A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

【えいたそ進化論】第三章「永遠説」サン・ラ/ドンチェ/フロイド/あがた/AKB/ピチカ/ブルハ/クロマ

2014年12月10日 00時15分15秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


永遠(えいえん、とわ)とは、物事の変化を認識するための概念である時間に対し、変化しないものの概念であり、常に移ろい過ぎ去っていく時間に対し、不変のものを言う。また、時間が有限であるのに対し、永遠であるということは無限であるということでもある。 有形、無形を問わずそれが何時の時点から存在するかを推し量れない過去から有る、元元・本来ある、またはある時点から存在している、いずれであってもそれらが過去から現在に、さらに際限のない未来へと不変の状態や形式で無限に存在し続けること。

●サン・ラ『The Eternal Myth Revealed Vol.1(永遠神話開帳 第1集)』
 

サン・ラ(Sun Ra, 出生名:Herman Poole Blount 正式名:Le Sony'r Ra,1914年- 1993年)はジャズ作曲家、バンドリーダー、ピアノ、シンセサイザー奏者、詩人、思想家である。独自の「宇宙哲学」と作曲、パフォーマンスで知られる。本作は13時間に亘る未発表ウルトラレアトアックス集に、サン・ラ本人の言葉による自伝コメンタリーを収録。第1集は1914-59年をカバー。CD14枚組+128ページブックレット付。

えいたそ学の始祖かもしれない、えいその細道の道しるべが道祖神ならぬ太陽神『サン・ラ』。サン・ラ神話のキイワードのひとつが「永遠」であることに異論はなかろう。永遠神話の隠された秘話を暴露する13時間【13(Thirteen)という数字が西洋に於いて特別の意味があることは偶然ではなかろう。例:!3th Floor Elevators】の記録集を一日で聴き通すことが出来れば、宇宙が裏返しになり「キミを一生照らし続けたい!☆それが夢かなばびゅっとおはえいそー(*´∀`*)!!!☆」な朝を迎えられるという都市伝説がある。




●ドン・チェリー『永遠のリズム』
 

ドン・チェリー(Don Cherry, 1936年11月18日 - 1995年10月19日)はアメリカオクラホマ州オクラホマシティ出身のジャズトランペット奏者。57年にオーネット・コールマンのグループに参加し、フリージャズ革命の先駆的存在となる。70年代はスウェーデンに移住し、オーガニックな音楽活動を繰り広げる。『永遠のリズム』は68年ベルリン・ジャズ・フェスティバルでのライヴ録音。ヨーロッパの即興音楽家を交えて大地に根付いたサウンドを展開する。

サン・ラと並ぶフリージャズのオリジネイターである故ドン・チェリーも永遠リズム(Eternal Rhythm)を生涯掛けて追及した。70年代は北欧瑞典(スウェーデン)に居を移し、奥さんのモキ・チェリーが制作するキルトに囲まれて有機音楽社会(Organic Music Society)を形成し、そこで育った二人の子供ネナとイーグル・アイは音楽の道で成功を果たした。「永遠」は音楽道を照らす星(あかり)と言える。




●ピンク・フロイド『永遠(TOWA)』
 

全世界で2億5千万枚以上のセールスを誇り、永遠にロック史に輝く"時代を超越する音芸術"、英国を代表する、歴史上最も偉大なロック・バンドの一つであり、歴史上最も成功したバンドの一つ、伝説のピンク・フロイド(デヴィッド・ギルモア、リック・ライト、ニック・メイソン)の1994年『対(TSUI)』以来20年振りとなる奇跡のニュー・アルバム。プロデュースをデヴィッド・ギルモア、フィル・マンザネラ(ロキシー・ミュージック)、ユース(キリング・ジョーク、ポール・マッカートニーとのザ・ファイアーマン)、アンディ・ジャクソン(近年のピンク・フロイド作品のレコーディング・エンジニア)が手掛け、その神秘的なアルバムのアートワークのクリエイティヴ・ディレクターにはヒプノシスのオーブリー・パウエル。キーボードのリック・ライトは2008年に死去。この作品はリック・ライトへのトリビュートであり、奇跡の「21世紀のピンク・フロイド」アルバムが誕生。

「ピンク・フロイドの道はプログレッシヴ・ロックの道なり」という当時のキャッチコピーが物語る通り、死ぬまでプログレの遺書といえる最新作のタイトル『THE ENDLESS RIVER』は、前作1994年『対』の最後「High Hopes/運命の鐘」という曲の一番最後のフレーズでもある。20年の時を超えてつながる輪廻転生はまさに「永遠」そのものに違いない。それはえいたそがディアステージ5年目にして長年の夢だったソロCDリリース権を獲得したこととに通じている。




●あがた森魚『永遠の遠国』
 

あがた森魚(あがた もりお、1948年9月12日 - )は、日本のフォークシンガー、シンガーソングライター、映画監督、俳優、エッセイスト。北海道留萌市出身。8年余りの歳月をかけ、'85年に発表されたあがたの超大作自主制作盤『永遠の遠国』(3枚組LP+廿世紀少年読本)。第1期250枚、第2期200枚の計450枚の限定発売だった。

『乙女の儚夢』(1972年)『噫無情(レ・ミゼラブル)』(1974年)『日本少年(ジパング・ボーイ)』(1976年)と浪漫主義の香り漂うあがた森魚の集大成は「永遠」とタグ付けされ、乗物好きらしく列車で手を振る日本少年の永遠の旅路を祝福する。80年代ヴァージンVSで『みゆき』『うる星やつら』といったTVアニメ主題歌を手掛けたのでアニメファンには馴染深い。えいたそも知っているに違いない。




●AKB48「永遠プレッシャー」
 

「永遠プレッシャー」(えいえんプレッシャー)は、日本の女性アイドルグループ、AKB48の楽曲。秋元康が作詞、丸谷マナブが作曲を手掛けた。2012年12月5日にAKB48のメジャー29枚目のシングルとしてキングレコードから発売された。キャッチコピーは「プレッシャーの分だけ、本気なんだ」。

「ぱるる」「ぽんこつ」こと島崎遥香が初センターを務め、また「こじはる」こと小嶋陽菜ががじゃんけん大会で敗退し選抜から外れたので、全シングル表題曲での選抜入り継続者が消滅した。この事実がAKBファンにとってどんな意味があるのかわからないが、でんぱヲタにとっては対岸の火事である。都知事選のCMソングに使われたというから政治的メッセージソングなのか?PVの寸劇が長すぎて途中で飽きてしまうので、楽曲をちゃんと聴いたことはない。




●ピチカート・ファイヴ「女王陛下よ永遠なれ」
 

『女王陛下のピチカート・ファイヴ -ON HER MAJESTY'S REQUEST-』(じょうおうへいかのピチカート・ファイヴ オン・ハー・マジェスティーズ・リクエスト)は、1989年7月21日に発売されたピチカート・ファイヴ通算3作目のオリジナルアルバム。“架空のスパイ映画のサウンドトラック”というコンセプト。Track 17.「女王陛下よ永遠なれ God Save the Queen」(3'52") 詞・曲 : 小西康陽・vocal by 小西康陽

ピチカートの田島貴男時代は筆者的には基本NGだが、佐々木麻美子のセクシーヴォイスや野宮真貴の初レコーディング参加曲があるこのアルバムは侮りがたい。ヘップバーンと007が出会ったイェイェスパイ冒険譚は、渋谷系男子の欲望が渦巻くフレンチロリータやバーバレラへのオマージュである。「彼女は人間じゃねぇ」とジョニー・ロットンが罵った「God Save」を「永遠なれ」と訳すセンスは、パンクの裏返し。ちなみに「星条旗よ永遠なれ」は「Stars and Stripes Forever」であり、ジミヘンの「アメリカ国歌(The Star-Spangled Banner:星条旗)」とは別曲なのでご注意のこと。




●ザ・ブルーハーツ「情熱の薔薇」
    

「情熱の薔薇」(じょうねつのばら)は、日本のロックバンド、THE BLUE HEARTSの通算9枚目のシングル。1990年7月25日リリース。レーベル移籍第1弾シングルで、最初で最後のオリコンシングルチャート1位を獲得した作品であり、TBS系テレビドラマ『はいすくーる落書2』主題歌。 2002年、中外製薬のグロンサン強力内服液のCMソングに起用され、2007年にはオリンパスのCMソングにも起用されている。2010年にはクロスカンパニー「earth music&ecology」(秋期)のCMで宮崎あおいが、2011年にはドコモスマートフォンのCMで新井浩文と渡辺謙が歌っている。さらに日本の高校野球では、「リンダリンダ」「TRAIN-TRAIN」と共に応援曲として演奏されることがある。

タイトルに「永遠」とは入っていないが、ヒロト&マーシーは芸能界で一二を争う永遠好きかもしれない。ブルハ最大のヒット曲の「情熱の薔薇」は「永遠なのか本当か」からの「いつまで経っても変わらない そんなモノあるだろうか」と、「永遠説」への率直な疑念を提示する。これまで学んだ全部が嘘っ八の出鱈目だとしても、心の奥に咲く薔薇だけは永遠なのだ。




●ザ・クロマニヨンズ「突撃ロック」
 

「突撃ロック」(とつげきロック)は、ザ・クロマニヨンズの11枚目のシングルである。2012年5月23日、自身のレーベルHAPPY SONG RECORDSからリリース。テレビ東京系テレビアニメ『NARUTO -ナルト- 疾風伝』のオープニングテーマに起用される。クロマニヨンズにとって初となるアニメのタイアップとなった。

「薔薇」から22年後、三つ目のバンド・クロマニヨンズに至って遂に「永遠です」と唱えて突撃する希望の歌を唄う。しかしながら未だ「見つかりそうなんだ」「いまやれそうなんだ」という予感だけで、実際に「(勉強よりも)大切なもの」を掴んだわけではない。永遠に手にすることが出来ないからこそ、ロケンローは永遠に続くに違いない。




永遠説』検証の最後の最後になってえいたそ☆成瀬瑛美さんの核心的アニメ『NARUTO』が登場したことは、我々のえいたそ学の奥の細道の旅路が、間違いなく正しい方角へと向かっていることの証拠と言える。確信を新たにして、この方向で更にえいその森の奥深くへと歩を進めることとしよう。
『NARUTO』完結に芸能界からコメント続々……生駒里奈は「ありがとう」(えいたそのコメントあり)

えいたそ街道
何処へ行くかは
お天気次第

▼『えいたそ進化論』書籍化(未定)表紙案第2弾。
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上原ひろみ ザ・トリオ・プロジェクト@東京国際フォーラム ホールA 2014.12.7(sun)

2014年12月09日 00時15分15秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


上原ひろみ ザ・トリオ・プロジェクト feat.アンソニー・ジャクソン&サイモン・フィリップス
『ALIVE』 日本ツアー2014


上原ひろみ(p)
Anthony Jackson(b)
Simon Phillips(ds)



2年前にライカ蒙古襲来して、日本中を戦場のメリークリスマス前夜の狂騒に陥れたSMピアノトリオが、2014年5月にリリースしたアルバム『ALIVE』のレコ発ツアーで再び来襲、お騒がせの愉快犯三人組として指名手配ならぬ全国行脚中。
上原ひろみ@東京国際フォーラム ホールA 2012.12.9 (sun)

北はデンマークから南はアルゼンチンまで、世界中を旅してきたザ・トリオ・プロジェクトの日本でのお楽しみは食事だという。特に丼ぶりやラーメンなどファストフードからインスピレーションを得るらしい。医食同源ではなく「音食同源」なのがひろみイズムなのであろう。

演奏の激しさ、三人の交感&交歓の深さ、BABYMETALに匹敵するヘドバンDANCEピアノ演奏、ドラムを叩くラモス瑠偉&ウクレレの代わりにベースならぬコントラバスギターを弾く小錦八十吉の存在感、そしてロリ声萌えMCを堪能して、顔を上気させた5012人の観客は2時間半の楽しい激論闘争に廃墟化したインターナショナル討論会場(forum)を後にした。

●上原ひろみ・萌えMC抜粋

『大部分が即興演奏なので、今日ここでこの瞬間にしか生まれない時間を楽しんでください』


『私たち3人はライヴ演奏しているときこそ「生きている」ことを実感します。ライヴは3人だけではできません。今日ここに集まってくださった皆さんがいるからこそ「ライヴ」が成立しました。皆さんのお蔭で私たちは今日も「生きる」ことが出来ます。』


『ライヴが終わった後も皆さんに生き続けて欲しいので申し上げます。シートベルトをお締めください。』

●凡例(論考に変えて)

アーバンギャルドの欝フェス@渋谷club asia 2011.8.10(wed)


アーバンギャルド vs でんぱ組.inc@渋谷 O-Crest 2012.7.11 (wed)


モーサム・トーンベンダー/オレンジレンジ@渋谷クラブクアトロ 2012.12.26 (wed)

 Photo by 船木和倖
カオスフェス2013 2013年4月7日(日) 日比谷野外音楽堂

 Photo by Yuko Under
JAZZ非常階段+JAZZBiS階段 2014年4月22日(火)新宿Pit Inn

上記ライヴ現場で筆者が受けた衝撃は、演奏者や音楽だけではなく、オーディエンス・観客(アーバンギャル&ギャルソン/アイドルヲタ/ジャンプ女子/研究員etc.)が生み出すパワーによる強烈な「生命力体験」によるものであった。その事実を120%肯定し、観客の力で「生かされている」ことを認める「上原ひろみ」「アンソニー・ジャクソン」「サイモン・フィリップス」の三位一体の霊魂は、観客が存在しない日常生活を「食事」に救いを求めてやり過ごしているのかもしれない。



Set List
1. WARRIOR
2. PLAYER
3. DREAMER
4. SEEKER
5. Flashback (VOICE)
-------------
6. MOVE (MOVE)
7. WANDERER
8. Margarita! (MOVE)
9. FIREFLY
10.ALIVE
-------------
11.SPIRIT

生命(Alive)は
父(The Father)と子(The Son)と聖霊(The Holy Spirit)
集う場所(Trinity)

クリスマスイヴイヴに『カオスフェス2014』の開催が発表されたが、同時に来日中の上原ひろみとBO NINGENも、カオス帝王・非常階段も出演しない不手際は、ひとえに当ブログの力不足の所作である。深く反省を促したい。
上原ひろみ@ブルーノート東京 2013.3.22 (fri) +妄想企画書 その2




<TSUTAYA presents カオスフェス 2014~Tカードで全員入場だよ~>
2014年12月23日(火) 新木場STUDIO COAST OPEN 16:00/START 18:00

[MAIN ACT] でんぱ組.inc/が~まるちょば/忘れらんねえよ/SODA!
[GUEST PERFORMER] いっこく堂
[DJ] DJ D-YAMA/PandaBoy/DJ 汐りんご/DJテンテンコ
公式サイ
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朝生愛, 樋口寿人@八丁堀七針/灰野敬二、太田惠資@下北沢Lady Jane 2014.12.6(sat)

2014年12月08日 00時45分12秒 | 灰野敬二さんのこと

(写真の撮影・掲載については出演者の許可を得ています。以下同)

寒気が急に強まった師走最初の週末に、地下音楽愛好家の心をくすぐるライヴイベント二連荘ハシゴに挑んだ。

朝生愛, 樋口寿人@八丁堀・七針

16:00 Open/16:30 Start八丁堀七針にて東京アシッドフォーク男女ペアの対バン。最近はどちらも然程活発に活動している萌(きざし)はないので、狭い七針が満席の盛況ぶり。若干出遅れたためフロアへ降りる階段の中程に腰を下ろす。

●朝生愛


会場に着いた時には既にスタートしていた。ボーンボーンとギターの単音が断続的に鳴る。朝生愛はテン年代半ばに惚れ込み足繁くライヴに通った。暫くご無沙汰していたが、最近ライヴ現場等で逢うようになった。ライヴ演奏を観るのは7年ぶり。昔と同じ赤いリッケンバッカーを指で弾き、囁き声で歌う。元々スローテンポの曲ばかりだが、ライヴで観る度に遅くなって行く。小型キーボードも用いた独りきりの演奏は、彼女の頭の部屋を覗くようなプライベートな空間。濃厚なPSYCHE(サイキ)が結晶する40分だった。

▼2007年当時のライヴ写真(筆者撮影)

朝生愛@吉祥寺Manda-la2
朝生愛@新高円寺 Salon by Marbletron
朝生愛@三軒茶屋 a-bridge 2007.11.11(sun)

●樋口寿人


PSFから作品をリリースする男性アシッドフォーク歌手。7年前に朝生の対バンで観たことがある。同じエレキギターの弾語りだが、聴き手を包み込む朝生に比べ、孤独に漂うような寂寥感がある。細かいビブラートのギタープレイが美しく、ルーツにあるブルーズが滲み出るのを感じる。アシッドフォークというと総じて儚いイメージがあるが、朝生や樋口のように透徹した自意識を貫く者しか生き残れないのかもしれない。




灰野敬二 (g, etc) 太田惠資 (vln, voice)@下北沢Lady Jane



おッ、午年最後の満月だ
関西ではつぶし餡にしてぜんざいとし、関東ではお汁粉と言って張り合うが、見ろよ浮かんだ白玉の満月の可愛らしさよ。
(Lady Janeフライヤーより)

灰野と太田は今年6月18日にタブラ奏者のU-zhaanを交え六本木SuperDeluxeでライヴを行ったが、デュオとして観るのは2012年2月12日下北沢Lady Jane以来。偶然にも前回はユニヴェル・ゼロとのハシゴだった。2003年の初顔合わせ以来10年以上共演する二人の演奏は、毎回何が起るのか判らないスリリングな愉しみを与えてくれる。
灰野敬二+太田惠資@下北沢 Lady Jane 2012.2.12 (sun)

演奏スペースのテーブルの上に「OTO」と呼ばれる円形メタルパーカッションが9個並んでいる。10月19日狩俣道夫とのデュオライヴで披露して以来灰野が積極的に取り組んでいるオリジナル創作楽器である。小型鉄琴やシンバルを使ったり、2ndセットでギターを弾いたりしたが、この日の演奏のメインは「OTO」だった。ヴァイオリンは基本的にアコースティック楽器だから、打楽器との相性は良い。想像するに、どんな冒険的試みにも対応できる太田とのデュオに於いて、この楽器の可能性をとことんまで試してみよう、という気持ちがあったのかもしれない。それは邪推に過ぎないが、2セット述べ2時間に亘る「OTO」の演奏は、微弱音から大音量までダイナミズムに富み、表情豊かで多彩で、演奏の流れをリードする主体性も共有しており、メイン楽器としての役割を十分に担っていた。生物学的理論に基づいて考案された、いわば「自然界の音」を産み出す楽器である。連続した打撃音は、厄よけの火打石を打ち続けるお祓いと同じである。頭の中にエコーする金属音が、悩みや煩悩を払拭し、体内がすっかり浄化された気分になった。

エレクトリックを含め3台のヴァイオリンと大きなタンバリンや拡声器を使い、ホーミーを交えた太田の演奏も、人間的な「OTO」のサウンドと見事にシンクロし、ダイナミックなストーリー性のある即興演奏を繰り広げた。灰野の新しい試みが見事に開花した今、2015年の灰野の活動が愉しみで仕方がない。

 

[2015/1/2 22:00追加]


存在を
浄化するよな
自然のOTO

▼灰野敬二が自身を語る1時間半の映像公開。「OTO」の実演有り。


オーストラリア人音楽ライターが解説する「灰野敬二を知るための15枚のアルバム」&灰野敬二トークイベント映像が公開
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【えいたそ進化論】第二章「エターナリズム」松田聖子/GLAY/水樹奈々/森口博子/バングルズ

2014年12月06日 00時24分59秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界



「でんぱーりーナイト」シングルを迎え撃つ形で見切り発進した『えいたそ学』第2幕「えいたそ進化論(Eitaso Evolution Theory)」は、前哨たる「えいたそ文化論(Cultural Studies of EITASO)」がえいたそ☆成瀬瑛美さんの既成概念(Established Images)の分析に終始したのに対し、今後付加されるであろう未知概念(Unknown Concepts)を先取りして解析する試みである。即ち『えいたそ来るべきもの(The Shape Of Eitaso To Come)』に他ならない。オーネット・コールマンの場合は、引き続き『明日が問題だ(Tomorrow Is The Qusetion!)』と問題定義し、『世紀の変革(Change Of The Century)』へと辿り着くこととなったが、えいたそ進化論を唱えたものはこれまで皆無なので、我々の先行きは不透明な靄に包まれている。それでも研究者の道は閉ざされはしない。新たな命題を求めて大海へ漕ぎ出すヨットのように。

 

  



さっそくえいたそ本人から新テーマのヒントが投下された。12月1日(月)オープン記念日に古巣秋葉原ディアステージを訪れた際に皆から「変わらないね」って言われたことに関する呟き。「エターナル (eternal) は、英語で「永遠の」や「不滅の」を意味する形容詞である。『えいたそ文化論』の最終章でチラッと言及した「えいたその永劫性」の核心に迫る呟きは、もしかしたらえいそからの無意識のメッセかもしれない。覚悟を決めてじっくりと沈思検証することとしよう。例によって作品内容(斜体部)はアマゾン等からのコピペである。


●松田聖子『Eternal』『Eternal II』
 

『Eternal』(エターナル)は、松田聖子の初のカバー・アルバム。1991年5月2日発売。発売元はソニー・ミュージック。 聖子が自ら選び、歌う 洋楽バラード・カバー・ソング集。全米デビューのため単身ニューヨークに渡っていた聖子が、当時現地でヒット曲としてよく耳にした洋楽をチョイスし、松田聖子のオリジナルとしてカバーした。2006年12月6日に洋楽カバー第二弾『Eternal II』(エターナル・ツー)もリリースされた。

「永遠のアイドル」Seiko Matsudaは当然のように「エターナル」作品をリリースしている。しかも海外進出を狙った重要作に「エターナル(永遠)」と名付けたことは、世界の聖子と言えど未知の國へ足を踏み入れる為には、相当の覚悟と勇気が必要だった証拠だろう。「永遠」であるが故の苦しみを味わったに違いない。


  

●森山良子「Eternally~エターナリー~」


森山 良子(もりやま りょうこ、1948年(昭和23年)1月18日 - )は、日本の歌手、女優。本名同じ。カレッジフォークの女王として1960年代後半から1970年代にかけてヒット曲を数多く生んだ。平成18年度芸術選奨文部科学大臣賞受賞。平成20年秋紫綬褒章受章。長女は元ミュージシャンの森山奈歩。長男はシンガーソングライターの森山直太朗。「Eternally」は、チャーリー・チャップリン監督主演映画『ライムライト』主題歌。

GS時代が終わりを告げ、歌声喫茶が流行った頃に、アコギで海外のプロテストソングを日本語で歌い人気を博したカレッジフォークシーンから、お茶の間の人気者へと成長した森山良子が、現代社会への風刺や諧謔精神に満ちたチャップリン・ナンバーを歌う。音楽一家の女将さんとして、心あるファンからの厚い支持は特筆もの。


●GLAY「Eternally」
 

「Eternally」(エターナリー)は、GLAYの5作目のデジタルシングル。2013年5月8日から、配信が開始された。2013年7月函館での「GLAY Special Live 2013 in HAKODATE GLORIOUS MILLION DOLLAR NIGHT Vol.1」のテーマソングで、「永遠の愛」をテーマにゆっくりと愛が溢れだすせつないバラード。

北海道出身のGLAYが歌う地元応援歌は、昨年の雪祭りでも人気BGMだった。故郷へ凱旋し意気揚々と愛を歌ったヴォーカルのTERUは、でんぱ組が出演した音楽番組「どぅんつくぱ」を観て衝撃を受けたという。




●森口博子「ETERNAL WIND~ほほえみは光る風の中~」
   

「ETERNAL WIND~ほほえみは光る風の中~」(エターナルウインド ほほえみはひかるかぜのなか)は、1991年2月5日リリースの森口博子の9枚目のシングル。1991年のアニメ映画『機動戦士ガンダムF91』主題歌。また、2006年のゲーム『機動戦士ガンダム クライマックスU.C.』のエンディング曲としても使用された。オリコン週間チャートで初のトップ10(9位)を達成した。

えいたその口から「エターナル」という言葉がすんなり飛び出したのは、大方の予想通りアニメのお陰。子供時代を過ごした福島県郡山市で「ガンダム」が観れたのかどうかは判らないが、この曲はソラで歌えるに違いない。




●水樹奈々「ETERNAL BLAZE」
 

「ETERNAL BLAZE」(エターナル・ブレイズ)は、水樹奈々の12枚目のシングル。2005年10月19日にキングレコードから発売された。水樹自身も出演したテレビアニメ『魔法少女リリカルなのはA's』のオープニングテーマとして使用された。オリコン・週間シングルチャート(2005年10月25日付)では、声優個人の作品としては当時は歴代最高位となる2位を樹立した。

森口博子はアニメソングを歌ってバラエティ進出を果たしたが、声優の水樹奈々はアニソンシンガーへの転身を見事に決めた。ルックスも可愛いし歌も上手いので、元研究員の何割かは流れているものと想像する。




●リトルブルーボックス「エターナル」
 

Little Blue boX(リトル・ブルー・ボックス)は、日本のロックバンド。2010年にアニメ『ダンボール戦機』の主題歌を歌うことを含めたひとつのプロジェクトのもとに結成された。2013年10月リリースの「エターナル」は『ダンボール戦機 ウォーズ』のオープニング曲。ギターのyuiが作­曲を担当。また、ボーカルのhieは波野リンコ役声優としてもアニメ出演。ダンボール戦機シリーズの終了に伴い、2014年2月16日付で解散した。

「ドラえもん」と「サザエさん」と「クレヨンしんちゃん」以外アニメの知識がないので、元ネタは殆ど判らなかった。アニソンユニットはなかなか魅力的なので、アイドルヲタを返上して推す価値有りかも。二次元世界の出来事なので、どんなにリアルが苦手でも、アニソン現場に参戦するのに躊躇(ためら)いはなかろう。




●バングルス「胸いっぱいの愛(エターナル・フレイム)」
 

1981年にロサンゼルス結成された女子バンド。バングルとはアクセサリーの腕輪のこと。「エターナル・フレーム」(Eternal flame)は、1989年に全米で第1位となった、バングルスのヒット曲。邦題は「胸いっぱいの愛」。日本では結婚式のBGMなどでよく使われている。松田聖子、長瀬智也、渡辺美里、NICOTINE、アトミック・キトゥン、安良城紅などカバー多数。

80年代世界のロックシーンの主役は女子だった。それを象徴するのがプリンスの寵愛を受けて人気を集めたバングルス。60年代サイケの影響濃いロケンローは90年代渋谷系にレトロ感を加えて、新しいけど懐かしい魅惑の世界を産み出した。




「エターナル」というお題は、掘れば掘る程終わりのない深遠な世界。当然ながら徒然の思索では解明不可能。次章以降も角度を変えて、引き続き捜査続行することとする。えいたそという未だ知られざる実存に関する思索を続けることにより、我々がどれほど豊穣な思考の海に辿り着くことになるのか、誰にも予測はつかない。

いざ行かん
思索の向こうの
エターナル

▼『えいたそ進化論』単行本は2015年春に発売(未定)。数回に亘って表紙案を投稿するので、投票よろしくお願いします。

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【さよなら青春】Drop's/エレカシ/チャットモ/布袋/VV/ゴーゴー/ハイロウズ

2014年12月05日 02時20分25秒 | ロッケンロール万歳!


札幌のロッキンブルース女子バンド「Drop's」の最新EPが『さらば青春』。三連ワルツのブルースバラードは、以前考察した通り「ブルースは青春」という定理が正しいことを証明している。では逆の「青春はブルース」は正しいのかどうか?そんな疑問に答えを見出すべくロケンロー青春讃歌をググってみた。
憂歌を巡る秋口の追憶 Part 2~ブルースはセイシュンである。

●Drop's「さらば青春」


タイトルトラック「さらば青春」は中野ミホ(vo)が高校3年生の時に書いた曲だと言う。デビューCD『Drop's』をリリースし前途洋々たる17歳の女子高生が、青春にさよならを告げる歌を認(したた)めていたとは軽いショックを覚えるが、高校という檻から外の自由世界へ飛び立つ想いを表したと考えれば、別れは出逢いのハジマリだと納得出来る。3年暖めたこの歌を世に放つことは、更なる旅立ちと言えるだろう。


Drop's・中野ミホが語る、青春との決別とこれから「ルーツを踏まえて、今の時代の音を鳴らしたい」


●エレファントカシマシ「さらば青春」


ロケンロー無頼派宮本浩次率いるエレカシことTHE ELEPHANT KASHIMASHIは、1994年にメジャー契約を切られ2年間の浪人生活を経て1996年に再デビュー。1997年の19thシングル『風に吹かれて』のカップリングが「さらば青春」。Drop'sと同じワルツバラードだが、男臭いヴォーカルは、遠い昔に別れを告げた「君」への未練を振り払うかのよう。




●チャットモンチー「サラバ青春」


徳島出身女子トリオ・チャットモンチーの2005年のデビューミニアルバムに収録された卒業ソング。ワルツではないが大らかなギターストロークで朗々と歌うスタイルは、Drop'sと相通じる。丁度10歳違いで、ほぼ同じ年齢で、同じタイトルの青春ソングをリリースした事実は、女子バン女神の僥倖のしるしなのかもしれない。




●布袋寅泰「さらば青春の光」


で、チャットモより20歳年上の元BOOWYのギタリズムHOTEIが1993年にリリースした6thシングルが「さらば青春の光」。ロンドン録音アルバム『GUITARHYTHM IV』に収録。テレビドラマ『課長さんの厄年』(TBS系列)の主題歌でもあるが、HOTEIならではのシャープなギターと前向きな歌が疾走するタイトなロケンローが潔い。



●Virgin VS 「さらば青春のハイウェイ 」


布袋より14歳年上(Drop'sの45歳年上)のあがた森魚が、1981年に「A児」名義で結成したニューウェイヴバンドがヴァージンVS。ドラマ『探偵同盟』『翔んだライバル』、アニメ『みゆき』『うる星やつら』などテレビ主題歌を手がけ、テクノビートとフォークソングが絶妙なハーモニーを生んだ。青春を高速道路に喩えた歌は、ソロで『乗物図鑑』(80)、バンドで『乗物デラックス』(82)と乗物好きを公言するあがたの独壇場。




●GO!GO!7188「あぁ青春」


女子2男子1の超天然GSキュートパンクバンド・ゴーゴー7188の2001年の6thシングル。昭和歌謡な歌い上げヴォーカルとGSライクなマイナーメロディが、21世紀初頭の東京元禄に、爽やかな疾風を届けた。若大将で青春歌謡な刹那ロックは、当時筆者が出たばかりのmp3ウォークマンで聴きながら毎朝通勤していた黒歴史ナンバー。



●ザ・ハイロウズ「青春」


身に振る火の粉を払ったばかりにボコボコになった高校時代をマーシーが過ごしたかどうかは明らかにされていないが、ロケンローの権化によるストレートな青春パンクは、迷いばがら一途にススム青春若者群像の輝きをピンナップ。「十四歳」と並ぶヒロト&マーシー青春讃歌の中核ナンバー。




●フィル・ダニエルズ『さらば青春の光』


布袋の曲の元ネタである1979年のイギリス映画『Quadrophenia』の邦題。当時ダサい・時代錯誤・安易等など、散々ディスられたタイトルは、振り返ってみれば、映画の雰囲気を見事に捉えていることが明らかになった。同名のお笑いコンビも存在するので、ちょっとイメージダウンか。渋谷陽一がラジオ番組で間違えていた「青春の光と影」は、ジョニ・ミッチェルの69年のアルバムタイトル。



サヨウナラ
青春の光は
眩しくて

●ごめんね青春




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工藤冬里+Reiko.A/陰猟腐厭/水野寝地@渋谷Last Waltz 2014.12.2(tue)

2014年12月04日 00時23分24秒 | 素晴らしき変態音楽


鳥のぶらんこもしくはギロチン vol.4

【出演】
工藤冬里(くどうとうり)+Reiko.A(れいこえー)
陰猟腐厭(増田直行 guitar + 原田 淳 drums)+万城目 純(dance)
水野寝地(みずのねじ)



今年突然30年ぶりの新作と過去音源の集大成をリリースし、寂しかった地下音楽愛好家の庭に衝撃の花を咲かせた横浜前衛ロックの雄・陰猟腐厭が、リリース後はじめて人前に姿を現した。その場をアレンジしたのはReiko.Aこと東玲子。かつてメルツバウと行動を共にしてエレクトロニクス&ヴォイスパフォーマーとして異彩を放った女性ノイジシャンの先駆者である。彼女の企画イベント『鳥のぶらんこもしくはギロチン』に陰猟腐厭を招聘した経緯は判らないが、東京と横浜の地下水脈が30年経っても枯れていないことの証と言えるだろう。
【考察】即興演奏の意志と時間~橋本孝之『サウンド・ドロップ』/陰猟腐厭『抱握』
【至福の地下音楽】時代からはみ出し続けるネームレス即興ロック~陰猟腐厭『初期作品集1980-1982』

●水野寝地

(写真の撮影・掲載については出演者の許可を得ています。以下同)

一番手はReikoが「傷を負ったがゆえの自然主義文学」と評するSSW水野寝地(みずのねじ)。店長がSSWでもあるラストワルツは弾語りアーティストの出演が多く、音響設備もアコギ向けなのかもしれない。飾り気のない普段着シンガーの最大の武器である「声」の魅力が発揮される。ダミ声混じりの水野の歌は、何処にでもいるちょっと冴えない男子の日常を、リアルな言葉で吐露した正直さが魅力。まさに「自然主義文学」であり「無頼派」とも言える。特に「吐き出したゲロを睨んでまたゲロを吐く」日々の繰り返しを歌った「音楽」という曲の、実生活者の心情を視覚言語化した迫真手法に心撃たれた。


水野寝地 公式サイト


●陰猟腐厭+万城目純


本来ならトリオだが、大山正道(key)が体調を崩し欠席し増田直行(g)と原田淳(dr)のデュオ編成の陰猟腐厭と、ダンサーの万城目純(マキノメジュン)の共演。増田はE音だけを延々と鳴らし続ける。弾く角度や力の微妙な違いで、音の表情が大きく異なるのに惹き込まれる。原田の自由奔放・優柔不断なドラムに気を取られることも屡々。黒いタキシードに赤いスカーフで顔を覆った万城目が進み出て舞う。演奏の変化と共にダンスが狂気の度合いを深め、旗の様に振り回すスカーフの波動が演奏の脈動とシンクロし、見えない渦に心が巻き込まれる。派手さや大仰さは皆無なのに、信じがたいダイナミズムに圧倒された。30年以上地下の迷宮に身を浸す筋金入りのアウトローの神髄を見た。

●工藤冬里+Reiko.A


「冬里さんの伴奏で歌う」とReikoの呟きにあったが、まさかこれほど「歌」をメインに据えたパフォーマンスは予想していなかった。冬里がピアノ、Reikoが歌の真っ当な歌曲リサイタル。演奏曲は「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」「帰ってくれれば嬉しいわ」「クライ・ミー・ア・リヴァー」「この世の果てまで」といったスタンダードとドイツ語歌曲。冬里もピアノの弾語りで一曲(オンリー・ワンズのカヴァー?)歌う。Reikoは歌いながら腕を大きく広げて、巫女の様な舞いを披露。冬里は余計な遊びを排したストイックなピアノ演奏。後半、客席の真ん中で歌い踊るReikoを煽るようにピアノの波が押し寄せ、Reikoの魂の声が鳴り響いた時には、再びエモーションの海に溺れてしまった。

「鳥」「ぶらんこ」「ギロチン」という三つの言葉が象徴する微妙な均等と違和感は、三者三様の個性を表すのに相応しい。次回もユニークな組み合わせを期待すると共に、「完全版」の陰猟腐厭がいち早く復帰することを祈りたい。

鳥たちの
危ういバランス
まっぷたつ






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リシャール・ピナス/灰野敬二/メルツバウ/吉田達也@渋谷O-nest 2014.12.1(mon)

2014年12月03日 00時22分43秒 | 灰野敬二さんのこと


RICHARD PINHAS with 吉田達也 JAPAN TOUR

RICHARD PINHAS
灰野敬二
Merzbow
吉田達也




11月15・16日二日間にわたって「ROCK IN OPPOSITION JAPAN 2014」が開催された。RIO(ロック・イン・オポジション)に関してはこれまで何回も書いた通り、個人的に思い入れが深い。にもかかわらず、今回は行きそびれた。昨年春に来日ツアーを行ったフランスのギタリスト、リシャール・ピナスも出演し、その翌日から吉田達也とのデュオで西日本を中心に全14公演のジャパンツアーを敢行。神戸で河端一、京都で山本精一と共演して、ツアーファイナルの東京公演は、昨年と同じ顔触れの日仏極端音楽四ッ巴のエクストリームな夜の再現となった。
リシャール・ピナス/灰野敬二/メルツバウ/吉田達也@六本木スーパー・デラックス 2013.5.30 (thu)

前日に新宿Book Unionで『オール・アバウト・チェンバー・ロック&アヴァンギャルド・ミュ―ジック Rock In Oppositionとその周辺』という大型本を手にして、内容の凄さに感動を覚えたものの、同じく分厚くて重い『てなもんやSUN RA伝 音盤でたどる土星から来たジャズ偉人の歩み』とどちらを買うか迷い、結局買わずじまいだった。そのとき気付いたのは、筆者のRIO及びレコメン系への愛着心は、主にレコード盤に注がれており、生演奏への憧れは左程強くないということだった。十代終わりから廿代前半の多感な時期、レコメン系には相当貢いだが、演奏したり観たりしたのは、クリムゾン/ジェネシス/UK/フォーカスといったメジャー系プログレか、ニューウェイヴ&ネオサイケか、ノイズ・即興系の地下音楽だった。つまり、レコメン系チェンバーロックは、自分で演奏したり生演奏を聴くのではなく、塩化ヴィニールの溝に刻まれた演奏を、オーディオの前に座って、ジャケットや解説を眺めながら、じっくり聴くべきものだったのである。その時間は当時の自分にとって特別なものだった。
映画「アバウト・ロック・イン・オポジション」+アルトー・ビーツ@渋谷 Uplink 2013.6.9 (sun)
自由な音の記憶Vol.7:暦の上ではお正月なのに、唐突且つ根拠レスなレコメン/RIO特集

「マーキームーン」などで、日本にもチェンバーロック的なミュージシャンが存在することは知っていたし、カトゥラ・トゥラーナなどはホントに凄いと思った。しかし筆者にとってのRIO・レコメン系は、演奏風景を観ることは叶う筈もなく、音盤の中だけの存在だったのである。勿論30年経って伝説の音楽家達を観てみたい気持ちはあるが、安くないチケット代を払うよりも、少しだけプレミア付きのオリジナル・アナログ盤を蒐集する誘惑のほうが強いのかもしれない。

リシャール・ピナスに関して言えば、30年前はRIO・レコメン系には含まれておらず、「キング・ヨーロピアン・ロック・コレクション」で入手が容易だったこともあり、なんとなくスルーしてしまった。そのことが逆に、レコメン系アナログ萌えに陥ることなく、すんなりチケット購入行動に繋がるのかもしれない。実際に2013年春のツアーは、3日間(うち2回は無銭)も通ってしまったほどだ。

●リシャール・ピナス+吉田達也

(写真の撮影・掲載については主催者の許可を得ています。以下同)

最初は2週間に亘り西日本を演奏旅行してきた「リシャール・達也」デュオ。ピナスのギターは、存在感を誇示するよりは、サウンド全体の方向性を図るアトモスフェリックなスタイルが中心。ソロ演奏では、特徴的なロングトーンのリフレインの中に絵筆で色彩を描くアートな世界を繰り広げる。しかし「リシャタツ」では、吉田達也の爆走ドラミングが、ピナスの闘争心に火を灯し、激烈プレイを導き出す。プログレ・レコメンの香りを残しつつも、スポンテニアスな行方知れずのインタープレイにロック魂を感じた。




●灰野敬二+メルツバウ(秋田昌美)
 

昨年のSDLX公演では灰野+秋田+吉田トリオ演奏に痺れたが、今回は吉田を除いた二人組の共演、というか2000年代後半に『きくり Kikuri』というユニット名で国内外で活動したデュオが想定外の復活を果たすこととなった。5年前のKikuriとしてのラストライヴでは、秋田がドラム、灰野がパーカッションを叩いたりもしたが、この日は演奏時間が短かったこともあり、秋田はエレクトロニクス、灰野は小型シンセ&エアシンセによる電子音の嵐が吹き荒れた。最前列で観たら、音の凄まじさ以上に、二人の「気」が左右から襲い掛かり、ちょうど真ん中の筆者の頭の中で火花を散らす電撃ショックに耐え切れず、30分の演奏が終わると、フラフラで後列へ場所を移した。


きくり=灰野敬二+秋田昌美 etc.@六本木Super Deluxe 09.4.10(fri)


●リシャール・ピナス+灰野敬二+メルツバウ+吉田達也


最後は4人のセッション。灰野はSGを弾く。後方から眺めたせいもあるだろうが、一対一のガチンコ勝負ではないので、気の流れが複雑化し、直接打撃を受けることはなかった。昨年は10分強のショート・セッションだったが、今回のロングセットに於いては、日本側の三人が容赦なくエクストリーム街道を突き進む中で、要所要所のアスファルトを塗り固めるピナスの不動明王の演奏態度が大陸出身ならではの本領発揮で興味深かった。悲哀に満ちたスケールの大きなレクイエム、「迷うことなく前へ向かえ」という灰野のポジティヴな歌、爆発するコンクリート・ロック、アンビエント・マインドトリップ、四つの音波が混然一体のカオス、宙を飛び交う電子ノイズ、空間破綻を齎す雷鳴。表情豊かに変幻するスペクタクルに心が解放された60分だった。




フランスの
メタモルフォーゼ
メタムジーク

▼なんだかんだ言いつつも来年開催されたら観に行きたいな。


ROCK IN OPPOSITION JAPAN 2014公式サイト
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【2.5次元楽器】重さは本物の1/4! 3Dプリンタで製作されたアルトサックスがかなりイケてる件

2014年12月02日 00時59分53秒 | 音楽ちょっといい話


今やなんでもかんでも、3Dプリンタで作ることができてしまう時代。動画サイトYouTubeによると、なんと楽器までをも(!)作ることができちゃうみたい!

本日みなさまにご覧いただくのは、3Dプリンタで製作されたアルトサックスを奏でる男性をとらえた映像。

「見た目はそっくりそのままアルトサックス、でもまさか、音までは再現できないでしょ~!?」な~んてタカをくくっていたらビックリ、まあまあイイ音なんですよコレが!

同品を製作し、また演奏も披露しているオラフ・ディーゲルさん曰く、3Dプリンタでバネやネジ以外の部品41個を製造。すべてナイロン素材で、それらを組み立てたものがこちらのアルトサックスなんですって。

ちなみに同品の重さはわずか575グラム、これは本物のサックスの重さ(およそ2.5キロ)の1/4ほどに当たりますので、どれほど軽いかおわかりいただけるかと。

「私はサックス奏者ではありませんし、サックス自体から空気が漏れ出ているため、音の調子が若干外れています」と、オラフさん。そういった点を考慮すると、そのクオリティーは「まあまあイイ」どころではなく、もしや「かなりイイ」のかも!?

今回問題があった点を改善すれば、次回はさらに進化したアルトサックスが完成するに違いありません。その暁にはぜひとも、他の楽器も一緒に製造、セッションする姿を観てみたい。個人的にはそう切望しておりますので、オラフさん、ガンバだよぉ!



▼オーネット・コールマンのアルトサックスはプラスチック製



1D(ワン・ダイレクション)
3D(三次元)
4D(秩父)

▼りさちー(相沢梨紗)は「2.5次元伝説


2014年11月30日(sun)@秋葉原アキバ・スクエア 
でんぱ組.inc「でんぱーりーナイト」リリース記念2ショット・チェキ会

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BO NINGEN@代官山UNIT 2014.11.29(sat)+【特別付録】ピンナップ付

2014年12月01日 01時29分49秒 | 素晴らしき変態音楽


BO NINGENが11月28日、代官山UNITにて特別単独公演<HEADLINE LIVES 2014 ~ PLAY ALL>を開催した。



この<HEADLINE LIVES 2014 ~ PLAY ALL>は、6月25日に発売された最新アルバム『III』全曲に加え、日本盤限定特典DISC(Live Album)に収録されている代表曲も余すことなく披露し、タイトル通りの「ニューアルバム全曲披露ライブ」となるものだ。

”異国の空気、カルチャーの中で築き上げられた、彼らならではの世界観が炸裂し、さらなる音楽的進化を遂げた会心作”と謳われた同アルバムは、クラブ仕様のPAの鳴りの良さで定評のあるUNITのフロアを埋めたオーディエンスを前に、迫真の演奏による贅沢な空間が繰り広げられた。

BO NINGENはSXSWでのドラマも記憶に新しいGEZANとの2マンツアー<BO NINGEN GEZAN JAPAN TOUR 2014~Tremelo Never Knows>を2014年12月~2015年1月まで開催する。その間にメンバーそれぞれの個別活動も予定されている。
-----------以上「ナタリー」風ライヴレポート

もとい



BO NINGEN HEADLINE LIVES 2014~PLAY ALL



Taigen Kawabe本人の選曲によるストイックで透明感のある開演前BGMが流れるクールな雰囲気のフロアは、登場SEもなく無音のステージに登場したロン毛4人組が楽器を構え、ハイハットのカウントで一斉爆撃開始し、アルバム『III』のオープニング・ナンバー「DaDaDa」が轟亘った瞬間から、躍動するダンスフロアに変わった。アルバム曲順通りの演奏だが、今まで以上に緻密なスタジオワークで練り上げられたアルバムとはガラリと変わって、音のひとつひとつが生き物のように呼吸し脈動する、生命の響きに満ちあふれた祝祭空間が現出する。勿論Taigenはトレードマークの母親のお下がりの黒いドレスだが、今回は左側のギタリストYuki Tsujiもタータン柄のスコットランドキルト(スカート)を着用。Taignとは異なり、女性に見間違いそうな美人オーラを放つ。YukiとKohhei Matsudaのギターカッティングは思い切りファンキーな踊れるサイケロック。ドラムのMonchanことAkihide Monnaの雄叫びに加え、Kohheiがモーグシンセを弾く新機軸もあり、緩急に富んだ深遠な世界に酔った。
【勝手に翻訳】BO NINGEN最新アルバム『BO NINGEN III』インタビュー:”オープンなら可能性が拡がる”



「まだまだこんなもんじゃ終わる訳には行かないので、15分の休憩の後に、第2部をやります」とTiagen。第2部は「Soko」「Henkan」「Koroshitai Kimochi」「Nichijyo」などの「アガる」ナンバー連発。酩酊した一部と打って変わって、精神が覚醒し肉体が激しく胎動して拳が突き上がる。BO NINGENのサウンドが本当の意味で「BODY MUSIC」であることが明らかにされた。UNITのスーパーウーハーから放たれるバスドラとベースの低音波と、ギターアンプが軋みながら吐き出す歪曲ギター、ツイーターが破れそうなハイトーンヴォーカル。空気の波長と鼓膜の震動が同調して血液が共鳴し、手足唇の皮膚から浸透したドーパミンが脳髄まで一斉に逆流する。意識が真っ白な灰になり、蒸発して大気中に霧散する。オーディエンスの意識の表面張力を突き破ろうと、ラストナンバー「Daikaisei」で、Taigenがスピーカーによじ登ると、そのまま観客の海に飛び込む撹乱行為を決行。個々の心の中の黒い楔が、4人が放つ白熱光に焼き干された。





棒人間
下山しながら
トレモロを


「BO NINGEN/GEZAN JAPAN TOUR 2014~Tremolo Never Knows」
2014年12月6日(土)
福岡 VOODOO LOUNGE w/百蚊
17:30/18:00
info:BEA 0927124221 http://www.bea-net.com

12月88(月)
大阪 Pangea
18:30/19:00
info:清水音泉0663573666 www.shimizuonsen.co

12月9日(火)
名古屋 CLUB UP SET
18:30/19:00
info:JAIL HOUSE 0529366041 www.jailhouse.jp

12月14日(日)
仙台 PARK SQUARE
with special guest – The Novembers
18:00/18:30
info:Coolmine 0222921789 http://coolmine.net



「BO NINGEN / GEZAN JAPAN TOUR~Tremolo Never Knows FINAL ”DOUBLE HEAD LINE”」
2015年1月14日(水)
TSUTAYA O-nest
19:30/20:00
TIKET¥3500(ドリンク代別)
TSUTAYA O-nest / TICKET PIA(Pコード:249-649) / ローソン(Lコード:72915) / e+
info:TSUTAYA O-nest 03-3462-4420

▼カッコいい!Taigen Kawabeピンナップ。プリントアウトしてキミの勉強部屋に飾ろう!

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