atomicfarm
『原子力牧場の世界』
2011年5月頃に1stアルバム『原子力牧場I』を聴いたとき、ちょうど震災後だったこともあり、思わぬところからロックの救世主が現れた、と興奮した。当時もよぽん(vo.b)は20歳、もたん(g)は42歳。親子でも不思議はない二人の描く音楽性は、70年代ハードロックと80年代ニューウェイヴと日本的な淫靡な抒情歌のごった煮を、テン年代の軽いフットワークで料理したヌーベルキュジーヌ。ネットで世界が繋がる21世紀に、ネットを通してお茶の国・静岡で育まれたローカルサイケ希少種の存在を発見したことが面白かった。
⇒静岡から奇才バンド登場!~原子力牧場「原子力牧場I」
彼らに注目したゴーグル・エースのカマチガクが主宰するサザナミレーベルのコンピ『Girls Sazanami Beat』に収録され、レコ発イベントで上京し、生のステージに触れることが出来た。音だけ聴いて男子だと思い込んでいたもよぽんがキュートな女子だったのに驚いた。ヴォーカルやギターを多重録音して作り込んだCDと違って、ライヴに於けるトリオ演奏は、よりダイレクトで、パワフルなバンドとしての即時性を発揮する。CDのドロドロした情念が薄れた潔い楽曲は、より多くの人にアピールできるだろう。
⇒サザナミナイトVol.26/原子力牧場東京デビュー@新宿JAM 2011.8.6(sat)
⇒原子力牧場/ファンシンちゃん他@東高円寺 二万電圧 2011.9.18(sun)
⇒サロメの唇/THAT'S A NO NO!/原子力牧場etc.@新宿JAM 2011.12.23 (fri)
⇒That’s a NO NO!/原子力牧場/ザ・ランチェリーズ/ザ・ゲルピンズetc.@新宿JAM 2013.2.10 (sun)
2013年以来なぜか観ることはなかったが、TwitterやFacebookで断片的な活動情報は得ることが出来た。2014年にニューアルバム『Cypress』『Periwinkle』をリリースし新PVが作成された。もよぽん自身が出演するPVは横溝正史を思わせるホラー作品。
【オリジナル】好き【原子力牧場】
更に観るのも痛ましい残酷PVも。
【atomicfarm】原子力牧場 手首/Grab the wrist/球根栽培
しかし特に追いかけることもなくフェードアウトしかけた2015年末にアルバム制作中というニュースが飛び込んできた。サザナミレーベルから初の全国流通盤である。初めて会ってから約5年が過ぎ、髪が伸びて女らしさを増したもよぽんの毅然とした表情は、シド・バレットを想わせるルナティックな危うさを漂わせている。11曲中7曲が1stと2nd収録曲の再演。宅録に近い方法で録音された自主盤に比べ、正規のスタジオ録音により、狂おしい毒気に代わって歌詞やメロディの独自性がクリアになった。実験的に声色を変えていた5年前から、歌への自信と自覚が芽生えたもよぽんの、より自然な発声法が、実は最もヤヴァい異界からの呼び声であることに気づく。
【Trailer】 atomicfarm / 原子力牧場の世界
⇒サザナミレーベル公式サイト
それは彼らが活動歴を重ねたことで見えてきた自分たち本来の表現の形なのである。<ショックポップ、ヴェノムロック>を名乗っていた過去から、彼ら自身を呼ぶ声が聴こえた気がした。
原子力
5年経っても
劣化無し
<ライヴ情報>
Sister Paul 『THE EDGE OF THE WORLD』『HOWL! HOWL!』 / atomicfarm 『原子力牧場の世界』合同レコ発
日時 :2016年 1月 23日 (土) open 18:00 / start 18:30
チケット:前売り2,000円 / 当日2,500円 高校生以下1,000円
出演 :出演:Sister Paul, atomicfarm (静岡), サロメの唇, ANISAKIS DJ:カマチガク(サザナミレーベル), CHERRYBOWIE(神戸 HAPPYEND)
場所 :新宿JAM, 日本, 〒160-0021 東京都新宿区歌舞伎町2丁目3-23
▼えいたそちゃんも応援してるよ!バビュっとな。