JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

悪い人・問題児・でも素敵

2008年04月19日 | d-f

牛歩戦術を決め込んだ爆弾低気圧は今日も猛威を振るっています。
おかげで散歩にも行けず、せっかくのお休みも家での引き籠もり(えっ?いつもと変わらないだろうって?いえいえ、気持ちの持ちようが違うんです...笑)、予定通りチェット・ベーカーの「LET'S GET LOST」を鑑賞し、改めて『終わりなき闇 チェット・ベーカーのすべて』の読み直しなどしながら過ごしました。
それでも時間は余り気味、珈琲などすすりながら、ジャズをバックに窓をつたう雨の雫を目で追えば、詩の一つも浮かぼうというもの・・・・あはははは、ないない、そんな才があれば今ここにこうしては居ないでしょうね。

そんなわけで、ついに鑑賞叶った「LET'S GET LOST」であります。
まぁ、この映画の撮影が開始された頃、チェット・ベーカーがどんな状況下にあったのかは織り込み済みですし、そのアウトローに満ちた彼の人生に驚くこともありませんでしたが、これほどまでにイヤミな奴が、これほどまでの迷惑男が、どうして好きだという人がこれほどいるのだろう?との疑問は増すばかりでした。

「彼は悪い人、彼は問題児、でも彼はすごくすてき!」
映像の美しさとベーカーの悲惨であろう人生とのギャップが、どうしてこんなにマッチするんでしょう?おそらくベーカーという人は、クールを装う甘えんぼさんで、さびしんぼうのM野郎の最低人間だったろうに、何だかとても人間味を感じ、「こんな人生を送っちゃ行けない」と思うのに、何処かで「なんと正直な人生だろう」と共感する・・・・
「彼は悪い人、彼は問題児、でも彼はすごくすてき!」
言い得て妙とはまさにこのことばです。

「人生は退屈?状況次第じゃとっても退屈なものになる。ほとんどの人にとって人生は退屈だ」
って、ベーカーさん、たしかに今日の午後は私にとって退屈なものでした。(笑)

さて、今日の一枚は、チェット・ベーカーではありません。(笑...ついこの前、紹介したばかりですしね)ジャズ・チューバ奏者レイ・ドレーパーです。

私は正直「チューバがジャズってどうなの?」という思いを未だに持っています。他に目立った演奏者がいないことから、これはことさらドレーパーを聴いての思いに他なりません。
たしかに、チューバという楽器をジャズに持ち込んだ彼の功績は大きいし、リダー作の共演者がコルトレーンでありジャキー・マクリーンであれば私が聴かないわけもありません。でもアルバム全てのドレーパーが好きかと訊かれると、素直に「はい」とは答えられないんです。
今日のこのアルバムにしても、あるいはマクリーン名義の「FAT JAZZ」や「JACKIE McLEAN & CO.」、あとから出てきた「STRANGE BLUES」にしても、コルトレーンとの共演盤「THE RAY DRAPER QUINTET」や「A TUBA JAZZ」にしても、やはりテナーやアルト、トランペットといった他の管にどうしてもひけを取ってしまうというか、無理矢理全面に出てきた感があるというか、チューバにはやはり限界があるように思えてならないのです。ですから今日のアルバムもドレーパー名義でありながら、結局はマクリーンに耳が行ってしまうという一枚です。
ただ、そうだからこそ、チューバの良さを聴き出したいとも思っているんですよ。

TUBA SOUNDS / RAY DRAPER
1957年3月15日録音
RAY DRAPER(tuba) JACKIE McLEAN(as) WEBSTER YOUNG(tp) MAL WALDRON(p) SPANKKY DeBREAST(b) BEN DIXON(ds)

1.TERRY ANNE
2.YOU'RE MY THRILL
3.PIVOT
4.JACKIE'S DOLLY
5.MIMI'S INTERLUDE
6.HOUSE OF DAVIS

おまけ、
余談ですが、じつをいうと私はジュビリー・レコードから出たドレーパー名義のコルトレーン共演盤「A TUBA JAZZ」を所有しておりません。いやね、コルトレーンと聞いただけでなんとか手に入れたかったのですが、長らく想い叶わずってやつで、ところがCDで「LIKE SONNY / JOHN COLTRANE」なんてぇのを見つけまして。
また、このCDの収録曲が変な組み合わせなんですよ。

全く関係のないコルトレーンとリー・モーガンのスタジオ録音をいっしょにして、さらにバードランドなんていうこれまた全く関係のないライブ・ハウスの名前まで入れてしまったという、ルーレットレコードの「THE BEST OF BIRDLAND Vol.1」から、A面のコルトレーン・カルテット(マッコイ・タイナーとコルトレーンの初共演音源)を持ってきて、それに「A TUBA JAZZ」を組み合わせちゃったというCDなんです。
自分で言っていても何だかわけの分からないCDなんですが、簡単に言うと

ってことで、これってお得CDなんでしょうか?



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