混沌のつつまれてゐる熟柿かな 石母田星人
熟柿の皮は、まだ張りがあってパリッとしているのに、触るとふわふわと柔らかく、果肉が熟しているのがよく分かる。少し力を入れるとすぐに破れてしまいそうだ。一枚の皮に包まれた果肉は、まさに「混沌」そのものである。しかし、「熟柿」の定義づけとして、「混沌のつつまれてゐる」と詠んだところは、一歩上級の技だろうか。「滝」11月号〈瀬音集〉より抄出。(Midori)
熟柿の皮は、まだ張りがあってパリッとしているのに、触るとふわふわと柔らかく、果肉が熟しているのがよく分かる。少し力を入れるとすぐに破れてしまいそうだ。一枚の皮に包まれた果肉は、まさに「混沌」そのものである。しかし、「熟柿」の定義づけとして、「混沌のつつまれてゐる」と詠んだところは、一歩上級の技だろうか。「滝」11月号〈瀬音集〉より抄出。(Midori)