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ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

トートーメー

2011年01月03日 | 沖縄04行事祭り・生活風習・言葉

 母の四十九日が先週の水曜日(12月5日)にあった。死んでから四十九日の間はこの世に魂が残っており、その日にやっと成仏するということになっているらしい。不信心者の私はそういうことを信じているわけでは無いが、儀式である。形である。形を重んじる人がいる以上、そういった儀式を行うのに私は何の不満も無い。できるだけ伝統に則った形でやりたいと思っていた。お坊さんを呼んでお経をあげて貰いたいと思っていた。
 ところが、アメリカ暮らしの長い姉は形だけのものにたいそう不服のようで、母の親戚友人知人たちが、四十九日に線香をたてにくることについては文句無かったが、お坊さんが来ることについては、「そんなの何の意味も無いよ」などとブーブー言う。しかし、このHPにたびたび登場する従姉の助けも借りて、ここは私の意見で押し切った。

 四十九日は、亡くなった魂が成仏する日とされている。お坊さんに読経してもらい、告別式で用いた仮の位牌を本位牌に替える。木製の仮の位牌はその時に燃やされる。本位牌は小さな板で朱漆の下地に金泥で亡くなった人の戒名が書かれてある。それを先祖の位牌が並べられている屏位(へいい)と呼ばれる棚に収める。
 屏位は仏壇の最上段正面に飾られてある。じつは、トートーメーというウチナーグチ(沖縄口)は仏壇のことを指していると私はずっと思っていた。が、今回調べて、それが間違ってることを知った。トートーメーは祖先の位牌のことらしい。その位牌がたくさん並べられてある屏位はトートーメーの家ということになる。
 沖縄では、家を継ぐということはトートーメーを継ぐということになる。その時のトートーメーは一つの位牌を指しているのでは無く、祖先の位牌全てを指す。よって、ここでは全ての位牌が収められている屏位がトートーメーとなる。祖先の家を継ぐのである。

 トートーメー
  沖縄語辞典にトートーメーは、1に「お月様の小児語」とあり、2に「祖先の位牌」とある。トートーメーという発音は、『沖縄大百科』によると「尊いお方を意味する尊御前が訛ったもの」と説明されている。トウトイオマエからトートーメーということ。
 トートーメーは「祖先の位牌」のことであるが、それは別称であり、位牌のことはイフェーと言うのが普通らしい。であるが、私の年代、あるいは、私の周りではイフェーはあまり馴染みが無い。トートーメーという言葉を多く聞く。
 倭国の仏壇に位牌が祭られているのかどうか、また、倭国の位牌がどのような形をしているのか知らないが、沖縄の仏壇には祖先の位牌が常にある。仏壇の上段正面に屏位(へいい)と呼ばれる上下二段の位牌を収める木製の棚のようなものがある。屏位はいろいろ種類があるようだが、実家のものは高さ25センチ、幅25センチほどの漆塗り。それに祖先の位牌が並べられている。上段が男性の位牌、下段が女性の位牌と決まっているとのこと。位牌は縦8センチ、横2センチほどの長方形の薄い板で、朱漆を塗られている。表面に戒名、裏面に俗名、享年などが墨、または金泥で書かれてある。 
 ちなみに、ウチナーグチで仏壇は、ブツダンをそのままウチナー読みしてブチダン、あるいは、御を付けてウブチダンと言う。
     

 記:ガジ丸 2007.12.4 →沖縄の生活目次

 参考文献
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行