MrKのぼやき

煩悩を解脱した前期高齢者男のぼやき

『チェルノブイリ』を活かせるのか?

2011-03-22 22:25:32 | 科学

政府は21日、
暫定規制値を越える放射性物質が
検出されたとの理由から、
福島、茨城、栃木、群馬各県のホウレン草とカキナ、
および福島県産の原乳の出荷を制限するよう指示した。
というわけで、これまでいいイメージのホウレン草が
今回悪者にされてしまった。
ホウレン草は地面に大きく葉を広げて生育するため
空中の放射性物質が付着しやすいということらしい。
それなら他にも影響を受けやすい葉物野菜が
ありそうにも思うのだが…
さらに今後の風評被害も心配である。
また牛乳に関しては、放射性物質に汚染された牧草を
牛が食べたことによるのだということだが、
そうなると乳牛に限らず牛の健康も心配になってくる。
今回の飲食物の暫定規制値は、
どの程度放射線性物質が臓器に取り込まれると
健康に影響を及ぼすかを厳密に計算して決められた
政府の原子力安全委員会の摂取制限の指標値に
基づくものであるという。
しかし、実は、摂取した食品中の放射性物質が
人にどういった影響を及ぼすかの厳密なデータは
専門家もいまだ持ち合わせていないというのが
現状らしい。

3月21日付 CNN.com

Effect of radiation on humans still harbors mysteries 人体への放射線の影響にはいまだ不明な点がある
By Thom Patterson

Chernobyl

チェルノブイリや広島・長崎の原爆からしか放射線の影響についての確定的な情報が得られていない。

 ホウレン草や牛乳に検出された放射能をめぐっての日本の懸念については、人体に及ぼすその影響についてほとんど知られていないことを考慮すると、疑問の浮上も禁じ得ない。
 いくつかの実験が動物で行われているものの、汚染された食物を摂取することが即時的および長期的に人体にどのような影響を及ぼすかについての情報はこれまでほとんど得られていない。
 その主な理由は研究対象が少ないことであり、1945年の日本の長崎・広島の原爆と、1986年、当時ソ連の一部だったウクライナのチェルノブイリ原子力発電所の事故で被曝した人たちに限定されている。
 しかし今、日本は答えを求めているところである。それはすべて、福島第一原子力発電所の6基の原子炉に混乱をもたらし、量不明な放射線活性を持つ水蒸気の放出につながった3月11日の巨大地震とそれに続く津波の波及効果によるものだ。
 3月20日、日本政府当局は、放射線活性を持つセシウム137とヨード131の放射性同位元素が検出された原乳とホウレン草の出荷を制限した。ホウレン草と牛乳に加え、原発近くの水道水からきわめて微量の放射性ヨードが検出された。
 ヒューストンにある MD Anderson Cancer Center の腫瘍学教授 James Cox 博士は、それら産物に検出された放射線は人体に対して即時的な危険は“存在せず”、長期的な危険も“きわめて低い”と考えていると言う。
 しかし、「食物として摂取される放射線量は実際のところほとんど把握されていない」という現状を彼は認めている。
 第2次世界大戦後日本で研究が行われているが、今日の専門家たちは、原爆投下後、放射能で汚染された食物の摂取が人にどのように影響を及ぼしたかについて明確な結論を出すのに慎重である。
 しかしチェルノブイリの事故は、放射線が実際に存在していた事実はもちろん、かつてのソビエト連邦の破壊した原子力発電所の内部および周辺の人たちに対して、通常放射能汚染された人に処方されるヨード製剤が総じて有用ではなかったという事実などから、この種の研究において現実の実験室となっていた。
 その事例は現在の危機的事態と関連性がある。というのも、日本におけるホウレン草と原乳のサンプルで検出されたヨウ素131同位元素は、チェルノブイリの場合と同様、原子炉の副産物だからである。
 ヨウ素131は放射性であることから通常のヨウ素とは異なる。しかしヨウ素131の特性は他のタイプと同じと考えられ、甲状腺は容易にヨウ素を取り込むことから、人の甲状腺に集積することになると、長崎・広島の被爆者に対する放射線の影響を専門に研究している Cox 氏は言う。
 甲状腺は食物代謝や体温調節などの働きを持つきわめて重要なホルモンを産生する。ヨウ素131を集積させないために、医師は通常、ヨウ素製剤(訳註:ヨウ化カリウム)を処方する。これが甲状腺を飽和させ、入り込む余地をなくしてヨウ素131を身体から排出させる。
 Cox 氏によると、多くの子供たちを含め住民たちはチェルノブイリが放出したヨウ素131で汚染された牛乳を飲んだ。そして、放射線が他の種類の食物も同様に汚染したことは明らかであるが、この牛乳の消費が癌発症の一因となっていたものと専門家は考えている。
 ヨウ素製剤の入手困難は今それほど問題となっていない。それらの薬剤にはアレルギー性の皮膚反応や腎障害などの有害な副作用の可能性はあるが、福島第一原子力発電所近くの住民が予防的にこれらの薬剤を内服しておくのは悪い考えではないかもしれないと Cox 氏は言う。
 「慎重に検討すべきことかもしれません、特に福島周辺の子供たちに対しては」と、彼は言う。
 放射性同位元素が半分減衰するのに要する時間、すなわち半減期はヨウ素では8日間であるが、それは、8日間で放射能レベルの半分が消失することを意味する。一方、セシウム137の半減期は約30年間であり、はるかに長い期間持続する。しかし、食物として人に摂取された場合、同位元素の中でもとりわけセシウム137の影響については知られていない。
 (食物や水などを介さない)直接的放射線被曝がきわめて有害であることは専門家たちによく知られている。大線量の空気中浮遊曝露は数日程度の早期に死をもたらす。米国疾病対策予防センター(CDC)によれば、低線量の被曝は晩発性に癌が発生するリスクを高める結果につながるかもしれないという。
 CDC によると、一般に、放射線被曝による健康被害は皮膚の発赤から発癌、死亡に至るまで幅があるという。障害は、放射線の種類、身体の放射線吸収量、放射線被曝の仕方、被曝時間の長さなどに依存する。
 放射能汚染食物の摂取については、一般の人たちに比べて、そういった物を飲食した人では発癌率が高いことが研究で示されていると Cox 氏は言う。しかし、明確な結論を出すことは困難である。というのも、たとえばチェルノブイリ近郊で汚染された牛乳を飲んだ可能性のある人たちは、別の手段で同様に放射線に被曝したかもしれないからである。
 放射能汚染食物の摂取が、その祖先へと受け継がれる可能性のある遺伝的変異を生ずるという証拠もほとんどない。
 遺伝的危険性が存在するかもしれないという想定は常にあるが、人では示されてはいないのです」と、Cox 氏は言う。

基準値を越える食品を数日間食べたとしても
今も将来も健康に影響はない、と政府は説明する。
また一年間食べ続けても
CT一回分より低い被曝量なので心配ない、とか。
しかし食品による内部被曝で気になるのは、
やはり低線量の長期被曝による発癌や遺伝子異常。
ただし、これに関しては本文中にもあるように
科学的に明確に証明されているわけではない。
だからといって、証明されていないから心配ない、
というわけにもいかず、
却って余計に不安を煽ってしまう結果に
つながってしまうのかも…。

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