JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

ピアノの思い出?

2009年07月06日 | m-o

梅雨前線が北上して、ちょうど我が家の上あたりを行ったり来たりする日が続くようで、ここしばらくはハッキリしない、優柔不断な私にピッタリの天気になりそうです。
同級生を包丁で刺し殺す少年、パチンコ屋に火を着け関係のない他人を殺して逃げる誰か、割り切れない事件が続くのも、モヤモヤしたこの天気のせいなんでありましょうか?いや、そんなんで殺されたんじゃたまったもんじゃありませんよね。

さても、今日7月6日は、かのシーボルトがはじめて日本にピアノを持ちこんだ日『ピアノの日』なんだそうでありまして。
あのなんとも小賢しい楽器が(だってぇ、主旋は取れるわ、和音はOKだわ、リズムも刻めるわ、しかも同時に出来ちゃうわ・・・そんなのずるい。笑)日本に持ち込まれたのは、1823年といいますから、バルトメオ・クリストフォリが『ピアノ・エ・フォルテ・クラヴィ・チェンバロ』を発明してから114年、クリストフォリの弟子であるジルベルマンが『ハンマーフリューゲル』をバッハに紹介してから97年、モーツァルトがヨハン・アンドレアス・シュタインのピアノを弾いて感激して46年・・・・・
ともかく、日本に紹介されて186年後の現在、ピアノはキング・オブ・楽器の地位を不動のものにしているわけでありますね。

今はピアノがあるお宅も珍しくなくなりましたが、私が幼少のみぎりは(笑)ピアノを持っている家庭というと、それはもう裕福で、「私、ピアノ教室に通ってるの」てなお嬢様は、私なんかが無理矢理通わされた「そろばん塾」に集まるパンツ丸出しの女子とは、比較すらしない存在でありました。(パンツ丸出しは失礼ですかね。)
さらには、ピアノだのバイオリンだのを習っている男子に対しては、「へぇ~~女子みてぇ」てなこと言ってからかっておりましたが、あれは完全なやっかみだったのでしょう。

「好きな女子の縦笛をどうのこうの」って話はよくありますけど「音楽室のピアノを、まわりに誰もいないことを確かめながら、そっと音を出してみた。」なんて経験、みなさんにはありませんかねぇ?
私なんざぁ、鍵盤をそっと触ったつもりが、思う以上にデカイ音がして慌てて逃げ出したなんて記憶があります。

時が流れ、世の中空前のギターブーム、楽譜が全く理解できない私は、あれほどバカにしていた『ピアノが出来る男子』をどれほど妬んだことか、ジャズを聴き始めてからはなおさらでした。
「かあちゃん、なんで俺にピアノ教室通わせてくれなかったんだよぉ」
って、オイオイ(笑)

それからさらに時は過ぎ、娘のアルト・サックスを始めて買おうという時でした。
まっ、ピアノほどではないとしてもアルト・サックスだって庶民にはなかなかの買い物でありまして、そうそう新しい物をちょくちょく買うというわけにはいきません。そこそこの代物を大切に使ってもらうしかありませんから、「メンテを重視した楽器店を」てんでいろいろ調べましたよ。
その結果、多くの学校の楽器メンテを手がけ、いわゆる楽器店といった店舗は構えていないものの、地道に営業をされている楽器業者を捜し当て、そこから購入しました。
おかげで未だに娘はその業者にメンテを依頼しているようですが・・・・
そうそう、話はピアノでしたね。
その業者さんのお宅の別棟には、グランドピアノを始めとして10台ほどのピアノがおかれていました。
「サックスじゃないけど、音を聴いていかれますか?」
との誘いに
「ぜひ」

あれほど多種、多メイカーのピアノを、同じ奏者、同じ曲で聴く事が出来たのはその時が初めてだったように思います。
なるほど、それぞれに一長一短があり「やれ私はあれが好きだ、いやあの音が良い」と、ピアノも弾けないくせに言いたいほうだい。
「それにしても、こんなに音が違うもんなんですね。」
「そりゃそうですよ、音だけじゃなくてタッチもずいぶん違いますよ。」
ギターやサックスなら自分の楽器を持参して演奏が出来ても、ピアノは担いでまわるわけにはいきませんからねぇ、「そう考えるとピアニストってぇのは凄いもんだぁ」なんてみょうに感心した覚えがあります。まさに「弘法筆を選ばず」でありましょうかね。

七夕の前日『ピアノの日』に、ふとそんなことを思いだしたバブでありました。

さて、今日の一枚は、フィニアス・ニューボーン Jr.です。
こんだけピアノの話をしておいて「今日はサックスで~す」じゃあまりにひどすぎますから、大好きなファニアスにご登場いただきました。

技巧派、情熱派、ウンヌンカンヌン・・・・・
この人のピアノを聴くたびに思うのは、そんなこたぁどうでもいい、ってことですね。
このアルバムなんかも「何故かあっという間にA,B面聴き終っちゃう」みたいに錯覚してしまうほど、充実感の塊のようなアルバムだと思います。それがテクニックだろうと、ソウルだろうと、どうだっていいじゃありませんか。

このアルバムの魅力はもちろんそのフィニアスにあるわけですが、他にもリズム隊の妙、選曲の妙と、悪かろうはずがありません。
それにコンテンポラリー移籍第1作という意気込みも伝わってくるし・・・・

まっ、みなさんよくご存じの一枚でしょうし、説明よりなにより「何度聴いても良いものは良い。」そんなアルバムがここにもあるということです。

A WORLD OF PIANO ! / PHINEAS NEWBORN Jr.
1961年10月16日, 11月21日録音
PHINEAS NEWBORN JR.(p) PAUL CHAMBERS[1-4], SAM JONES[5-8](b) PHILLY JOE JONES[1-4],  LOUIS HAYES[5-8](ds)

1.CHERYL
2.MANTECA
3.LUSH LIFE
4.DAHOUD
5.OLEO
6.JUICY LUCY
7.FOR CARL
8.CABU

注、
文中の写真は、本文になんら関係がありません。(笑)