ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

オオイワヒトデ

2017年11月10日 | 草木:シダきのこ他

 今年(2017年)の糞暑かった7月8月、畑仕事は概ね午前中は早朝から10時頃まで、午後は4時から7時頃までやり、日中の11時頃から4時頃までは昼休みとなっていた。その間、昼飯食ったり昼寝したりは毎日あり、その他の時間は、時には部屋の掃除したりもあったが、大抵はブログの記事書きしたり、または、パソコンの中の、不明写真フォルダの中を覗いて、この写真は何者かと調べる作業をしていた。
 「これはこれであろう」と判明したものの1つに、今回紹介するオオイワヒトデなるものがある。オオイワヒトデと聞くと、大岩海星と書いて海の生物のヒトデの仲間かと思ってしまうかもしれない。海中の岩場にいる大きなヒトデなのか?となる。
 ところがどっこい、オオイワヒトデはヒトデ(海星)では無く、海とも関係無い。
     

 写真のプロパティーを開き、その写真の日時を見て、その日その時間自分がどこにいてその写真を撮ったのかを日記を見て調べる。オオイワヒトデは2008年4月27日の午後、末吉公園へ散歩に行って、午後2時52分に撮ったもの。
 末吉公園は首里にある大きな自然公園。散歩を趣味としていた私は当時、毎週末どこぞへ散歩に出掛けており、当時首里に住んでいた私は、場所も近いので散歩場所としては末吉公園を最も多く利用していた。あー懐かしや末吉公園、しばらく行っていない。どころか、散歩そのものもここ数年、ほとんどやっていない。畑が落ち着いたら散歩しよう。
 
 オオイワヒトデ(大岩人手):地被・壁面
 ウラボシ科の常緑シダ 小笠原、四国南部、九州、南西諸島に分布 方言名:不詳
 名前の由来は資料がなく不明。漢字表記の大岩人手は私の想像。『琉球弧・野山の花』に「イワヒトデは本州南部以南に分布し、根茎は径4ミリ内外で側羽片は2~5対」とあり、「根系は太く径1センチほど、葉柄は長さ20~70センチ、側羽片は6~12対」である本種はイワヒトデに比べ大型であることからオオ(大)がつくのであろう。
 イワ(岩)については「湿った岩上や地上に生える」の「岩上・・・に生える」ことから、ヒトデについては単羽状複葉のその形が人の手に見えるからではないかと推理した。ちなみに、海の生物のヒトデは海星とも書くが、人手と書いても良い。
 葉身は単羽状複葉で頂羽片があり、側羽片は6~12対。胞子嚢群は羽片中軸と縁の間にあって長さ1~2センチの線形。低地から山地の湿った岩上や地上に生える。
 
 葉裏

 記:島乃ガジ丸 2017.10.17 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
 『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
 『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行
 『沖縄やんばるフィールド図鑑』 湊和雄著 実業之日本社発行
  『グリーン・ライブラリー』タイムライフブックス発行


爪に火をともす老後

2017年11月03日 | 通信-社会・生活

 台風22号のせいで中止になったが、先週土曜日(28日)今週日曜日の2日間の予定で『第31回日本高齢者大会』が沖縄であり、その中の企画の1つ、沖縄国際大学で行われる2日目の学習会に私は参加するつもりで、その参加証も入手していた。
 私が参加する予定だった学習会のテーマは『高齢者の貧困と下流老人問題』。私がそうなる予定でもあるが、私はまだ、少ないながら年金が貰え、65歳からは家賃3万円程度の安アパートに住み、質素倹約すれば光熱費、通信費も支払える。65歳からの私の年金は厚生年金だから何とかなる。しかし、国民年金だけの人は生活できないのではないだろうか、そういった人達はどうやって暮らしを立てるのだろうかと疑問を持っていた。
     

 現在私が借りている畑(ナッピバルと名付けた)は300坪弱あり、体が動く限りで言えば、私はそこで農作業をし、少なくとも自分が食べる分は生産できる。しかし、私のやり方(無農薬無肥料で概ね自然栽培)で現金収入を得るのは難しい。先輩農夫で、農夫として成功している友人のNが言うには「露地栽培では難しいよ、ハウス建てなきゃ」とのことである。しかし、ハウス栽培だと無農薬無肥料では作物を育てるのは難しい。
 さらに、ハウスを建てるには金がかかる。現役の頃の蓄えが無く、国民年金のみが収入源のお年寄りたちだと、土地を借りての小作農では生活が成り立たない。ハウスを建てる金も無いのであれば、労働に長い時間をかけて、やっと食えるだけの老後となる。

 ナッピバルを始めて1~2年経った頃、私は畑に置いてあった脚立を2台盗まれた。大きなシンメーナービ(ヒージャー(山羊)汁を作るような大きな鍋)を盗まれ、昭和の時代洗濯に用いていたタライも盗まれた。「まさか、他人の畑に入ってまで物を盗む人はいないであろう」という、私の甘い考えに気付かされたのであった。
 資源ゴミの日になると朝早くから自転車に乗った、あるいは軽トラックに乗ったご老人方が資源ゴミを拾得して回っている。彼らは資源ゴミの中から空き缶や紙類を持って行った。空き缶も紙類も金になると、数年前、彼らの1人に聞いたことがある。
 資源ゴミの日はだいたい週に1回、その日に家々の前を回って空き缶や紙類を集め、それを売っていくらかの現金を得る。資源ゴミを集めるご老人方はその地区にたいてい数名はいるので競争率も激しい。1人の集めた分では大した額では無いと思われるが、それでも、その現金が家計の足しになっているのであろう。そうやって生きている。

 私が盗まれた脚立や鍋、タライなどもそういったご老人たちが「これは地面の上に落ちているものだ」と見なして持って行ったに違いない。であれば、私が3千円で買った脚立を100円200円で売られたら腹も立つのだが、その100円200円でご老人たちが糊口を凌げるのであれば、そのご老人たちが爪に火をともすような生活をしているのであれば、私にとっては多いなる損害でも、彼らを責めることはできない。
 爪に火をともすような老後の暮らし、私だって例外では無い。この先、荒れ心臓総理の思惑通り物価が上がって、私の少ない年金では暮らしていけないかもしれない。
 ちなみに、「爪に火をともす」は「蝋燭のかわりに爪に火をともすほど、過度に倹約する」(広辞苑)、「糊口を凌ぐ」は「かろうじて生計を立てる」という意。
     

 記:2017.11.3 島乃ガジ丸


ヤンバルタマシダ

2017年11月03日 | 草木:シダきのこ他

 2012年3月17日早朝、私はヤンバル(沖縄島北部の通称)の大宜味村にいた。前夜知人のIさん家に泊り、その日は朝6時頃から散歩に出て、植物の写真を撮っていた。その時に撮った1枚が今回紹介するヤンバルタマシダ。
 それを見つけた時、「タマシダに似ている」と気付き、「しかし、よく見るタマシダにしては大きいな、違う種かも」と思って、取り敢えず写真を撮った。後日調べると、ヤンバルタマシダという種があって、写真のものはそれであると判断する。

 ヤンバルタマシダとタマシダは見た目が似ているので親戚であろうと想像でき、調べたら2種は同属であった。それは、私に植物を見る目があるということの証拠であり、威張っても良いことだと思うのだが、2007年6月24日付記事『タマシダ』の中で、
 「タマシダもリュウキュウイノモトソウと同じく、野原に自生しているのを見る。リュウキュウイノモトソウは「雑草にしようか」と悩んだが、タマシダはちっとも悩むことは無かった。なぜなら、タマシダは観葉植物の鉢物として、園芸店で見かけた・・・」
 と、私は書いている。それが、今回ヤンバルタマシダを調べている際に間違っていることに気付いた。「タマシダは観葉植物の鉢物として、園芸店で見かけた」というのが間違い。「鉢物として、園芸店で見かけた」のはセイヨウタマシダという種とのこと。セイヨウタマシダはタマシダよりもさらに葉が小さいとのこと。
 
 ヤンバルタマシダ(山原玉羊歯):添景
 シノブ科の多年生シダ 南西諸島の沖縄島以南に分布 方言名:マヤークーガ(美里)
 名前の由来、タマシダについては別項タマシダで書いた通り、『沖縄の野山を楽しむ植物の本』に「根に直径1~2センチほどの玉のような塊茎という芋をつける・・・そこからタマシダという和名がついて」いるとのこと。ヤンバルは山原と書いて沖縄島北部を指す。分布が沖縄島以南で、ヤンバルの原野で多く見られることからヤンバルと付いたのであろう。方言名のマヤークーガもその塊茎に由来し、マヤー(ネコの)クーガ(卵の意だが、睾丸の意もある)ということで、ここではもちろん、猫の金玉という意。
 「沖縄島以南の南西諸島」に分布と書いたが、文献には詳しい記載があり、「沖縄島、久米島、大東島、宮古島、西表島、石垣島」とのこと。
 葉は束生状に多数が立ち上がるように出て、葉柄は長さ40~100センチ、葉身は単羽状で線形~線状被針形、長さは30~80センチ、羽片は多数あり互生とのこと。
 山裾の日当たりの良い崖や路傍に生える。同属のタマシダによく似ているが、タマシダより小葉が大きい。タマシダは30センチ内外。南西諸島に分布する同属にホウビカンジュがあるが、ホウビカンジュの小葉はさらに幅広く大きく、長さが2mほど。
 ちなみに学名、
 ヤンバルタマシダ Nephrolepis hirsutula
 タマシダ Nephrolepis cordifolia
 ホウビカンジュ Nephrolepis biserrata Schott
 セイヨウタマシダ Nephrolepis exaltata 南米原産で、観葉植物でよく見る種。

 記:島乃ガジ丸 2017.10.17 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
 『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
 『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行
 『沖縄やんばるフィールド図鑑』 湊和雄著 実業之日本社発行
  『グリーン・ライブラリー』タイムライフブックス発行