ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

ナイルウッピドゥナイル

2019年07月12日 | 沖縄04行事祭り・生活風習・言葉

 昨日(11日)、約30年ぶりの友人Mに会った。高校の時の同級生で、同じ部活にいたので高校の頃から卒業後しばらくはよく一緒に遊んでいた男。
 高校の頃からこれまでよく一緒に遊んでいる友人のKからその2日前に「久しぶりにMに会った。最近、ほとんど毎日Mと昼飯を一緒に食っている」とメールがあった。
 Kは数ヶ月前、仕事を定年になってあと、この7月から職業訓練学校へ通っている。その場所で、同じように職業訓練を受けているMと遭遇したのである。
 Mもこの3月に定年退職したとのこと。MもKも私とは違い、ちゃんとした仕事に就いていたので、厚生年金もそれなりにあるはずだが、なおも働かないといけないらしい。Mは下の子が来年春から大学生になる予定で、しかも県外の大学に行く予定で、その学費やら生活費やらを稼がないといけないとのこと。Kは家のローンがまだ残っていて、そのために稼がないといけないらしい。「お前は楽だよなぁ」と2人に言われてしまった。
     

 ナイルウッピドゥナイルはウチナーグチ(沖縄語)で、私のような怠け者がよく口にする言葉、私のような怠け者が多くいる沖縄ではよく耳にする言葉。
 ナイルウッピドゥナイルによく似た言葉に、これはさらによく聞かれる言葉だが、ナンクルナイサというのもある。ナンクルナイサは既にこのブログに紹介済み。そこで私は、
 ナンクルナイサは「成るように成るさ」という意味、「ケ・セラ・セラ」と一緒、といったようなことを書いている。いいなぁケセラセラ、気分が優しくなる。
 今回紹介するナイルウッピドゥナイル。ナイルは「できる」、ウッピは「量」、ドゥは「だけ」、通して言えば「できる分だけできる」となる。言い換えれば、「できる分しかできない」であり、さらに進むと、「できる分しかやらない」、「できないことはやらない」などという怠け者の理屈になっていく。私もそんな怠け者の1人で、「できなかったらやらないでいいさぁ、なんとかなるさぁ、ケセラセラ」とまで進んでいる。
     

 今年に入って半年が過ぎたが、悩みの種である腰痛は昨年からほぼ途切れることなく続いている。一方、去年6月頃から始めた薬草の勉強も続いている。薬草の勉強はしかし、その修学速度がしだいに遅くなっている。パソコンを見つめる作業がだんだん辛くなっている。若い頃は1日8~9時間でも平気だったが、今年からは1日4~5時間となっている。1時間パソコン作業やっていると目が痛い、頭痛がするなどの症状が現れるので1時間やったら10分の休憩を設けていた。それでも、この6月からはきつくなり、今は30分で辛くなる。30分パソコン見たら15分休憩を取るようにしている。
 体力はこれからどんどん落ちて行く、やる気も薄れていく、作業が進まない、やりたいことは山ほどある。しかし、死ぬまでにできることなんてほんの僅かであろうと思う、しかし、もう焦らないことにした。ナイルウッピドゥナイルでいいさ。なーに、これこそ南の島ののんびり屋の生きる道、南の島のまっとうな道、と思うことにした。
     

 そんなこと言ったら、MやKに「お前はホントに楽に生きているよなぁ」と言われそうだが、誰からも尊敬されない生き方と言い換えることもできる。MやKは、少なくとも子供を育てあげている、それだけで世の役に立っている。それだけで尊敬に値する。私は結婚もせず子も作らず楽に生きてきた。楽な分、世の役にはほとんど立っていない。役立たずの男とMとKには思っていただいて、楽に生きている私を許していただきたい。MとKには、だけでなく、その他の働く人たちにエールを送りたい。頑張れオヤジ達。
     

 記:2016.7.12 ガジ丸 →沖縄の生活目次

 参考文献
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行


小麦粉

2019年07月10日 | 飲食:食べ物(材料)

 メリケン粉といえば

 メリケンコというのは日本語だろうか?と思って辞書を引く。日本語だった。ネットサイトのコトバンクによると、
 米国から輸入された精製された小麦粉のことで、「American」の「A」が落ちたもの。米国から小麦粉が輸入され始めた当初、日本在来のうどん粉と区別するため用いた。とのこと。
 これを読んで、「あー、そういえばうどん粉っても言っていたなぁ」と思い出す。
 うどん粉はしかし、祖母や母が家で使っていた記憶はない。うどんもソーメンも家で打つことは無かった。メリケン粉は天麩羅とかヒラヤーチー(平焼き:お好み焼きの薄いもの)、サーターアンダギー(砂糖油揚げ:ドーナッツのようなもの)に使っていた。母はメリケン粉でクッキーのようなものも作っていた。

 私が子供の頃、生まれてからずっと、沖縄は米軍施政下にあって、周りにはアメリカものがいっぱいあった。ファストフード店はA&Wというハンバーガー屋が物心ついた頃かあったし、駄菓子屋さんに行くと色鮮やかなアメリカ菓子があった。マヨネーズはエゴーだったし、ソースはA1ソースだったし、マーガリンはホリデーマーガリンだった。
 そして、小麦粉はメリケン粉と呼び、沖縄でメリケン粉と言えば迷わず、羽衣だった。沖縄製粉という会社の、羽衣(はごろも)という銘柄の小麦粉。昔から続く名前とパッケージのデザイン。当時の私は気にしなかったが、改めて見ると薄力粉であった。
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 コムギ(小麦):穀物
 イネ科の一年草 世界の多くに分布 方言名:ンナムギ
 主食原料として世界的に重要な穀物。日本でも味噌醤油等の原料にもなる重要な穀物。
 種子は、味噌や醤油などの原料になり、小麦粉にしてパンや麺類に加工し主食となるほか、菓子にもなる。茎は麦藁細工、家畜の飼料などに利用される。

 記:2019.7.7 ガジ丸 →沖縄の飲食目次

 参考文献
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行


コヘンルーダ

2019年07月08日 | 草木:野菜

 薬草研究家のH爺様とは7~8年ほど前に知り合っている。知り合った頃はそう頻繁に会ってはいない。年に3~4回程度だったと記憶している。でももう、既にその頃、Hさんが薬草の勉強しているって事は知っていた。Hさんの書棚にその関係の本が並んでいるのを見ていたし、Hさんの口からもいくつかの薬草の名前を聞いていた。
 サクナ(ボタンボウフウ)、クヮンソウ(アキノワスレグサ)、イーチョーバー(ウイキョウ)などといった有名どころなら私も知っていたが、「イシャナカシグサって面白い名前の優れた薬草も沖縄にあるんだよ」とある日、教えてくれた。

 イシャナカシグサは方言名で、イシャ(医者)ナカシ(泣かせる)草という意。この草があれば医者は要らない、よって医者は商売あがったりとなり泣く、ということではないかと思われる。あるいは、医者が悩むような難しい病気が、この草のお陰で治った。「おー、なんという奇跡!」と医者が感動し、涙したということかもしれない。・・・これはないか、ウチナーンチュのことだもの、そこまで深い心使いはないかも。
     
 過日、薬草研究家のH爺様と「沖縄長生薬草本社」なる会社を訪ね、そこの農場を見学させていただいた。Hさんはセッコツソウが目当てであったが、農場を歩いている時、1つの看板が私の目についた。それには世界一の薬草と書かれてあった。その看板から少し離れた所に実物はあった。開花期は初夏のコヘンルーダ、花が咲いていた。
 
 コヘンルーダ(こへんるーだ):薬草
 ミカン科の多年草 地中海地方原産 方言名:イサナカシグサ
 名前の由来、ヘンルーダという同科同属の近縁種があり、それのより小型のものだからコ(小)がついたと思われる。ヘンルーダについては『薬用植物大事典』に「ポルトガル名のヘン・ルタから転訛したといわれ、ヘンは冠詞、ルタは古いラテン語のルウ(草)から出たものという」とあった。広辞苑に「wijnruit」とオランダ語表記があるが、ヘンルーダと読めそうもない。ポルトガル語とは違うようだ。
 方言名のイサナカシグサは解り易い。イサ(医者)ナカシ(泣かす)草という意。これがあれば患者は医者を必要としない、医者は儲からないので泣くということだと思う。
 葉に薬効があり、薬草として栽培される。その効果は、「打ち身、神経痛の際その患部を葉の汁で湿布する」、「ヒステリーや不眠の際に生の葉の汁をお湯で薄めて飲む」などとある。ただ、「多量に使用すると中毒する」ともあった。
 高さは30センチほどになり、草全体に独特の匂いがある。開花期は初夏、集散花序を出し黄色の花を着ける。陽光地を好み、陰地だと枯れてしまうとのこと。
 
 花
 
 近縁種のヘンルーダは、
 
 ヘンルーダ(へんるうだ):薬草
 ミカン科の多年草 南ヨーロッパ原産 方言名:不詳
 名前の由来は、『薬用植物大事典』に「ポルトガル名のヘン・ルタから転訛したといわれ、ヘンは冠詞、ルタは古いラテン語のルウ(草)から出たものという」とあった。学名の属名はRutaとなっている。ルタはルーダに近いが、別名にルーとかコモン・ルーとかあるように、Rutaの発音はルーに近いようだ。
 高さは50~100センチ。花色は黄色で開花期は6~7月、花弁に鋸歯がある。
 
 果実

 ちなみに学名は、
 コヘンルーダ Ruta chalepensis
 ヘンルーダ Ruta graveolens

 記:島乃ガジ丸 2019.6.30 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
 『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
 『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行
 『琉球薬草誌』下地清吉著、琉球書房発行
 『沖縄やんばるフィールド図鑑』 湊和雄著 実業之日本社発行
 『グリーン・ライブラリー』タイムライフブックス発行
 『ネイチャーガイド 琉球の樹木』大川智史・林将之著、株式会社文一総合出版発行
 『つる植物』沖縄都市環境研究会著 (有)沖縄出版発行
 『熱帯アジアの花』ウィリアム・ウォーレン著、チャールズ・イー・タトル出版発行
 『講談社園芸大百科事典』野間省一編集、講談社発行
 『沖縄の薬草百科』多和田真淳・大田文子著、那覇出版社発行
 『沖縄食材図鑑』田崎聡著、有限会社楽園計画発行
 『自分で採れる薬になる植物図鑑』増田和夫監修、柏書房株式会社発行
 『家庭で使える薬用植物大図鑑』田中孝治著、社団法人家の光協会発行