まほろばの泉

亜細亜人、孫景文の交遊録にある酔譚、清談、独語、粋話など、人の吐息が感じられる無名でかつ有力な残像集です

189連勝 アニマルといわれた男への手紙 2007 再

2024-08-08 14:51:26 | Weblog

 

友人が拙宅に同伴した渡辺さん、当時は中国レスリングのコーチ招請があった頃だ。

189連勝、オリンピック金メダル。それでもずい分と昔のことだった。

今どきのスポーツ選手と違って、当時は目の前に賞金やCM収入も無かった。

純朴さと忍耐力、世間慣れもなく、ゆえに騙されることもあった。

だが、流行りごとのように、騒いでいた人たちは、飽きると散る。

※故事「小人、利に集い、利薄ければ散ず」

幾度か連絡を頂いた。

そんな頃の手紙だった。

 

 

 

渡辺長武さんへ

69連勝だった横綱双葉山は敗れたとき、外遊中だった安岡正篤氏に打電している。

「我、いまだ木鶏にいたらず」

それは、騒がず、うろたえず、無闇に競わず、といった境地になかなかなれません、と報告しています。

勝った負けた、あるいは言い負かした、叱った、と言ってもすべて自分の至らなさだと双葉山は悟ったのです。

木で造った鶏のように落ち着いて、それでいて人が尊敬し、時には畏れられる人物にならなければならない。

おろかな人を責めるより、また、そうならないような人格と、落ち着きを養うことの修めが足りなかったと、その至らなさを「我 いまだ木鶏にた至らず」と打電しました。

名横綱として相撲界に名を残した双葉山の精神修養は、もう一歩、高いところにおいていました。
                    
                                   頓 首

 

イメージはosny meroさん・関連画像サイトより転載

 

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