月代の雲梯を臍渡りゆく 石母田星人
雲梯といえば、公園などでよく見かける遊具の一つだが、その雲梯を臍が渡っていったという。一瞬、「月の臍?クレーター?」と思ったが、「月代の」は「雲梯」にかかっている。きっと雲梯にぶら下がった少年のTシャツから覗いている臍なのだ。雲梯が月まで伸びて、最後に少年の手が月に届く・・・。こんな空想をしたくなるのは、その「雲の梯」という日本語の詩情の豊かさにあるのだ。やがて雲梯は少年の未来へとつづくのだろうか。「滝」11月号〈渓流集〉より抄出。(Midori)
雲梯といえば、公園などでよく見かける遊具の一つだが、その雲梯を臍が渡っていったという。一瞬、「月の臍?クレーター?」と思ったが、「月代の」は「雲梯」にかかっている。きっと雲梯にぶら下がった少年のTシャツから覗いている臍なのだ。雲梯が月まで伸びて、最後に少年の手が月に届く・・・。こんな空想をしたくなるのは、その「雲の梯」という日本語の詩情の豊かさにあるのだ。やがて雲梯は少年の未来へとつづくのだろうか。「滝」11月号〈渓流集〉より抄出。(Midori)