ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

ミイデラゴミムシ

2014年07月22日 | 動物:昆虫-甲虫目

 奄美からのお客さん?

 先々週の火曜日(7月8日)、台風8号が沖縄島を襲い、強烈な暴風と激しい雨をもたらし、翌水曜日は記録的な大雨が降ったが、それ以来、まとまった雨が無い。土曜日(19日)の朝に30分ほどスコール、火曜日の夜中にもスコールがあったようだが、あとはずっとカラカラ、畑の裏にある沼も水が溢れていたが、今は水位が下がっている。
 カラカラのお陰で畑は地割れが起き始めている。去年の記録的な旱魃を思い出す。今年も去年のような旱魃となったら、畑で作物は育たない。台風8号で大被害を被った上に旱魃となったら、農夫は生活ができない。天候不順は食糧不足に繋がる。食糧不足は暴動や戦争に繋がる。恐ろしいこった。「雨くだせぇ」と天に祈るほか無い。

 天候不順については、先々週(7月11日)のガジ丸通信『天候不順で分布も不順』にも書き、「判明した昆虫の中でも、沖縄島には分布しないコヨツボシアトキリゴミムシやミイデラゴミムシを私は畑で見つけた。「過去に例が無い」は気象だけでなく昆虫界でも起こっているかもしれない。天候不順で分布も不順になっているのかもしれない。」と何となくの不安を述べたが、そこに挙げているミイデラゴミムシを今回紹介。

  ミイデラゴミムシは広辞苑に記載があり、漢字では三井寺歩行虫と書く。歩行虫はゴミムシの漢字表記(芥虫とも書く)だが、三井寺とは何ぞや?とまた広辞苑。「園城寺(おんじょうじ)の通称」とのこと。園城寺は「大津市にある天台寺門宗の総本山」(〃)のこと。そこで多く見られたからその名前がついたのかもしれない。
 沖縄には分布しないミイデラゴミムシが滋賀県から遠路はるばるやってきた、と考えるよりも、その分布の南限である奄美大島からちょこっと旅してきたと考える方が自然であろう。それにしても、「何で沖縄に旅してきたの?」と思う。訊いてみたい。

 
 ミイデラゴミムシ(三井寺歩行虫):甲虫目の昆虫 →写真
 ホソクビゴミムシ科 北海道~九州、奄美大島に分布 方言名:不詳
 名前の由来、ゴミムシは広辞苑にあって、芥虫、及び歩行虫と漢字が充てられ「オサムシ科のうち、オサムシ類以外の甲虫の総称」のこと。「石やごみなどの下に多く」(広辞苑)ということからゴミムシという名前なのであろう。歩行虫は「地表を歩き回って餌を探す」ことからかもしれない。ミイデラゴミムシそのものも広辞苑にあって、三井寺と漢字が充てられている。そこで多く見られたのかもしれないが、詳細不詳。
 カメムシと同じように、捕まえると肛門から刺激臭の強い液体を出す。そこから、ヘッピリムシという俗名もある。カメムシもヘッピリムシと言ったりする。
 体は黒色、頭胸背は黄色で黒紋がある。低地~低山地に見られ、成虫は地表にいて、主に夜行性とのこと。私が見たのは私の畑(低地)で、朝の9時過ぎの地表。
 体長は16ミリ内外。肉食性で生きている虫の他、死骸も食べる。分布が北海道~九州、奄美大島となっていて、沖縄の昆虫を紹介している文献には記載が無かった。私の畑は沖縄島の中南部にあるが、本種がいた。奄美大島から旅してきたのかもしれない。

 記:2014.7.21 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『学研生物図鑑』本間三郎編、株式会社学習研究社発行
 『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方』福田春夫、他著、株式会社南方新社社発行