唄の島のカラオケ
先日2019年1月16日、久々にカラオケボックスなるものへ行った。どれくらい久々かと日記を調べると、その記述があった。以下はそれ。
2010年12月、十数年ぶりにカラオケ屋に行き1曲歌った。十数年前に行ったのはカラオケスナック、そこのお嬢さんに「オジサンがオジサン臭く無く、しかも、若者ぶっているようには見えず、なおかつ、若い女性に受ける歌は何か?」と訊いて、「スピッツならいいんじゃない」と言われていたので、その日歌ったのは『空も飛べるはず』。
『空も飛べるはず』は声を張り上げないと歌えない歌であった。それが失敗だった。たった1曲で翌日喉を痛め、そのついでに風邪もひいてしまった。ということで、オッサンにスピッツは背伸びであったと悟る。「若い女性に受けよう」などと不純な理由がそもそも良くない。歌うのであれば、自分が歌える範囲の歌を選ぶべきであったのだ。
日記は以上。その時、「唄は日頃から練習しておきゃなきゃ」とも悟ったのだが、元々カラオケ嫌いなので、その後もカラオケする機会はほとんど無く、一昨年の夏、知人のGさんに誘われて、また、友人たちに誘われてカラオケスナックへ2度行っているが、その時も私は歌ってはいない。店にいた若い女性とユンタク(おしゃべり)しただけ。
カラオケ嫌いの私が久々にカラオケボックスなるものへ行ったのは、親戚の新年会がカラオケボックスだったから。「大きな声を出すことは体の健康にも認知症予防にもいい」と誘われ、「独り暮らしは認知症になりやすい」とも聞いていて、「そういえば最近、物忘れが酷くなっているなぁ」と自覚していて、「カラオケやってみるか」となった。
カラオケガラパゴスの私は、歌うとカラオケ機械が審査し点数が出ることは知っていたが、音程の評価、ビブラートの評価が出たり、あんまり下手糞だと途中で曲が終わるなどという遊びがあることは知らず、「えー、何でだよー」などと思ったりして、まあまあ楽しめた。機械に評価されて楽しむということに多少の違和感もあったが、健康に良く、認知症予防になり、楽しめるのであれば「老後の趣味はカラオケでいいかも」と思う。
歌って昼食食べながらの新年会ということで、カラオケボックスに着いたのは午前11時であった。駐車場には既に10台以上の車が停まっていて、数人の客が受付フロアにいた。数人の客は全て年配の方であった。同行のH子によると、昼間の時間はお年寄りが多いとのことであった。やはり、カラオケは楽しくて健康になるということらしい。
唄の島と呼ばれることもある沖縄、古くから芸能は盛んで、庶民の間でもサンシン弾く人がいて、モー(毛:広場という意)アシビ(遊び)という、今で言う合コンのようなものがあって、若い男女が歌って踊って仲良くなるという風習もあった。沖縄民謡はずっと廃れることなく、今でも歌われ、今でも新曲民謡がどんどん作られている。
そんな沖縄なので、また、お年寄りの集まりなのであればカラオケで歌われるのも民謡が多かろうと思った。確かに、部屋には民謡だけをラインナップした本が特別にあった。しかし、廊下を歩いている時に漏れ聞こえる歌に民謡はなく、私たちのボックス、男女6人いたが、午前11時から午後6時まで民謡は1曲だけしか歌われなかった。
沖縄大好きの私としては少し寂しい気もしたが、でもいいのだ。大事なのは年取っても楽しみがあるってこと。大声出して歌えば楽しく元気になる。唄の島のウチナーンチュは演歌を歌い、歌謡曲を歌い、昔を懐かしみ、よく笑って元気を得ているみたいである。
記:2019.1.21 ガジ丸 →沖縄の生活目次