月すこし欠けてゐるなり野分後 大坪蕗子
今年もたくさんの台風が、次々と日本列島を目がけてやって来たが、台風を防ぐ術などはなく、ただじっと過ぎ去ってゆくのを待つだけである。さて、掲句の野分、それ程の大きな野分ではなかったのか、「月すこし欠けてゐるなり」と、何ともユニークである。被害もなく過ぎて行った野分だからこそのユーモアであり、安堵の思いが、一編の詩となったものだろう。「なり」に感じられるのは小さな驚きである。「阿蘇」11月号より抄出。(Midori)
今年もたくさんの台風が、次々と日本列島を目がけてやって来たが、台風を防ぐ術などはなく、ただじっと過ぎ去ってゆくのを待つだけである。さて、掲句の野分、それ程の大きな野分ではなかったのか、「月すこし欠けてゐるなり」と、何ともユニークである。被害もなく過ぎて行った野分だからこそのユーモアであり、安堵の思いが、一編の詩となったものだろう。「なり」に感じられるのは小さな驚きである。「阿蘇」11月号より抄出。(Midori)