梅干をさらに乾す
沖縄の植物「ヤブニッケイ」の頁で書いたが、我々が子供の頃、駄菓子屋のことをイッセンマチヤグヮーと言った。イッセンマチヤグヮーについてはいずれ別項で詳しく述べるが、そこで売っていたものの中で私の大好物が3つあった。駄菓子屋にはチョコレートや飴、甘納豆などといった甘い食い物が多いが、塩味のものもいくつかあった。私の大好物はその塩味のもので、1つはイカのゲソをカリカリにして、歯が丈夫でないととても噛み切れないようなすごく堅い菓子、イチャガリガリとかいう名前だったと覚えている。もう一つは塩せんべい。最後の一つは、これは塩味なのか砂糖味なのか少し迷うところであるが、塩味の梅干を乾燥させて砂糖味をつけたもの。名前は何と言ったかよく覚えていないが、今は「スッパイマン」とかいう商品名で売られている。
梅干を乾燥させる?文字だけ見ると、干したものをさらに乾燥させるなんてどういうこと?なのであるが、もちろん、ご存知の通り、梅干は乾燥しているわけではない。梅の実を塩漬けにし、干したものが梅干で、その後、紫蘇の葉を加えたタレに漬けたりするので水分を十分に含んでいる。その水分を大方取り除いたものが乾燥梅干となる。
鹿児島の友人Nが、沖縄へ来るたんびに、その乾燥梅干を土産に買って帰る。彼の娘たちが大好きなのだそうだ。梅干を乾して、さらにしわくちゃになった、あるいはカサカサになった、老人の肌のような食い物を倭国の女子高生が好むなんて、どーゆーこと?
乾燥梅干、いい大人が食っているのを私はあまり見ないし、私の友人たちの間でも話題にのぼらず、食っている奴もほとんどいない。ではあるが、どこのスーパーに行っても乾燥梅干は売っている。噂では、乾燥梅干の購買層は若い女性とのこと。沖縄の女子高生も好んで食っているというわけだ。私は少し、乾燥梅干に嫉妬を覚えるのである。私もだいぶシワシワ、カサカサではあるが、噛めば味があるぜ、と言いたいのである。
記:ガジ丸 2005.12.30 →沖縄の飲食目次