを飛行中のヘリコプターが、現在解析中ながら少量の放射性微粒子を捕捉したことを報告している。しかし、それらにはセシウム137とヨウ素121が含まれていると見られ環境汚染が拡大していることが示唆される。
 第二次世界大戦末期に異なる種類の核の恐怖の記憶が国民の心や国政に重くのしかかっているこの国では、プラントから長期にわたって放射能を持った物質の放出が続くことの影響はどんなに強調しても強調しすぎることはない。
 日本の原子炉のオペレーターには今、制御不能に陥った原子炉の燃料に対する緊急的冷却過程の一環として放射能を持った水蒸気を周期的に放出する以外ほとんど選択肢は残されていないが、それは核分裂が止まってからも一年あるいはそれ以上続く可能性がある。原子炉のオペレーターは常に原子炉を海水で満たそうとしなければならず、その結果、大気中に放射能を持った水蒸気を放出し続けなければならなくなると、第一発電所の設計に詳しい何人かの専門家たちは言う。
 そのことは、避難を行っている数万人の人々が相当の期間自宅に戻れないだけでなく、風向きの変化によっては放射能物質が海上にではなく日本の都市に向かって流されてしまう可能性があることを示唆するものである。
 原子炉の正常の冷却を回復するには電力を回復することが必要であるが、電力は地震と津波によって分断されている。さらにそれを行うためには原子力発電所の技術者たちに放射能で高度に汚染されている領域での作業が求められる可能性がある。
 さらなる水蒸気の放出は、太平洋に向けて汚染物質が拡大し続けることも意味する。日曜日の夜、ホワイトハウスは懸念を抑えようと、Nuclear Regulatory Commission によって行われたモデリングでは『ハワイ、アラスカ、その他のアメリカ領土、およびアメリカ西海岸はいかなる有害な放射能レベルを被ることはない』ものと結論付けた。
 しかし週末、東京とワシントンの間で一連の集中的なやりとりがあり、日本への最初となるアメリカの核専門家が到着した後、過去3日間にわたって悪い方向に向かっていることがより明確に把握されはじめていると当局者は言う。そして、ある上級職員はこう述べている。「最善のシナリオをたどったとしても、この事態が近い将来終息することはないでしょう」
 根本的問題は原子炉内の “off(停止)” の定義である。核の連鎖反応が止まり、原子炉が停止しても、まだ燃料は持続する放射活性、すなわち原子内部の粒子やガンマ線の放出などによって稼動中の約6%に当たる熱を産生している。
 通常、原子炉がとりあえず止められたとき、電動ポンプが容器から熱交換器へと加熱した水を抜き取り、熱を下げるために河川や海からの冷たい水が取り込まれる。
 しかし、今回の日本の原子炉では、電力が失われたため、そのシステムが作動しなかった。その代わりに、オペレーターらは容器内に海水を注入し、沸騰によって燃料を冷やそうとしている。しかし、この沸騰によって、圧があまりに上昇し、さらに水が注入できなくなるため、容器内のガスを大気中に抜き(vent)さらに水を送り込む必要が生ずる。この作業は “ feed and bleed(入れては出す)” と言われる。
 燃料に損傷がなければ、放出する水蒸気にはわずかな量の放射性物質が含まれるのみで、特に問題はない。しかし、燃料が損傷されていた場合、その水蒸気は汚染されていることになる。
 さらに考えられる懸念として、日本の原子炉の中には再利用されるプルトニウムを含む mox(mixed oxide=混合酸化物)と呼ばれる混合燃料で稼動しているものがあるということが挙げられる(フランスやドイツの一部の原子炉も同じ)。
 ニュージャージー州 Toms River の近くにある Exelon の Oyster Creek プラントの原子炉オペレーターで後に管理者となった Christopher D Wilson 氏は「通常なら、とにかく施設内でのディーゼル発電機や移動可能な発電機から電力供給を復旧させるでしょう」と言う。彼によれば、移動可能な発電機が福島原子力発電所に持ち込まれているという。
 福島原子力発電所は Oyster Creek と時期を同じくして General Electric 社により設計されており、この二つの発電所は類似している。問題はその配電網が、津波によって浸水した地下の部屋にある電気的スイッチング装置によって行われていることであると彼は言い、さらに「たとえ施設内に発電機を持っていたとしても、地下室から水を排除する必要があります」と述べている。
 このタイプの原子炉で働いた長い経験を持ち、現在は政府機関で働いている別の原子力技師は語気を強める。「完全にベンティング(venting)を中止するためには、いくつかの設備を再び稼動させる必要があります」と、彼は言う。彼は匿名を希望しているが、それは彼の機関が彼が話すことを許可していないからである。
 中心となる問題は津波の後に始まった一連の不具合から生じている。津波は福島原子力発電所を囲む護岸を容易に乗り越えた。低平地に置かれていたディーゼル発電機を水没させたが、これは、護岸が防御できるであろうという誤った信用によったことは明らかである。地震からおよそ1時間の金曜日の午後3時41分前後に、この地域は巨大な波に襲われており、発電機が停止した。東京電力によると、この発電所はバッテリーで作動する緊急冷却システムに切り替わったが、それらはすぐに枯渇した。
 週末に報告を受けた企業幹部や米国の専門家らによると、同原子力発電所内には次のような強い懸念があったという。プラントの一つの内部にある “cooling pond(冷却水槽)” の中に置かれている使用済み核燃料が露出され、有害と考えられる高線量のガンマ線を放出し始めていたというものである。その後、原子炉内部の水位が低下し始めている。評価は様々であるが、日曜日、当局者や原子力の専門家の中には炉心の核燃料と制御棒の上部4~9フィートが空中に露出したようであると述べた。これは、ただちに溶融を起こしかねず、さらに最終的には完全なメルトダウンにつながりかねない状況である。
 午後8時、ちょうど米国民が地震のニュースで目が覚めたちょうどそのころ、政府は緊急事態を宣言し、重大な問題はないというそれまでの安心な見方を否定した。しかし、枝野幸男内閣官房長官は、それまで放射能漏れはなかったことを強調した。
 しかしそれは起こっていたのである:原子炉内の作業員は、冷却水のレベルが低下しているのを見ていたのだ。彼らはどれほど大幅に起こっているかわかっていなかった。「水位を測定する計器が正確な測定値を示していないようです」と、アメリカの関係者は述べている。
 土曜日の朝までに作業員が知っていたことは、近くの福島第2原子力発電所の冷却システムもまた同じような多くの原因により機能しなくなってきていたことである。また福島第1原子力発電所の1号機の圧力の上昇が急速だったので、水蒸気を放出させることで圧を下げなければならないことも技師たちは承知していた。
 午後4時の直前、第1発電所の近くのカメラ・クルーらは1号機での爆発と考えられる像を撮影したが、水素の蓄積によって引き起こされたと考えられる。それは劇的なテレビ映像であったが、爆風によって負傷した作業員以外にとっては特に危険なものではなかった。
 東京電力から国際原子力機関への報告によれば、その爆発は建屋におけるもので、主要な原子炉容器には損傷はなかったという。(建屋の壁は、原子炉容器を損傷するような圧力が加わらないよう設計されたとおりに吹き飛んでいる)
 しかし、劇的な爆発は、炉心が冷却されてない場合原子炉容器の内部に起こるであろうことの警告徴候でもある。炉心への損傷を抑制する対応策として、東京電力は核反応を抑えるホウ素を混ぜた海水の注入を提案し、土曜日の午後10時20分にそれを開始したと国際原子力機関は発表している。
 それは最終手段だった。腐食作用のある海水は40年経過している原子炉を本質的に廃用物としてしまう。つまり、炉心を海水で満たすという決定はこの施設を放棄する決定に等しかった。しかし、その作業すら簡単ではなかった。
 水を注入するため、日本ではどうやら、通例の方法とはかけ離れた使い古された消火設備のようなものが用いられてきたらしい。しかし、容器内の圧力がきわめて高くなっているため格納容器の内部に海水を注入するのは困難となっている。
 ある米国の関係者は、この処置を「膨らんだ風船の中に水を注入しようとする操作」になぞらえ、日曜日の段階で「どれくらいの水が注入できているのか、あるいは炉心を水で覆うことができているのかはわかっていませんでした」と述べた。
 原子炉内の計器が地震や津波で損傷されている可能性があり、どれくらいの水が炉心にあるのかすら知ることが不可能となっているため、事態は深刻化している。
 さらにこの注入作業に関わっている作業員は放射能にさらされているとみられる。日本の報告によると、何人かの作業員は放射能中毒で治療を受けているという。彼らの被曝がどの程度深刻かについては明らかでない。

実に恐ろしい話である。
しかし一方で
MIT research scientist の Josef Oehmen 氏による
大きな問題はないとの見解もある。
一体、本当の所はどうなのであろうか?

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