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煩悩を解脱した前期高齢者男のぼやき

銃弾による脳損傷~帰還の望み

2011-01-10 18:59:08 | ニュース

アメリカでまた乱射事件が発生。
1月10日 asahi.com より(ウェブ魚拓)

Repgiffords2

abcNEWS.com より

1月8日午前10時過ぎ(日本時間9日午前2時過ぎ)、
米アリゾナ州トゥーソンのショッピングモール敷地内で、
民主党の女性下院議員ガブリエル・ギフォーズ氏(40)が
有権者との対話集会を開いていたところ、
近くに住むジャレド・ロフナー容疑者(22)が
突然拳銃を乱射した。
これにより連邦判事や9歳の少女を含む6人が死亡、
頭部を撃たれたギフォーズ議員ら14人が負傷した。

銃弾が頭部を貫通したと伝えられるギフォーズ議員、
彼女の容態は大いに気になるところである。
Washington Post 紙からの詳報を。
1月9日付 Washington Post 電子版

Signs of hope in Giffords's medical condition Giffords 氏の病状に希望の兆し

Repgiffords

アリゾナ州 University Medical Center in Tucson の外科医によれば Gabrielle Giffords 下院議員は疎通がとれていると言う。銃弾は彼女の左頭部を貫通、外科医らは脳の腫脹による圧を下げる処置を行った。

By Rob Stein and Shankar Vedantam
 Gabrielle Giffords 下院議員は頭部を撃たれた翌日の日曜日、生きるため懸命に戦っているが、医師らによると銃弾が彼女の脳の片側だけを通過したことや最初に反応があったことから、彼女が生存し、劇的に回復する望みがあるという。
 しかしながら、Giffords 氏には、銃弾外傷からの脳腫脹によって直接的な損傷と同程度の脳へのダメージが引き起こされ、症状の重大な悪化が惹起される恐れがある正念場の48時間を迎えている。このアリゾナ州民主党議員には、感染の可能性、さらなる出血などの多くの危険、ならびに永続的な障害を克服するための長期間のリハビリテーションが待ち受けることになる
 脳を撃たれた人、あるいはその他の重症頭部外傷の患者の多くは生存できないが、Ronald Reagan 大統領の報道官だった Jim Brady 氏のように再起できた驚くべき犠牲者の例もある。彼は1981年の暗殺未遂事件において脳への銃撃を生き延びた。Brady 氏は左の手足を使えなくなったが、それ以外はほとんど回復している。
 「頭部を撃たれた後、実際には完全に大丈夫であるとは言い難いのですが、Giffords 氏の場合、この状態から再起できる可能性は十分にあります」と、Brady 氏の外傷を治療した Georgetown University Hopital の神経外科 Arthur Kobrine 教授は言う。「彼女には、移動でき、笑うことができ、歩行ができ、泣くことができ、話すことができ、さらには議会に戻ることさえできるチャンスがあります」
 Brady 氏の損傷は Giffords 氏よりもはるかに重症だったが、彼は“奇跡的な”回復を遂げたと、Kobrine 氏は言う。しかし、Giffords 氏が Brady 氏と同じように回復できるかどうかを予測することは困難であると医師らは言う。
 「誰もがそう言い切ることには慎重ですが、私は楽観視しています」University Medical Center in Tucson の外傷医療部長の Peter Rhee 氏は言う。今回、彼のチームは最初に Giffords 氏を診察してから38分で脳神経外科手術に踏み切っている
 「このケースはかなり良い方です」と、Rhee 氏は言う。「銃撃されて銃弾が脳を貫通すれば生存の可能性はきわめて低いのです」
 今回の銃撃は22才の男性 Jared Loughner によるとみられているが、銃弾は至近距離で発射され、後方から議員の脳に入り、前方に抜けている。このことは、銃が発射された時、彼女は彼に背を向けていたか、背を向けようとしていたことを示している。
 Rhee 氏によれば、弾丸は Giffords 氏の脳の重要なかなりの部分を通過しているというが、幸いにも左半球から右半球へとまたがってはおらず、あるいはその反対でもなかった。弾丸が脳をまたぐように貫通すれば、脳幹など生命維持に重要な領域を含め、より壊滅的な損傷を起こす可能性がはるかに高くなる。
 「最も良い経過をとる傾向が見られるのは正中をまたがないように銃撃を受けた人たちです」と、Georgetown University Hospital の神経学 Christopher Kalhorn 準教授は言う。「もし銃弾が正中をまたげば予後ははるかに悪くなります」
 Giffords 氏の場合、脳の左側だけが銃弾により損傷されている。左または右の半球が無傷であるということは、犠牲者は一側がひどく損傷されていてもかなりの機能を残すことができるということを意味する。
 しかし、左半球の損傷は右のそれに比べてより深刻である可能性がある。脳の左側は身体の右半分の運動を制御し、すべての右利きの人と大部分の左利きの人にとって、発語と言語理解能力に大いに関わっている。このことが基本的命令に対するこの議員の反応性を逆に際立たせる結果となっていたのではないかと医師らは言う。
 「至近距離からの銃損傷であることを最初に聞いた時、彼女に助かる見込みはないと思いました」と、オレゴン州 Portland にある Providence Brain Instituite の脳血管外科部長 Vivek Deshmukh 氏は言う。「しかし、もし彼女が病院に運ばれた時、命令に応じているのであれば、それは彼女にとって良い徴候です。そのことは銃弾が重要な領域から外れていたことを意味するからです」
 土曜日に彼女が手術室に運びこまれる前に、手を握りなさい、とか指を二本示しなさい、などの命令にGiffords 氏は、応じることができており、このことは、彼女が聞いて、それを理解し、基本的な運動が行えたことを意味している。
 しかし、そのような命令に応ずることができることと、議員であることにつながる複雑な社会的な、コミュニケーション能力や管理能力を回復することとの間には大きなギャップがあると医師たちは警告する。医学的立場からは銃撃直後のそのような反応性は、この議員の生存の見込みには重要な手がかりとなるが、その先の彼女の予後については必ずしもそうではないのである。
 University Medical Center in Tucson の外科医 Michael Lemole 氏は、彼らが除去した“挫滅した”脳組織の量は少なかったと述べている。Giffords 氏は現在、深く鎮静され人工呼吸器下にあり、彼女がより複雑なコミュニケーションを取れる状態か否かはわからないと医師らは言う。これまでのところ Giffords 氏が銃撃の後話すことができていたという報告はない。
 「それは重要な問題です。左側の脳の最も重要な部位は言語をつかさどる領域だからです」と、New York の Montefiore Medical Center の神経学部長 Eugene Flamm 氏は言い、左脳には判断や読み、その他高度な認知機能にも重要な領域が含まれることを付け加えた。
 銃弾の射入および射出によって引き起こされる直接的損傷のほかに、銃損傷における外傷の最も大きな要因となるのが受傷72時間以内の頭蓋内出血と頭蓋内圧の亢進であると医師らは言う。
 Lemole 氏によると、医師らは直接的損傷を回復させることはできなかったが、脳内にとどまっている骨片や挫滅した脳組織を除去したほか、上昇が懸念される頭蓋内圧を“緩めて”軽減させ脳にゆとりを持たせる目的で頭蓋骨から正常の骨をはずしたという。
 「一般的な経験則は、回復が早ければ早いいほど、回復度は良くなるだろうというものです」と、Lemole 氏は言う。同時に彼はこう指摘する。それはあくまで経験則に過ぎず、個々の患者間で回復は全く“バラバラ”であるという。頭部への銃撃損傷からの回復は、数ヶ月、あるいは数年、あるいは生涯まで続く可能性を秘めたプロセスであると彼は言う。
 Giffords には感染のリスクを減らすため抗生物質が、またけいれん発作を予防するため抗てんかん薬が投与されている可能性があると、専門家らは言う。ケースによっては患者の頭蓋内圧を測定するため脳内に計測装置が留置されることもある。もし頭蓋内圧が上昇するようであれば、脳脊髄液を排出する管を挿入するために再び手術を受ける可能性もあると医師らは言う。
 「脳腫脹も同じように致命的となる可能性があります。脳内に腫脹が生ずれば脳には逃げ場がありません。脳の別の場所に新たな損傷を生じます。そのため対処すべき最も重要なことは頭蓋内の圧力を下げることとなります」と Deschmukh 氏は言う。
 目下左半球に対する損傷範囲は不明であり、Giffords 氏が完全な脳機能を回復するか否かは定かでない。
 今回のできごとから彼女が回復できるかどうかは私にはわかりませんし、現在彼女の治療に当たっている医師たちですらわからないと思います」と、Flamm 氏は言う。
 全くの幸運という要素もまた存在する。よく引用されるケースだが、1848年、金属棒が Phineas Gage という名の鉄道員の脳に突き刺さり、その重要な場所を破壊した。Gage は顕著な回復を見せ、その後12年間生存したというのである。
 

銃弾は左脳を貫通していたようだが、
術前、命令には応じることができていたとのこと。
左脳の一部をかすっただけだったのか?
しかし記事中にもあるように
銃撃損傷の場合、遅発性の脳腫脹には
最も注意が必要だろう。
とりわけアリゾナは銃所持率が高い州のようで
どんなにイカレた野郎でも銃を持ち歩けるとは
とてつもなく恐ろしい社会であると言えそうだ。

追記:Giffords 氏の主治医によると、
10日早朝の時点で彼女は安定しており、
CTスキャンでは彼女の脳の腫脹には
悪化の徴候は見られていないという。

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