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ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

ベニモンアゲハ

2011年11月03日 | 動物:昆虫-鱗翅目(チョウ・ガ)

 生き物たちの楽園で

 先日の「八重山スケッチの旅」で、於茂登岳登頂の途中断念は、旅の失敗の一つであったが、じつはもう一つ、大きな失敗があった。
 旅にはできるだけ身軽で出かけるようにしているので、今回の旅で私は中サイズのリュック一つ、しかも中身は3日分のパンツ、Tシャツ、靴下の他、スケッチブックと筆記用具が入っているだけの、リュックの容量の半分も使っていない荷物量であった。私は、その中に本を一冊入れておくべきだったのである。昆虫図鑑を一冊。

 竹富島や西表島、於茂登岳でたくさんのアゲハチョウを見た。アゲハチョウにはいくつもの種類があることは知っていた。そして、それらの島々で見たアゲハチョウには、既に紹介済みのアゲハ、シロオビアゲハ、アオスジアゲハ、ナガサキアゲハなどとは違う種類のものがいることにも気付いた。明らかに違うと思ったものは、別項で紹介するカラスアゲハと、ここで紹介するベニモンアゲハの二種。昆虫素人の私なので、発見した時はそれらがその種であることも判らず、ただ、写真に撮っただけ。旅から帰って調べた。

 じつは、他にも、少し模様が違うなと思ったアゲハチョウもいくつかいた。それらは個体変異種であろうと勝手に決め込んで、写真を撮らなかった。旅から帰って図鑑を見たときに、「おや、クロアゲハやジャコウアゲハ、於茂登岳で見たんじゃなかろうか」と網膜の記憶に残る映像を思い出したのであった。図鑑を一冊持って行けば、その場で気付いたはずなのだ。つくづく残念に思うのである。旅の失敗の大きな一つであった。

 ベニモンアゲハ(紅紋揚羽):鱗翅目の昆虫
 アゲハチョウ科 分布は先島諸島、東南アジア 方言名:ハベル
 元々沖縄には生息していなくて、先島諸島に定着したのも比較的新しい。『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「1968年に八重山諸島、1972年に宮古諸島」とある。
 カバマダラと同じように、幼虫のときに毒草を食い、その毒を体内に留めて、成虫になっても毒を持っている。よって、鳥などに捕食されることが無い。カバマダラも見た目派手で、「俺は毒を持っているよー、食べると不味いよー」と警告しているが、本種はその名の通り赤い紋が翅にあり、それが警告色となっている。
 前翅長40~55ミリ。成虫の出現は周年。食草はリュウキュウウマノスズクサなど。
 
 成虫1
 
 成虫2   

 記:ガジ丸 2005.11.28  →沖縄の動物目次 →蝶蛾アルバム

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行