A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

割礼+工藤冬里@幡ヶ谷 forestlimit 2012.6.10 (sun)

2012年06月12日 00時45分36秒 | 素晴らしき変態音楽


割礼を観るのは1月の金子寿徳追悼イベント以来今年2回目になる。しかも工藤冬里さんと対バンではなく共演。ありそうでなかったこの組み合わせを見逃す訳にはいかない。冬里さんは前日9日に新宿シアターPOOにマヘル・シャラル・ハシュ・バズで出演したが、観に行った友人によると寸劇というか学芸会もどきの人を煙に巻くパフォーマンスに終始したらしい。LAFMSのリック・ポッツと共演した時は演奏前にリックが「Toriは何をし始めるか分からない」と半分不安がっていたらしいし、アングラ・ロック界随一の奇人変人といっていい。そんな冬里さんが割礼の空間を蕩かすサイケデリックな演奏にどう絡むのか楽しみだった。

forestlimitに行くのは3度目ですべて冬里さん絡みのライヴである。コンクリートの壁に四方を囲まれたスペースでステージがないので前列の人しか演奏者が見えない。意外に若いお客さんが多く満員に近い盛況ぶりだった。ステージ左手にエレピがセットしてあったので冬里さんが演奏することが分かった。私は逆側の山際氏のギターの真横から観戦。8:00PM開演だと思い込み友人と話し込んでいたら30分前にメンバーが出てきたのでちょっと焦った。

4人のメンバーは毎度のことだが慌てずゆっくりと準備している。チューニングが終わると宍戸氏が椅子から立ち上がりゆったりとしたアルペジオを奏で始める。照明代わりのビデオが壁面に映し出される。一瞬にして会場を妖艶な割礼ワールドに塗り替えてしまう。宍戸氏の水の滴るようなねっとりとしたヴォーカルと2本のギターの絶妙な絡み合い。超スローテンポな曲調を表情豊かにバックアップするリズム隊。これほど完成されたバンドも珍しいのではなかろうか。そこに冬里さんの鍵盤が混じりあう。時に上滑りするように別の世界で演奏していたかと思うと、隙間から懐へ侵入して真ん中で鳴ってたり、あちこち動き回る。それでも割礼の強烈な香りは濃厚に漂っている。特に20分に亘る「溺れっぱなし」の沈殿していくような演奏にはそのまま水中へ沈んでいくような強烈な磁力があった。冬里さんの奇矯さも割礼の前には形無しという印象。それでも比較的テンポの速い「ゲーペーウー」では鍵盤を上から下へ急降下する過激なプレイを見せたり、ヴォーカルに絡むようなフレーズを立ち上げたり冬里さんらしさは発揮されていた。

一番ウケたのは、終盤の恒例のドラムの松橋氏のMCの時。松橋氏が「こんにちは」と言うとすかさず冬里さんが「割礼です」と切り込んだ。狙っていたのに違いない。会場は大ウケ。長年の憧れの冬里さんと共演できた喜びを語りお約束の物販/ライヴ告知を終えると、次は冬里さんの曲を演奏。冬里さんが好きなオンリー・ワンズを思わせるメロディのしっかりしたロック・ナンバーだった。最後はアグレッシヴな「ラヴ?」、最近のエンディング・テーマ「崖っぷちのモーテル」。アンコールを求める拍手が続くが、松橋氏がひとり出てきて「もうネタはありません。おしまいです。本当にありがとう」と挨拶し終了。90分の演奏だった。



物販で宍戸氏のソロCDRを購入し、楽器を片付けている宍戸氏にサインを貰いつつ話を聞くと、今までいろんなアーティストと共演してきたが、全曲通しで共演したのはもしかしたら初めてかも知れない、とのこと。30年近い歴史のある彼らの貴重なライヴに立ち会えたのは幸運だった。


思いの外早く終わったので会場に来ていた冬里さん専任録音担当のN氏、灰野さんのデザイナー北村氏とその彼女の4人で食事に行った。いつもライヴ会場で顔を合わすだけでゆっくり話せないのでこういう機会は貴重だ。モダーンミュージックや冬里さんや灰野さんのいろんな話が聞けてとても楽しかった。

割礼の
歴史に残る
レアな夜

みんなが映画「ドキュメント灰野敬二」を楽しみにしていることが分かり嬉しかった。
コメント (9)
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