ハリ天狗の日々奮戦

天狗のごとく山を駆け、野を走る(かな^^;)。 東京は西の端・青梅発、全国行き。日々鍼を打つランニング鍼灸師の奮戦記。

第30回日本山岳耐久レース・激闘レポ

2022年10月13日 | 日々奮戦

【出走者全員そろえなかったけど今年の青ト部面々】

第30回日本山岳耐久レース。2018年以来4年振りだ。前回大会で20回目の完走を果たし、なんと優勝者と同じ永久招待選手の栄誉を頂いた。参加費無料でグリーンゼッケンを付け前列に悠々と並べるという特権だ。



嬉しかったがなんか一つ壁をすり抜けてしまったような感覚もあった。それでも壁を抜けて次のステージはと目を凝らした途端、台風とコロナで3回の大会中止。いつも年間スケジュールのど真ん中で光燦然と輝いていたハセツネだったが、その光も少しばかり柔らかな光に変わっていたことは確かだ。時の流れと自分の歩み、それは当然のことだ。



さて、そんな状況で迎えた2022年10月9日、44歳で初出場をしてから数えること21回目のハセツネ。初の招待選手枠での出場。要するに早くから並ばなくていいのね。年齢も四捨五入すると70になるという67歳になってしまった(プログラムでは66になってたな)。今年は順位やタイムを狙うという気持ちはサラサラなく、レース前の気持ちとしては過去一番お気楽で純粋に楽しみに待てていた気がする。5月(OTK)と6月(奥信濃100)にロングトレイルを走ったくらいで、昔のように山をたっぷり走ってはいない。それでもこの所は佐渡のトライアスロンでも力を発揮出来たし、落ちにくくなっている体重もまぁまぁ良好、ランニングの調子も上がって来ていた。


【ダブルへのチャレンジふなちとハシモくん、娘みたいな元ライバルさっちゃんと】

どのくらいでゴール出来そう?という妻の問いかけには20回の平均完走タイム(12時間28分10秒)付近を目指すと。今の感じならいい線かなと踏んでのスタートだった。
来月いよいよ還暦だというキャプテントットさん(とうの昔にスーパーアドグリ)と並んでスタート。本当にスムースに流れに乗れて気持ちいい。焦る気持ちも全くないしいい感じ。前が詰まることもなく進むのであっという間に応援団が待ち構える今熊神社に到着だ。


【かずき〜(ハリ天の孫じゃないよ😅)】



速くない?いやぁ速いよ。スタートがスムースだからこれで普通だ。妻は藤田師匠の計らいでサプライズ応援に登場の石川弘樹さんとご一緒出来てご満悦の様相。ま、こっちも相当に元気だぜ。今日はやれそうだよ。


【石川弘樹さんより年下設定だそうな💦】

今熊の急登を過ぎるとしばらく走れるシングルトラックが続くが、選手もまばらでもうご機嫌モードだ。やっぱり前スタートは気持ちいい。
明らかにペースが速い選手には即、道を譲る。5、6人のパックをいくつか見送りながら順調に進む。順調だが心拍数に目をやると150台だ。うーん、昔、サブテンを目指していた頃は浅間峠まで160拍を超えないようにというのが痙攣を防ぐ1番の目安だった。今はどうだろう。やっぱりせめて140台には落としたい。入山峠で女子唯一のダブル(コース2周)に参戦の緑さんの後ろに。一緒に進みたいけどどうかなぁ。しばらくご一緒しながらも迷い続けていた。


【Thanks for Trail Runner.jp】

雨と寒さのことばかり気にしていたけどスタート時は案外暑い。走り出したらやっぱり汗は噴き出る。標高が高くなっていくと気温は下がっていたようだけど自分には暑いくらい。用意していたアームウォーマーも使わず。やがて我が家を建ててくれたビルダーさんが追いついて来た。それからしばらくは色々話ながらのあっという間の時間。早々に雨も落ちて来た。予報通りで気になる程ではない。どの辺だったか前の女性を抜いた後(醍醐丸よりうんと手前だ)、てっきりすぐ後ろにいるものだと思い込んでいたビルダーさんが消えていた。
醍醐丸の応援は賑やか。だけど大分冷え込み皆さん寒そうだった。レインウェアはまだいらない。軍刀利神社の急坂はいつも痙攣の様子を判断する場所だ。どうだ?序盤の高心拍が不安だったけどどうやら大丈夫そうだ。コースもぬかるみ始めていて上りは足の置き場に気を使う。下りは慎重に。このハセツネは明るい時間帯でまだ元気十分の浅間峠までのアップダウンが実は一番きついかも。なので、浅間峠までいかに足を使わず貯めておくかが重要ポイント。わかってるな。自問自答しつつ、その足に負担は感じ始めてはいたけどまずは快調に第1関門・浅間峠通過。序盤浅間峠まで3時間20分〜30分くらいで行けちゃうのじゃないかとお調子モードだったけど、、、計算超甘。3時間43分。ちょっと忘れていた所もあったかと感じる程案外遠かった。

良子さんのいつも熱い声援(スタート前にファイト羊羹ありがと)を受け、峠を一気に駆け上がる。ギリギリまでライトは使わず。みんなレインウェアを着ているが珍しく被っているキャップのおかげで雨もさほど気にならない。暗くなってきて気温もぐんと下がっているのはわかる。が、オレ、寒くない。うん、やっぱり寒さには強い方だな、などと独りごちながら進む。
25km日原峠あたりからだったか、しっかり稼げる道がツルツルでとにかく滑る。転けることはなかったが、木に抱きついて止まるとか相当に危ない場面に何度か遭遇する。横滑りして落ちそうになる。ハセツネ後から始まるロードシーズンに賭けている身としてはここで怪我などしては大変だ。守りの意識が急激に頭をもたげ出し一歩一歩が超慎重になる。当然スピードが極端に落ちて来た。
うーん、どうしようか。まだ寒くはないがこれから三頭山に向かうにつれ標高も上がるし、今のうちに着るか。初めてザックを下ろし、まずはアームウォーマー。が、腕が濡れていて上手く着けられない。焦るが手は少しかじかんでいて思うように引っ張れない。えーい、半分でいいや。次はレインウェアだ。これも腕が濡れていて滑らないので上手く着れない。焦る。時間がかかると段々冷えてきて一気に寒くなった。やっと着られたと思ったら今度はザックのストラップが上手くはまらない。もう散々だ。21回目の超ベテランのはずなのに、、、早め早めの行動に尽きますな。
すっかり冷え切って、数分前の自分はどこにもいなくなった。歯がガチガチと鳴る寸前だ。首や肩に異様に力が入っている。寒いのだ。動かなければダメだ。下りだと変な力が入って動きが遅くなり益々冷える。上りだ。今だ。必死に体に鞭打ち動く。それでもようやく落ち着いたのは三頭山を登り始める頃だった。危なかった。
体も温まって少し安心したのも束の間、上りで力を入れると痙攣が顔を出し始める。泥のぬかるみと戦っている間に変な体勢を取ることが多くなり、足への負担が一気に増してしまった感じだ。ポールがあるのでなんとか誤魔化せるが要注意。なんだか意気消沈気味だ。それでもとにかくは前に進まなければ終わらない。頭を空にしてひたすら足を運ぶ。ちょうど距離的に中間点の三頭山の山頂にどんな気分で到着するか。「もう三頭山だ」か「やっと三頭山か」
今年はどうだ?避難小屋はすぐやって来た感じだったが、そこからすぐのつもりがそんなことはなく、あれまだか?の連続。ということで今年はどちらも混在という中途半端な気分で通過。7時間ちょうどくらい。予定よりずいぶん遅くなってしまった。
さて、一気に下るがここがまた気を抜けない。結構なグループになっていたが皆慎重に。それでも数人が派手に転倒。大事に至らず一同ホッとする。
鞘口峠通過後の急登、いつも坂は途中で足を止めずにとにかく一気に行くことにしているが、ダメだ。ちょっと一息が入り出した。今回も補給は心配していないけど長丁場になりそうなのでちょこちょと補給。
今回妻が用意してくれた例の台湾カステラが期待以上の見事さ。



パサパサ感が全くなく水なしで気持ちよく食べられる(飲み込める)。しかも、今回は自分がイライラしたからってくるんだラップを剥がす持ち手付き。身内自慢になるがこれが最高。めっちゃストレス軽減。


【ちょっとかじかんだ手でも簡単】

胃にも優しく、これまで色々オリジナル補給食を持参したけど過去1なことが確定した。
さて、月夜見の第2関門までの道のりは案外稼ぎどころ。それはわかってはいるがスピードはもう上がらない。パックの先頭は追い立てられるようで嫌なので譲る。最後尾がいい。学生時代サイクリングクラブでクラブランに出ると、コースリーダーが先頭、班長が最後尾という隊列を組む。あの感覚。後ろから誰も来ていなくて真っ暗だったりすると落ち着く。なんてことを思い出しながらもやっぱり滑るところは滑るわけで、派手な転倒はなかったが、おぉっとという感じで片手を着いてバランスを保つこと数度。手は泥だらけ、ポールの握り手もドロドロ。奥多摩周遊道路に出たところで脇の水たまりで泥を落とそうと屈むとキーンと足が攣りそうになって慌てる。こんなスピードで痙攣が来るということはやっぱり序盤に心拍上げ過ぎた証しだ。

第2関門・月夜見駐車場(8時間32分)では今年は500mlのボトル3本をいただき自分で入れ替え。僅かな時間なのに止まっていると急に冷えを感じて慌てて再スタート。
下りは滑る滑る。踏ん張るとピキッと来る。嗚呼、やり場のない不安定感。ガスも湧いていて視界が悪い。過去一番苦手意識が強い御前山までの道のり。最近はそうでもなくなったかな。前後する選手たちも流石に皆疲労の色濃く、前に行ったり行かれたりは多分ほとんど同じ顔ぶれだった模様。
案外すんなりと惣岳山から御前山を越え、下りに入る。久し振りだが知らぬ間に登山道の木段が整備されていて足を置きやすくなっている。これはよかった。昔からこの下りは難所の一つだった。ピッチ上がったり止まったりで大ダワへ。ここまで来るとしっかり先が見えて来て一安心。あんなに長く長く感じていた道のりの終わりが見えて来る。残り20km少々、もう一息だ。
大ダワから大岳山までもかなり稼ぎどころだがピッチは冴えているとは言い難い。それでも大岳山までの距離表示が減っていくのが嬉しい。まだまだと思っていた最後の岩登り500mも木段等かなり整備が進んでいて進みやすくなっていた。かなり助かった。
大岳山の山頂でぬれ煎餅と最後の台湾カステラ投入。秘密兵器の自家製甘酒(500ml1本持参)にも後押ししてもらう。ようやく帰って来た。下りの岩場は皆、超慎重に足を置く。ハイカーの滑落事故も結構あった場所も慎重に。それでもちょっと時計に目をやった隙に横滑りし、落ちかけてヒヤリとした場面も。もっと疲れてたり朦朧としていたら危ないぞ。後方の選手たちは大丈夫だろうか。
マイペースで下り、水場も今年はスルー。途中のトイレに寄り長尾平の第3関門だ(12時間38分)。ここにはいつもの女将さん。彼女がいるというだけで元気をもらえるのだ。ありがとう。大きな声援をもらい御嶽神社を越え最後の山、日の出山へと進む。足が軽くなっている。応援の威力だ。
勢いよく宿坊の方へ降りて、と、そうだ、御岳を出る時に妻に電話をかける約束をしていたのだ。連絡もらってから家を出ると言っていた。切っていたiPhoneの電源を入れ宿坊の軒先を借りて、、、が、濡れた手での操作に反応してくれない。やっと反応したと思ったら電波が立っていない。もっと下へ降りて試すもダメだ。慌てて来た道を戻る。走る。お土産店街まで戻りようやく繋がる。く〜、なんか遅くなってしまったよぉ。もうゴール地点にスタンバイしていたって。そりゃ12時間半前後なんて言ってたからな。またもやとんだ嘘つきだ。
時間はえらくかかってしまったけど体は無事、足もちゃんと動いている。ただただ遅いだけ。遅いがしっかり走って日の出山。ラストの10km弱もしっかり攻めればかなりタイム短縮が出来るけど、もうその気迫がない。安全に安全に年寄り走りだ。金刀比羅神社を過ぎ最後の急坂も体を支えられている。せめて14時間台でと途中で計算していたけど、結局15時間を回ってしまった。セカンドワーストだ。


【長らくのお待たせ〜】

ゴール反対正面で妻ととっくに身支度を整えたさっちゃんが迎えてくれた。10月10日午前4時8分、15時間08分58秒。ひたすら長かった21回目のハセツネが終了した。きっと後まで語り草になること間違いない。

【泥だらけ】


【妻と一緒に迎えてくれた数年前はライバルだったさっちゃん。親子年齢だな】

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