多皺有り
同級生の女性にあった時、相手が久しぶりの人である場合は当然ながら、頻繁に会っている人であっても、その相手に言ってはいけない禁句がいくつもある。それらの禁句は、40歳くらいまでの禁句で、それ以降は男も女も関係無く素直に言えるものだと、私は思っていた。40歳過ぎたら、あるいは遅くとも50歳過ぎたら女性は肉体的に女性であることを卒業し、「色恋は遠くなりにけり」になるであろうと思っていた。
ところが、NO!であった。
「私、太ったでしょう?」と久しぶりに会った昔の美女に訊かれ、
「太ったね、年取るとそれもしょうがないよね」と答えた。これが失敗。
まあまあ仲の良かった美少女だったが、以降、会うどころか音信も途絶えた。
「太ったね」も駄目だが、別の昔美女が、
「もうおばあさんよ、化粧しないとシミが目立つし、皺も増えたし。」と言うのに、その時は私も前回の失敗を踏まえ、「そんなことないよ」と答えたのだが、その昔美女は幸せな人妻なので、そう言ったからといって、私とはその後何の進展も無い。
「多皺有り」なんて、女性に絶対言ってはいけない名前の虫がいる。彼は概ねの女性から嫌われている。名前が「多皺有り」だからというわけでは無く、虫というだけで嫌われている。虫であることもオオシワアリという名前も彼の責任ではないのに、可哀想な奴。
オオシワアリ(大皺蟻):膜翅目の昆虫
アリ科 体長:働きアリ4ミリ内外 方言名:アイ、アイコー
名前の由来は『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「頭部の幅は胸部のそれよりも広く、縦皺があり、和名はそれに由来する」とある。私の写真では1個体が小さすぎて頭部の縦皺は不明瞭だが、「体は淡黄褐色で、腹部は黒色を帯び」から本種であると判断。
本種の特徴は他に「後胸後縁に後胸刺が1対あり、その腹方にさらに1本の刺がある」などともあるが、それも私の写真では不明瞭。
サトウキビ畑や野原、林などあちらこちらに生息し、動物の死骸や甘いものに集まる普通種であり、サトウキビの葉梢内に巣を作り、各種害虫を捕食する、サトウキビの害虫に対し天敵となっているが、コナカイガラムシを伝播する2次害虫でもあるとのこと。
体長は働きアリ4ミリ内外、出現は周年。
餌に群れるオオシワアリ
記:2019.6.11 ガジ丸 →沖縄の動物目次
参考文献
『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
『いちむし』アクアコーラル企画発行
『学研生物図鑑』本間三郎編、株式会社学習研究社発行
『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方』福田春夫、他著、株式会社南方新社社発行
『琉球列島の鳴く虫たち』大城安弘著、鳴く虫会発行
『沖縄の生きものたち』沖縄生物教育研究会編著、発行