誰も知り合いのいない新しい土地で、二人でまっさらな生活を始める。我々が結婚する前に勝手に描いていた夢のビジョンだった。
多くの親はなるべくなら近くにいて欲しいと願うのだろうし、事実、自分達だって島へ行こうと希望していたら、せめて地続きの場所に・・・と懇願された。
そして、そういう周囲の強い想いをばっさりと切って捨てる程の強い意志は持てず、現実路線を選択してきた。
自分達のそんないきさつがあったからこそ、次女が結婚することになり、彼と二人で見知らぬ遠くの地で新生活を始めたいと話があった時には、それがいいそれがいいと二つ返事だった。自分達が実現できなかったささやかな望みを若い二人には是非実現させて欲しいなぁと思った。
で、遠くへ行くの大賛成。
が、遠くにいるといざという時にすぐに駆けつけてやることは無理。頼りになる親戚や兄弟もそばにはいない。実はとっても大変なのだ。
そんな状況で3年が経過。実際に子どもを産み(里帰りもせず)、育てている二人には頭が下がる。お宮参りだってお食い初めだって、両方の親に囲まれてこなしてきた我らと違って、全て二人でやらざるを得ないから二人でやってきたのだ。偉い!
時々いさかいもあるようだけど、そんなのいいんだ。とにかく偉い!
そして今度はいよいよ家を建てた。これまた互いの親の援助を一切受けずに、やりくりしての結果ときた。しかも娘はあこがれの専業主婦。収入源は1本。色んな頭を悩ませられる状況が覆い被さっていたようだけど、二人で乗り切ってしまった。
我々はなんだかんだと親にずいぶん助けてもらう形でやっていただろうし、多分に楽もしてきた。だけど、宮崎の彼らは何をやるにもひとつひとつ自分達で考え、決断せねばならなかった。本当に大変だったと思う。はっきり言って偉い! あの頃の自分には到底無理難題ばかりだ。
自分達の若かりし頃を思い出すにつけ、遠くの地で健気に頑張っている二人には特別なエールを送りたい気持ちでいっぱいになるのだ。