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ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

ヨナグニサン

2016年04月22日 | 動物:昆虫-鱗翅目(チョウ・ガ)

 与那国産のサン

 与那国へ行ったら見たい会いたいと希望していたもの、最西端の海岸、ヨナグニウマ、与那国のマヤー(猫)グヮー、それからもう1つ、世界最大のガと言われているヨナグニサン。世界最大のガが沖縄にいることは子供の頃から知っていて、沖縄に世界一がいることを少年は誇らしく思っていた。具志堅用高がチャンピオンになる前の話だ。

 2011年9月、埼玉在の友人Kとオヤジ2匹八重山与那国の旅をし、最西端の海岸を見て、ヨナグニウマ、与那国のマヤーグヮーに会ったが、ヨナグニサンにはついに会えなかった。会える努力はした。アヤミハビル(与那国島の方言でヨナグニサンのこと)館という所へ行き、その近くも散策した。しかし、私が会えたのは館に展示されていた標本のみであった。生きたヨナグニサンの写真を撮りたかったのだが残念であった。

 後日、図鑑で調べると、ヨナグニサンの出現時期は「2月下旬~3月下旬(暖冬の年のみ)、5月、7月下旬~8月中旬、10月~11月」とあった。私が与那国へ行ったのは出現しない9月だったので、探しても見つからなかったわけである。
 その名のついた与那国でヨナグニサンにぜひ会いたいのだが、貧乏暮らしの今、与那国へ旅行はもはやできないであろう。ヨナグニサンにも会えないであろう、写真も撮れないであろう。なので、標本の画像しかないが、今回、ヨナグニサンの紹介となった。

 ヨナグニサン(与那国蚕):鱗翅目の昆虫
 ヤママユガ科 八重山、与那国、南アジアに分布 方言名:アヤミハビル(八重山)
 名前の由来は『ふる里の動物たち』に「我が国では与那国島で初めて採れたのでその名があります」とあった。サンは蚕の音読み、蚕は訓読みすると「かいこ」で、その繭が絹糸となるあのかいこ。本種はカイコガ科ではないが繭を作るのでその名がついたと思われる。ちなみに、かいこの由来は広辞苑に「飼い蚕(こ)の意」とあった。もう一つちなみに、蚕の語源は同じく広辞苑に「桑の葉の間にもぐりこむ虫の意」とあった。
 広辞苑にはヨナグニサンの記載もあり、「開張は20センチメートルを超え、日本最大」と説明されている。『沖縄野外昆虫観察図鑑』には「世界最大のガといわれ、翅の面積が最も広い」とあった。同書によると前翅長、雄130ミリ内外、雌140ミリ内外とのこと。『沖縄大百科事典』にも「世界最大のガ」と記述されている。
 台湾、東南アジアに広く分布するが、八重山が分布の北限のようで、日本では与那国の他、石垣島、西表島にも生息する。食草はアカギ、モクタチバナ、トベラなど
 成虫の出現が『沖縄野外昆虫観察図鑑』に細かく記載されており、「2月下旬~3月下旬(暖冬の年のみ)、5月、7月下旬~8月中旬、10月~11月」とあった。出現しない4月、6月、9月は何をしているのだろう?と気になるが、文献に説明は無い。
 与那国町の天然記念物。見た目が美しいので飾り物としても利用されるとのこと。

 
 成虫(標本)

 
 成虫(チラシの写真)
 
 記:ガジ丸 2016.3.25 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行