十七音のアンソロジー★。・.:・゜'☆,。.:・゜'★

虚と実のあはひに遊ぶ  Since 2008 by Midori♡ H

夕顔

2009-11-30 | Weblog
     夕顔に匠は明日の鑿を研ぐ    山下接穂

匠にとって鑿は重要な道具の一つであるに違いない。明日のために今日の鑿を研ぐことは、匠が守り続けている矜持でもあるのだ。しかし、夕方開き、朝には萎んでしまう「夕顔に」心を通わせている匠でもある。作者の視線はどこまでも客観的だが、『源氏物語』を思わせる「夕顔」と匠の異質な取り合わせに詩情を感じた。作者は「ホトトギス」同人。「阿蘇」12月号〈雑詠〉より抄出。(Midori)