福田内閣の顔ぶれが変わった。中でも目玉と言われているのが総裁選を闘った麻生太郎氏を幹事長としたことと、郵政民営化で造反した野田聖子氏を消費者担当相に抜擢したことだ。だがこれで国民生活は果たして好転すると思えるだろうか。
先頃マスコミ各社が行った世論調査によれば、内閣支持率は前回30%を割り込んでいたのが今回の内閣改造で30%台を回復している。いつ解散総選挙になってもおかしくないと言われる中で、どうもマスコミとしては福田内閣に出来る限り長く続けて欲しい雰囲気が伺える。
特に、野田聖子氏の扱いは好意的に捉える報道が多いのが目に付く。街頭インタビューなどでも彼女に期待するという声を多く報道し、批判的な声をほとんど報道しない。そればかりか、失われかけた初の女性総理候補が再度近づいてきたなどと賛美する報道もある。
野田氏は郵政民営化で造反し、一度は自民党を離党する結果となった。その時の彼女の言葉は「自分の信念を曲げるわけにはいかない」だった。郵政解散と言われた総選挙の時には佐藤ゆかりを刺客として送られ苦戦したが、無所属として選挙区で当選、首の皮一枚がつながった。
その直後の郵政法案では手の裏を返したように簡単に信念を曲げ、法案に賛成した。更に小泉内閣から安倍内閣に変わった後、早々と復党を果たした。いうなれば、強かな女と言えるだろう。
だが、彼女がそのように振舞えるのも、古賀誠氏はじめとする一部勢力が彼女を支えているということと、福田内閣が元々男女共同参画行政に積極的であるからだろう。マスコミで野田氏が持てはやされるのも、福田内閣に対する批判がいまいち大きくないのも、フェミニズムに親和的な勢力が背後についているからだ。フェミニズムに批判的な安倍内閣の時と比べれば、マスコミの報道姿勢の違いは歴然としている。
マスコミでは専ら女性総理候補と噂される野田氏。ある意味それは日本女性の代表とも言える。世の女性達は野田氏をどう見ているか気になるところだ。夫婦別姓を支持するなどフェミニズムの申し子とも言えるような野田氏、彼女を女性の誇りと捉えるのか或いは恥と捉えるのか、今後の女性世論の真価が問われると言っても過言ではないだろう。