十七音のアンソロジー★。・.:・゜'☆,。.:・゜'★

虚と実のあはひに遊ぶ  Since 2008 by Midori♡ H

2012-03-30 | Weblog
春永や乳首にもどる花のいろ    西嶋あさ子

自らの病を詠まれた句で占める8句の中の1句。
コートに包む身体は、息を吸うのも吐くのも困難で、
胸の手術を受けられる。麻酔より覚めて飲む寒九の水に、
生きていることの実感を得る。窓から見える冬の山を、
一日見て過ごし、一日分傷が癒えたと思う。そして、春・・・。
乳首に花の色が戻り、木々の一枝一枝にも命が張りを感じている。
そんな一連の句に感動を覚えた。
「俳句」4月号〈作品8句〉より抄出。(Midori)