確認の必要
「見つけたら→写真を撮って→図鑑と照らし合わせ調べて→何者かを判断し→説明文を書く」という手順を経て、私はHPに沖縄の動植物を紹介している。そんなことを始めてまもなく、「これだけでは誠実では無い、手間がもう一つ必要だ」と認識した。認識はしたが、ウチナーンチュらしいテーゲー(大概:いい加減)性格の私は、その手間を誠実には実行していない。「たまたま」その機会を得た時にだけ実行している。
「もう一つ必要な手間」とは「確認」。文献(図鑑)に書かれてある説明文を読んで、それをそのまま引用したりしているが、その説明が確かかどうかを確認してからHPで紹介した方が良かろう、それが、誠意ある姿勢であると思っている。思ってはいるが、「別に、誠意ある人間と思われなくてもいいや」と怠け者は開き直ってもいる。
文献(図鑑)の説明文が確かかどうか確認する手間の必要なものは植物にも動物にもあるが、植物よりは動物、特に昆虫になると確認作業が難しい。植物は動かないので確認が易しいのだが、昆虫は小さいし、動くし、出会う機会も少ないからだ。
今回紹介するミドリナカボソタマムシでは「体下面は美しい黒色」、「葉などにしがみつく力が強く、少しゆさぶったくらいでは落ちてこない」とあるが、体下面については掴まえてひっくり返さないと判らないし、そもそも滅多に出会わない。
しかし、もし、次に出会える機会があったならば、少なくとも「少しゆさぶって」はみたいと思う。そうやってちゃんと確認することが、私の知識として本物となるはず。それはきっと、「本物の物知り爺さん」になるために必要なことだ。もっとも、私の脳がちゃんと確認事項を覚えていることが前提となる。それについては自信が無い。この先、さらに歳を取って脳が老化したなら、と思うと、なおさら自信が失せる。
ミドリナカボソタマムシ(緑中細玉虫):甲虫目の昆虫
タマムシ科 奄美大島以南の琉球列島、台湾、中国南部などに分布 方言名:不詳
名前の由来は資料が無く不明。漢字表記も文献に無く「緑中細玉虫」の「緑中細」は私の勝手な創作。『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「背面は青みを帯びた金緑色」とあり、その中の青と金を除いて緑、体が僅かにくびれているので中細とした。
同書には「背面は青みを帯びた金緑色」の後に「体下面は美しい黒色」ともあった。美しい黒色に興味はあるが未確認。もう一度出会えたらひっくり返してみよう。
「葉などにしがみつく力が強く、少しゆさぶったくらいでは落ちてこない」ともあり、これについても少々興味がある。次回確認してみたい。
体長は10ミリ内外で、成虫の出現は3月から8月。寄主はアカメガシワで、「アカメガシワの葉の上でよく見られる」と同書にあり、私が見たのもアカメガシワの葉上。分布は上記の他にフィリピン、モルッカ、インドシナ半島、ビルマ、ヒマラヤなど。
記:2013.7.11 ガジ丸 →沖縄の動物目次
参考文献
『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
『いちむし』アクアコーラル企画発行