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ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

ジャボチカバ

2017年08月20日 | 草木:果樹

 「まず、これ、食べてみ」と脱サラ農夫の友人Tが、ブドウの巨峰のような色と形と大きさをしたものを、手に持った袋の中から1個出して、私の手の平に置いた。今年(2011年)4月下旬、Tの勤める八百屋へ野菜を買いに行った日のことである。
 食べると、味と食感はブドウだった。ただ、皮がブドウよりずっと厚い。
 「ブドウじゃないのか?」
 「ジャボチカバだ。」

 ジャボチカバの木はTの女房の実家の庭にあり、今(4月)実をつけているらしい。Tに頼んで、その家に連れて行って貰った。良妻賢母のご両親は優しく、ジャボチカバの写真を撮らせて貰った上、家に上がらせて貰い、お茶とお菓子を御馳走になり、ジャボチカバを御馳走になり、さらに、たくさんのジャボチカバをお土産として頂いた。
 頂いたジャボチカバを食べた後、種を取っておいた。先日その種を蒔こうと畑へ持って行った。10数粒あった。持って行って石の上に置いた。そして忘れた。ふと思い出したのは台風が過ぎた後だった。もちろん、種の全ては石の上から消えていた。
 「畑のどこかからある日ジャボチカバが芽生えるかもしれないが、ジャボチカバと知らずに引っこ抜いてしまうだろうな、俺のことだから」と諦める。
 実がたくさん着き、美味しくて、食べやすい(皮がとても剥き易い、種も除き易い)ので、ジャボチカバは現金収入用に有望な果樹だと思ったのだが、調べると、実生だと着果までに10年から20年以上かかるとのこと。生きているかも判らない未来だ。
 
 ジャボチカバ(Jaboticaba):果樹
 フトモモの常緑中高木 ブラジル南部原産 方言名:なし
 名前の由来、Jaboticabaは学名では無く英名、英名はおそらく現地語(ブラジルなのでポルトガル語)からきているものと思われるが、ポルトガル語はさっぱりなので、意味は不明。ちなみに学名は、Myrciaria cauliflora。
 幹の根元から枝の先までいたるところに直接花が咲き、実となる。花は小さく一つ一つはあまり目立たないが、幹や枝にびっしりとつく。色は白。開花期についての資料は無いが、私が見たものは3月から咲き始めたとのこと。開花後一ヶ月で実は熟す。
 ブラジルでは多く栽培されているらしく、いろいろな品種があるとのこと。果実は、文献には濃褐色とあったが、私が見たものは黒紫であった。大きさは直径2~3センチ、色と大きさから1個1個を見るとブドウのように見える。また、少なくとも私が食べたものはブドウのような食感と味であった。果皮はブドウより厚い。
 高さは10メートルほど。生育環境は亜熱帯の湿潤地に適しているとのことで、沖縄の気候にも合っているが、個体数はごく少ない。栽培農家も無いと思われる。したがってスーパーや八百屋で果実が販売されているのも見たことが無い。
 
 花
 
 実

 記:島乃ガジ丸 2011.7.17 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行