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青年よ、風変わりであれ!

2012-10-12 23:28:54 | 科学

今回の山中伸弥氏のノーベル医学生理学賞受賞は
私たち日本人にとって実に喜ばしいことである。
iPS 細胞(人工多能性幹細胞)の開発が
今後の医学の発展において
計り知れない原動力となるであろうことは間違いない。
ところで、同賞のもう一人の受賞者、
ハリーポッターに出てくる魔法使いの先生のような風貌で
キテレツな髪型の(失礼!)、Gurdon(ガードン)先生は
一体何をなさったのであろうか。
一応チェックしておこう。

10月8日付 Washington Post 電子版

Nobel Prize for medicine awarded to Gurdon, Yamanaka for stem cell discoveries ノーベル医学賞は幹細胞の発見で Gurdon 氏と Yamanaka 氏に

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2008年9月1日に撮影された京都大学再生医科学研究所の日本人科学者 Shinya Yamanaka(山中伸弥)氏

By Brian Vastag,
 10月8日、2012年のノーベル医学生理学賞は、動物の発生に対し深い洞察を加えオーダーメイド医療の新時代に希望を提供することになった、両者にほぼ50年間の隔たりがある研究で、イギリスの科学者 John Gurdon(ジョン・ガードン)氏と日本の Yamanaka Shinya(山中伸弥)氏の受賞が決まった。
 「彼らの発見は、細胞や器官がどのように成長するかについての私たちの理解に革命をもたらした」と、授賞発表でノーベル賞選考委員が述べている。
 1962年、Gurdon 氏は巧妙な技術によってカエルのクローンを作ることで生物学の世界を驚かせた。彼は、あるカエルの小腸の細胞からの遺伝物質を別のカエルの卵細胞に移植した。その卵がオタマジャクシとなったことで、通常の細胞に生命体全体のあらゆる遺伝的指令マニュアルが含まれていることを明らかにした。
 他の科学者たちがその妥当性を容認するのに時間を要したこの実験は1997年の最初の哺乳類のクローニングである羊の Dolly につながった。それ以来、科学者たちはマウス、犬、猫、豚、馬、および牛のクローンを作ってきたが猿のクローンを作る試みは、ヒトの胎児のクローンを生み出す試みと同じ様に何度も失敗に終わっている。現在マウスのクローンが研究室の中心となっている。
 Cambridge University の名誉教授である 79 才の Gurdon 氏は、今でも彼の名がつけられた施設で研究を行っており、1995年には発生学の業績でナイト爵に叙せられた。半世紀前の彼のカエルの実験は次のことを明らかにした。「あらゆる種類の細胞はすべて同じ遺伝子を持っているため、ある種の細胞は別の細胞から導くことができるはずである」と、8日のロンドンでの記者会見で Gurdon 氏は述べた。
 2006年と2007年、Yamanaka 氏はマウスとヒトのそれぞれの細胞で時間を戻すことによってこの見識を発展させた。Yamanaka 氏は普通の皮膚細胞に4つの遺伝子を導入することで、実質的に不老の泉を見つけ出したのである。いかなる細胞も胚形成の初期段階に戻すことが可能であることを彼は発見した。
 これらの“人工的”胚細胞は、倫理上議論の多いヒトの胎芽から集められた幹細胞ときわめてよく似た機能を持つ。胎芽細胞と同じように他の多くのタイプの組織に分化し得る一方、胎芽を全く壊す必要がない。
 この大発見によって、いつの日か患者から皮膚細胞を採取し、しかるべき時にそれを胚形成段階に戻し、心筋や神経細胞などの代替組織に分化させることができるという希望がもたらされた。
 多能性幹細胞と呼ばれているそれらを、心疾患、失明性疾患、パーキンソン病、および他の多くの疾患の治療に発展させるために莫大な世界的研究努力が行われている。
 この技術で作られた細胞はその患者と遺伝的に同一であることから、「いつの日か拒絶反応を起こさない組織の移植を可能にするかもしれない」と Harvard Stem Cell Institute の所長で、アメリカの幹細胞研究の第一人者である George Daley 氏は言う。
 Yamanaka 氏の業績は「世界中の数百の研究室に広がっており、ほとんどすべての種類の疾患を研究するためにこの技術が用いられています。その影響はどれだけ誇張してもし過ぎることはありません」と Daley 氏は言う。
 すでに、科学者たちによって、アルツハイマー病、パーキンソン病、およびハンチントン病の患者から作られた“シャーレの中の疾病”を研究するのに、そういった形質転換した細胞が用いられている。さらに研究チームは皮膚細胞を直接、筋線維や脳のニューロンに直接変換する手っ取り早い方法も見つけ出している。
 人工幹細胞治療のヒトでの最初の臨床試験は来年からの開始が可能となったと 8日の記者会見で Yamanaka 氏は述べた。彼によると、これら3つの疾患は最初の試験の格好のターゲットとなるという。
 8日、Yamanaka 氏は自身の前進を可能にしてくれたのは同時受賞者のおかげであると述べた。「この分野は John Gurdon 氏とともに始まった長い歴史があります」ノーベル賞のウェブサイトに載せられた短い電話インタビューで彼は述べている。Yamanaka 氏は1962年生まれだというが、これは Gurdon 氏は自身の重要なカエルの実験を発表したまさに同じ年である。
 現在、日本の京都大学とサンフランシスコにある Gladstone Institute の2ヶ所に籍を置く Yamanaka 氏はかつて外科医としての訓練を受けたことがあり、患者を治療することが常に彼の目的だと述べている。「生涯の私の目標はこの幹細胞技術を、臨床に、そして患者に応用することです」
 しかし、人工幹細胞の治療応用の可能性には問題が残る。この細胞が腫瘍を形成する可能性がいくつかの研究で示されており、そのことで、身体の特異的な細胞が機能を失う心臓疾患、パーキンソン病、および他の多くの疾病を治療するのに絶対的に安全かということに対する懐疑的な考えがもたらされている。
 しかし、ノーベル委員会は次のように語っている。「両者の画期的な発見は、これまでの私たちの発生や細胞分化に対する考え方を完全に覆した。教科書は書き直され、新しい研究分野が確立された。ヒトの細胞をリプログラムし直すことで、疾患を研究し診断や治療の手段を開発する新たなチャンスが科学者たちによって生み出されている」

Gurdon 博士のカエルの実験は
彼の大学院生時代に行われたという。
あのユニークな髪型ばかりに目がいってしまうが、
実は相当偉大な生物学者なのである。
ノーベル賞をもらうには、
やはり普通の人が考えつかないような発想を
持たなければだめなのでしょうね。

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