時を貫き点滴の寒通す 倉田紘文
一滴ずつ体内に注入される点滴ではあるが、
「時を貫き」とは、何と激しい表現だろう。
まるで点滴と対峙しているかのようにも思えるが、
「点滴の寒通す」のリアリティには、精神性の高さも感じられる。
「点滴」と題された21句の中の一句だが、
「点滴の数を信じて春を待つ」に至って、安堵の思いを深くした。
「蕗」主宰。「俳句」3月号〈特別作品21句〉より抄出。(Midori)
一滴ずつ体内に注入される点滴ではあるが、
「時を貫き」とは、何と激しい表現だろう。
まるで点滴と対峙しているかのようにも思えるが、
「点滴の寒通す」のリアリティには、精神性の高さも感じられる。
「点滴」と題された21句の中の一句だが、
「点滴の数を信じて春を待つ」に至って、安堵の思いを深くした。
「蕗」主宰。「俳句」3月号〈特別作品21句〉より抄出。(Midori)